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2022.02.22
損害賠償請求控訴事件
LEX/DB25591421/大阪高等裁判所 令和 3年12月15日 判決 (控訴審)/令和3年(ネ)第281号
控訴人が、自らの乗車していた車両と被控訴人b運転の車両との交通事故により脳脊髄液漏出症等の傷害を負い、損害が発生したと主張して、被控訴人bに対しては不法行為に基づき、被控訴人bの使用者である被控訴人会社に対しては使用者責任に基づき、連帯して損害賠償金の支払等を求め、原審は控訴人の請求をいずれも棄却したため、控訴人が控訴した事案において、本件事故に起因して脳脊髄液漏出症が生じ、これが持続しているものと認め、控訴人に後遺している障害は、「神経系統の機能又は精神に障害を残し,服することができる労務が相当な程度に制限されるもの」として後遺障害等級9級10号に該当するとしたうえで、本件事故時の被控訴人bには、前方を注視して自動車を運転すべき注意義務を怠った過失があり、不法行為責任を負うとし、被控訴人会社は、使用者責任を負うとして、原判決を変更し、損害賠償金の支払について請求額を減額した内容で一部認容した事例。
2022.02.15
非認定処分取消請求事件
「新・判例解説Watch」憲法分野 令和4年4月下旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25571941/最高裁判所第二小法廷 令和 4年 2月 7日 判決 (上告審)/令和3年(行ツ)第73号
専門学校を設置する上告人(控訴人・原告)が、あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律に基づき、あん摩マッサージ指圧師に係る養成施設で視覚障害者以外の者を養成するものについての同法2条1項の認定を申請したところ、厚生労働大臣から、視覚障害者であるあん摩マッサージ指圧師の生計の維持が著しく困難とならないようにするため必要があるとして、平成28年2月5日付けで、同法19条1項の規定(本件規定)により上記認定をしない処分を受けたため、本件規定は憲法22条1項等に違反して無効であると主張して、被上告人(被控訴人・被告)を相手に、本件処分の取消しを求めたところ、第1審判決は請求を棄却し、控訴審判決も控訴棄却したため、上告人が上告した事案で、本件規定について、重要な公共の利益のために必要かつ合理的な措置であることについての立法府の判断が、その政策的、技術的な裁量の範囲を逸脱し、著しく不合理であることが明白であるということはできないとして、あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律19条1項が憲法22条1項に違反しないとし、本件上告を棄却した事例(意見がある)。
2022.02.15
業務上過失傷害、業務上過失往来危険被告事件
LEX/DB25591574/福岡高等裁判所宮崎支部 令和 4年 1月27日 判決 (控訴審)/令和2年(う)第11号
被告人は、漁船a丸(総トン数1.5トン)に船長として乗り組み、同船の操船業務に従事していたものであるが、深夜に漁港から出航し、峰ヶ埼灯台から真方位48度,約1370メートル付近海上を、同漁港の沖合に向けて、速力約3.8ノットで航行するに当たり、自船左前方方向の約197メートル先に漁船b丸(総トン数1.1トン)の灯火に気付き、同船が自船方向に接近中であるのを認めたのであるから、自船の灯火を点灯させて航行するはもとより、b丸の動静を十分に注視し、同船の左舷側を通過することができるように針路を右に転ずるなどして同船との衝突を未然に防止すべき業務上の注意義務があるのにこれを怠り、針路を左に転ずれば、同船との衝突を回避できるなどと思い込み、自船の灯火を点灯しないまま、b丸の動静を十分に注視せず、針路を左に転じて前記速力で航行した過失により、b丸が接近して衝突の危険を感じ、自船の舵を更に左に切り、スロットルレバーを操作して加速しようとしたが及ばず、峰ヶ埼灯台から真方位47度,約1340メートル付近海上において、自船右舷船尾部にb丸の船首部を衝突させ、同船船底に破口等の損傷を、自船後部甲板右舷側の外板に亀裂及び破口等の損傷をそれぞれ生じさせ、もって船舶の往来の危険を生じさせるとともに、自船の船員c(当時68歳)に加療約111日間を要する右肩関節周囲炎の傷害を負わせたとして、原判決が、罰金30万円を言い渡したため、被告人が控訴した事案で、被告人について、a丸の針路を左に転じて航行した点、無灯火で航行した点のいずれにおいても、過失を認めることはできず、e証言、実況見分調書等により過失を認めた原判決の判断は、論理則・経験則等に反する不合理なものであって、支持できないとして、原判決を破棄し、被告人に無罪を言い渡した事例。
2022.02.08
離婚等請求本訴,同反訴事件
LEX/DB25571927/最高裁判所第二小法廷 令和 4年 1月28日 判決 (上告審)/令和2年(受)第1765号
平成16年11月に婚姻の届出をし、婚姻後同居し、2子をもうけたが、平成29年3月に別居するに至った夫婦の上告人と被上告人の間で、上告人が、本訴として、被上告人に対し、離婚を請求するなどし、被上告人が、反訴として、上告人に対し、離婚を請求するなどするとともに、不法行為に基づき、離婚に伴う慰謝料及びこれに対する判決確定の日の翌日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求め、原審が、被上告人の離婚請求を認容し、被上告人の慰謝料請求を120万円の限度で認容すべきものとした上で、上記120万円に対する判決確定の日の翌日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払請求を認容したため、上告人が上告した事案で、離婚に伴う慰謝料として上告人が負担すべき損害賠償債務は、離婚の成立時である本判決確定の時に遅滞に陥るとして、改正法の施行日前に上告人が遅滞の責任を負ったということはできず、上記債務の遅延損害金の利率は、改正法による改正後の民法404条2項所定の年3パーセントであるとし、原判決中、上記部分を認容した部分を主文第1項のとおり変更し、子の監護費用の分担に関する上告については却下し、その余の上告については棄却した事例。
2022.02.08
損害賠償請求控訴事件、附帯控訴事件(布川事件国賠訴訟控訴審判決)
LEX/DB25591454/東京高等裁判所 令和 3年 8月27日 判決 (控訴審)/令和1年(ネ)第3124号 等
昭和42年8月に発生した本件強盗殺人事件(いわゆる布川事件)について、逮捕及び勾留をされた上で公訴を提起され、有罪判決を受けて服役し、再審において無罪判決が確定した被控訴人兼附帯控訴人(1審原告)が、控訴人兼被附帯控訴人(1審被告)らに対し、検察官及び茨城県警所属の警察官による捜査、検察官による公訴の提起、検察官及び警察官の公判における活動並びに検察官の再審請求審及び再審における活動に違法があったなどと主張して、国家賠償法1条1項に基づき、連帯して、損害賠償金の支払等を求めたところ、原判決が1審原告の請求を一部認容したため、1審被告らが請求全部の棄却を求めて控訴し、他方、1審原告は、別件窃盗事件逮捕の日から確定審第二審判決の宣告の日までの逸失利益に対する再審判決が確定した日から刑事補償金が支払われた日までの確定遅延損害金の請求の認容を求めるとともに、当審において請求を拡張して附帯控訴した事案で、控訴人らの控訴及び被控訴人の附帯控訴に基づき、控訴人らは、被控訴人に対し、原判決の認容額を減額した内容で認容し、被控訴人のその余の請求を棄却し、被控訴人が当審において拡張した請求に基づき、控訴人らは、被控訴人に対し、連帯して賠償金の支払を認容し、被控訴人が被控訴人が当審において拡張したその余の請求を棄却した事例。
2022.02.01
不正指令電磁的記録保管被告事件
LEX/DB25571911/最高裁判所第一小法廷 令和 4年 1月20日 判決 (上告審)/令和2年(あ)第457号
インターネット上のウェブサイト『X』の運営者である被告人が、Xの収入源としてコインハイブによるマイニングの仕組みを導入するために本件プログラムコードをサーバコンピュータに保管した行為について、不正指令電磁的記録保管罪に問われ(主な争点は、本件プログラムコードが、刑法168条の2第1項(本件規定)にいう「人が電子計算機を使用するに際してその意図に沿うべき動作をさせず、又はその意図に反する動作をさせるべき不正な指令を与える電磁的記録」に当たるか否か)、第1審判決は無罪を言い渡したが、これに不服の検察官が控訴し、控訴審判決は、第1審判決が刑法168条の2第1項の解釈を誤り、事実誤認をしたものであるとして、第1審判決を破棄し、被告人を罰金10万円に処したため、被告人が上告した事案で、本件プログラムコードは、反意図性は認められるが、不正性は認められないため、不正指令電磁的記録とは認められないとし、原判決は、不正指令電磁的記録の解釈を誤り、その該当性を判断する際に考慮すべき事情を適切に考慮しなかったため、重大な事実誤認をしたものというべきであり、これらが判決に影響を及ぼすことは明らかであって,原判決を破棄しなければ著しく正義に反するとして、刑事訴訟法411条1号、3号により原判決を破棄することとし、本件プログラムコードの不正指令電磁的記録該当性を否定して被告人を無罪とした第1審判決は是認することができ、本件規定の解釈適用の誤りや事実誤認を主張する検察官の控訴は理由がないことに帰するから、刑事訴訟法413条ただし書、414条、396条によりこれを棄却した事例。
2022.02.01
損害賠償請求事件
LEX/DB25571900/最高裁判所第三小法廷 令和 4年 1月18日 判決 (上告審)/令和2年(受)第1518号
被上告人会社の株主であった上告人が、被上告人会社の違法な新株発行等により自己の保有する株式の価値が低下して損害を被ったとして、被上告人会社の代表取締役である被上告人Y2に対しては民法709条等に基づき、被上告人会社に対しては会社法350条等に基づき、損害賠償金及びこれに対する遅延損害金の連帯支払を求め、原審は、本件新株発行について不法行為が成立するとして、上告人の請求のうち被上告人Y2に対する民法709条に基づく損害賠償請求及び被上告人会社に対する会社法350条に基づく損害賠償請求をそれぞれ一部認容したが、その際、不法行為に基づく損害賠償債務の遅延損害金について民法405条は適用又は類推適用されず、遅延損害金を元本に組み入れることはできない旨の判断をしたため、上告人が上告した事案で、上告審も、不法行為に基づく損害賠償債務の遅延損害金は、民法405条の適用又は類推適用により元本に組み入れることはできないとし、これと同旨の原審の判断は、正当として是認することができるとして、本件上告を棄却した事例。
2022.01.25
行政処分取消請求事件
「新・判例解説Watch」環境法分野 令和4年3月下旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25591359/札幌地方裁判所 令和 3年12月17日 判決 (第一審)/令和2年(行ウ)第7号
原告が、北海道公安委員会から銃砲所持の許可を取り消す旨の処分を受けたところ、当該処分は銃砲刀剣類所持等取締法所定の要件を満たさず、また裁量権を逸脱・濫用したものであると主張して、被告(北海道)に対し、その取消しを求めた事案において、市の要請でヒグマ1頭を駆除するため、ライフル銃から弾丸1個を発射した原告の行為が、鳥獣保護管理法38条3項に違反し、もって銃砲刀剣類所持等取締法10条2項1号に違反したものと判断する余地があるとしても、これを理由にライフル銃の所持許可を取り消すというのは、社会通念に照らし著しく妥当性を欠くというべきであり、裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものといわざるを得ないとし、本件処分を取り消した事例。
2022.01.25
損害賠償請求控訴事件
LEX/DB25591382/札幌高等裁判所 令和 3年12月14日 判決 (控訴審)/令和3年(ネ)第18号
北海道内の漁業者である控訴人らが、〔1〕被控訴人(国・北海道)らは、遅くとも平成29年7月1日までに法的拘束力のある漁獲制限をする義務があったにもかかわらず、これを怠り、漁業者の自主管理に委ねた結果、第3管理期間において上限を大幅に超過する漁獲を招き、控訴人らは第4管理期間以降のくろまぐろ漁が事実上できなくなった、〔2〕被控訴人国の第4管理期間における超過差引きは裁量権を逸脱・濫用するものであり違法であるなどと主張して、被控訴人らに対し、国家賠償法1条1項に基づき、第4管理期間以降6年間の逸失利益及び慰謝料等の支払をそれぞれ求めたところ、原審は、控訴人らの請求をいずれも棄却したため、控訴人らは、原判決を不服として控訴した事案で、被控訴人国の資源管理法、漁業法及び水産資源保護法に基づく規制権限の不行使について、国家賠償法1条1項の適用上、違法とはいえないとし、また、被控訴人北海道の規制権限不行使についても違法とはいえないなどとして、原判決は相当であるとし、本件各控訴を棄却した事例。
2022.01.18
著作者人格権等侵害行為差止等請求控訴事件
LEX/DB25591330/知的財産高等裁判所 令和 3年12月22日 判決 (控訴審)/令和3年(ネ)第10046号
一審原告から本件懲戒請求を受けた弁護士である一審被告Bが自らのブログ上に掲載した、一審原告の主張に対する反論を内容とする本件記事1及び2に関し、〔1〕一審被告Bが、一審原告の氏名が請求人として記載された本件懲戒請求書をPDFファイルに複製し、インターネットにアップロードした上、本件記事1内に同ファイルへの本件リンクを張った行為が、一審原告の著作権(公衆送信権)及び著作者人格権(公表権)を侵害するとともに、一審原告のプライバシー権を侵害するとして、一審原告が、一審被告Bに対し、著作権法112条1項に基づき、各ブログに本件記事1及び2を掲載することの差止めを求め、同条2項に基づき、本件記事1(本件リンク先のPDFファイルを含む。)及び2の削除を求めるとともに、著作権(公衆送信権)侵害の損害賠償として、本件懲戒請求書のファイルの削除に要した労力と時間に相当する財産的損害と弁護士費用、及び著作者人格権(公表権)侵害の損害賠償として慰謝料の支払を求め〔第1事件〕、第1事件における一審被告Bの訴訟代理人となった一審被告Cが、第1事件に係る訴えの提起後、一審被告Cのブログ記事(本件記事3)に本件記事1に対するリンクを張ったことが、著作権(公衆送信権)及び著作者人格権(公表権)の侵害の幇助に当たるとして、一審原告が、一審被告Cに対し、箸作権(公衆送信権)及び著作者人格権(公表権)の侵害の幇助の損害賠償として慰謝料の支払を求めた〔第2事件〕ところ、原判決は、一審被告Bに対し、原判決別紙記事目録記載1(1)のブログ(本件ブログ)に掲載されている本件記事1のうち同記載2(1)イのファイル(本件懲戒請求書のPDFファイル)の削除を命じ、その余の一審原告の請求をいずれも棄却したため、一審原告及び一審被告Bが控訴した事案で、一審原告の請求はいずれも理由がないから棄却すべきところ、これと異なり、一審被告Bに対し、本件ブログに掲載されている本件懲戒請求書のPDFファイルの削除を命じた原判決主文第1項は相当でないとして、一審被告Bの控訴に基づき、これを取消し、その取消しに係る部分につき一審原告の請求を棄却することとし、一審原告の本件控訴を棄却した事例。
2022.01.18
不作為の違法確認等請求事件
LEX/DB25591349/広島地方裁判所 令和 3年10月26日 判決 (第一審)/令和2年(行ウ)第32号
原告は、双極性感情障害により、厚生労働大臣から国民年金法及び厚生年金保険法所定の障害等級2級の裁定を受け、同等級に基づく障害基礎年金及び障害厚生年金を受給していたところ、厚生労働大臣は、原告の障害等級が3級の状態にあるとして、障害基礎年金の支給を停止し、障害厚生年金の額を改定する処分を行ったことにより、原告が、障害の状態は障害等級2級に該当し、本件処分が違法であると主張して、被告(国)に対し、本件処分の取消しを求めた事案において、本件現症時における原告の障害の状態は、気分、意欲・行動の障害及び思考障害の病相期があり、かつ、これが持続したり又は頻繁に繰り返したりするため、日常生活が著しい制限を受ける状態にあり、障害の程度は、日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度に至っているといえるから、原告の障害等級は2級以上に該当しないとはいえないとして、障害基礎年金の支給を停止し、本件処分を取り消し、請求を認容した事例。
2022.01.11
再生計画認可決定に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件
LEX/DB25571876/最高裁判所第二小法廷 令和 3年12月22日 決定 (許可抗告審)/令和3年(許)第4号 等
医療法人を再生債務者とする再生手続においてされた再生計画認可の決定に対し、再生債権者である各抗告人が民事再生法174条2項3号等に該当する事由があると主張して即時抗告をしたところ、原審が上記事由はないとして抗告棄却決定をしたため、各抗告人が上記決定に対して更に抗告をした事案で、上記決議について民事再生法174条2項3号に該当する事由はないとした原審の判断を是認することができるとして、本件抗告を棄却した事例(補足意見がある)。
2022.01.11
新株予約権無償割当差止仮処分命令申立却下決定に対する抗告事件
LEX/DB25591322/東京高等裁判所 令和 3年11月 9日 決定 (抗告審)/令和3年(ラ)第2391号
相手方(債務者)の株主である抗告人(債権者)らが、相手方に対し、相手方取締役会によって導入が決定されたいわゆる有事導入型買収防衛策に基づく対抗措置の本件新株予約権無償割当てについて、〔1〕株主平等の原則(会社法109条1項)に違反する法令違反がある、〔2〕著しく不公正な方法により行われるものである旨主張して、同法247条1号及び2号(類推適用)に基づき、これを仮に差し止めることを求めたところ、原審は、被保全権利についての疎明がされていないとして、抗告人らの本件申立てをいずれも却下したので、これに不服の抗告人らが本件抗告をした事案で、抗告人らの本件申立ては、被保全権利(会社法247条1号及び2号(類推適用)の差止請求権)についての疎明がされていないので、抗告人らの本件申立てはいずれも却下すべきであるから,これと同旨の原決定は相当であるとし、抗告人らの本件抗告はいずれも棄却した事例。
2022.01.04
納付告知処分取消請求控訴事件
LEX/DB25591274/東京高等裁判所 令和 3年12月 9日 判決 (控訴審)/令和2年(行コ)第241号
控訴人(原告会社)が、当時、その代表取締役及び取締役から、代表取締役らの控訴人に対する各求償債権につき債務の免除を受けたとして、関東信越国税局長が、国税徴収法39条に基づき、控訴人に対し、滞納者である代表取締役らの各国税につき、第二次納税義務に係る納付告知書による各告知処分をしたことについて、本件各告知処分は違法であるとして、被控訴人(被告。国)に対し、それらの取消しを求めたところ、原審が控訴人の請求を棄却したため、控訴人がこれを不服として控訴した事案で、本件各債務免除の時における本件各求償債権の価額が0円を超えるとは認められず、本件各債務免除により控訴人の受けた利益は現に存しないというほかないから、本件各債務免除は国税徴収法39条の要件を満たすものではなく、本件各告知処分は違法であって取消しを免れないとして、控訴人の請求を認容すべきところ、これを棄却した原判決は失当であり、原判決を取消した上、控訴人の請求を認容した事例。
2021.12.28
不当利得返還請求事件
LEX/DB25571864/最高裁判所第三小法廷 令和 3年12月21日 判決 (上告審)/令和2年(行ヒ)第335号
岡山市の住民である被上告人(原告・控訴人兼附帯被控訴人)が、市議会の複数の会派が平成27年度に交付を受けた政務活動費に関し、岡山市議会の各会派に対する政務活動費の交付に関する条例の定めに適合しない違法な支出がされているから、各会派はこれを不当利得として市に返還すべきであるにもかかわらず、上告人(被告・被控訴人兼附帯控訴人。岡山市長)はその返還の請求を違法に怠っているとして、地方自治法242条の2第1項4号に基づき、上告人を相手に、各会派に対して不当利得返還を求めた住民訴訟で、原審は、印刷代の全額及び講座費用のうち一部が使途基準に適合しないとした上で、被上告人のネクスト岡山に係る請求を全部認容し、市民ネットに係る請求のうち平成27年5月以降分の政務活動費に係るものを一部認容したため、上告人が上告した事案で、原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとし、被上告人のネクスト岡山に係る請求について認容額を一部変更し、また、市民ネットに係る請求に関する部分については、不当利得返還義務の存否等について更に審理を尽くさせるため、本件を原審に差し戻すことを命じた。他方、本件上告のうち自由民主党岡山市議団に係る請求に関する部分については、上告受理申立てを棄却し、その余の本件上告については却下した事例(補足意見がある)。
2021.12.28
夫婦間の協力扶助に関する処分申立事件
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LEX/DB25591233/東京家庭裁判所立川支部 令和 3年11月30日 審判 (第一審)/令和2年(家)第2510号
別居中の夫婦間において、夫である申立人が、妻であり、未成年者らを実際に監護養育している相手方に対し、民法752条に基づき(主位的申立て)又は民法766条を類推適用して(予備的申立て)、養育計画に従って申立人と相手方が協力して、未成年者らの利益のために親権を共同行使せよとの審判を求めた事案で、申立人の主位的申立てについては却下し、予備的申立てについて、相手方は、申立人に対し、本審判確定の日の属する月の翌月から、毎月2回、実施日と実施時間等の要領を取り決めたうえで、申立人が未成年者らと面会交流することを認めた事例。
2021.12.21
脅迫被告事件
LEX/DB25571846/最高裁判所第三小法廷 令和 3年12月10日 決定 (上告審)/令和3年(あ)第964号
管轄移転の請求が、訴訟を遅延させる目的のみでされたことが明らかである場合には、刑事訴訟規則6条により訴訟手続を停止することを要しないとし、これと同旨の原判断は正当であるとして、本件上告を棄却した事例。
2021.12.21
損害賠償請求事件
「新・判例解説Watch」倒産法分野 令和4年2月中旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25591156/宇都宮地方裁判所 令和 3年 5月13日 判決 (第一審)/令和2年(ワ)第264号
破産会社に対する求償金債権を有していた原告が、破産会社の破産手続において配当を受けられなかったことについて、破産会社の申立代理人であった被告Y1及び破産会社の破産管財人であった被告Y2にそれぞれ注意義務違反があったと主張して、被告らに対し、民法709条、719条1項に基づき、連帯して損害賠償金(原告が本件破産手続に参加していれば得られたはずの配当金相当額)及びこれに対する遅延損害金の支払を求めた事案で、被告Y1の注意義務違反行為により原告に生じた損害については、原告に5割の過失を認めて、過失相殺を行うのが相当であるとし、原告の被告Y1に対する請求は、請求額の5割の限度で一部認容し、その余の請求は棄却した事例。
2021.12.14
性別の取扱いの変更申立て却下審判に対する抗告棄却決定に対する特別抗告事件
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LEX/DB25571834/最高裁判所第三小法廷 令和 3年11月30日 決定 (特別抗告審)/令和2年(ク)第638号
性同一性障害者が、戸籍上の性別の取扱い変更の申立てをした審判で却下され、抗告審でも却下されたため、特別抗告をした事案において、性同一性障害者につき性別の取扱いの変更の審判が認められるための要件として「現に未成年の子がいないこと」を求める性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律3条1項3号の規定が憲法13条、14条1項に違反しないとし、本件抗告を棄却した事例(反対意見がある)。
2021.12.14
殺人、殺人未遂、住居侵入、建造物侵入、銃砲刀剣類所持等取締法違反被告事件
LEX/DB25591126/神戸地方裁判所 令和 3年11月 4日 判決 (第一審)/平成30年(わ)第453号
被告人は、【第1】被告人方で、祖母b(当時83歳)に対し、その頭部等を金属製バットで殴打し、その後頸部及び背部を文化包丁(刃体の長さ約16.3センチメートル)で突き刺すなどし、左総頸動脈及び左椎骨動脈切損、右外頸静脈切断並びに右肺刺創により失血死させて殺害した事案、【第2】同日、被告人方敷地内で、祖父c(当時83歳)に対し、その頭部等を前記金属製バットで殴打し、その頸部等を文化包丁で突き刺すなどし、右総頸動脈及び右内頸静脈切損により失血死させて殺害した事案、【第3】同日、被告人方で、母d(当時52歳)に対し、その頭部等を金属製バット及び合板(重量約2キログラム)等で殴打し、その頸部を両手で絞め付けるなどして殺害しようとしたが、同人が逃走したため、加療約32日間を要する頭部挫創等の傷害を負わせたにとどまり、その目的を遂げなかった事案、【第4】同日、別宅の敷地内に侵入し、e(当時79歳)に対し、その頸部等を文化包丁で突き刺すなどし、左内頸動脈及び左外頸動脈切断並びに左内頸静脈切損により失血死させて殺害した事案、【第5】同日に、fが看守する小屋内に侵入し、g(当時65歳)に対し、その頭部等を文化包丁で突き刺すなどして殺害しようとしたが、抵抗されたため、全治約14日間を要する頭部刺創等の傷害を負わせたにとどまり、その目的を遂げなかった事案、【第6】同日、路上で文化包丁1本を携帯した事案で、被告人が5人を殺傷した当時、心神耗弱状態にあったことに間違いがないとまでは認められず、心神喪失状態にあったのではないかとの合理的疑いを払拭することができないとして、被告人に無罪を言い渡した事例(裁判員裁判)。