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ビジネスストーリーBusiness Story

証明書コンビニ交付システム開発

託された使命は、国内初の“クラウド型”
製販一体でコンビニ交付システムの開発に挑む

わざわざ市区町村の窓口に行かなくても、近くのコンビニエンスストアで住民票の写しや印鑑登録証明書などを取得できる行政サービスがあることをご存じだろうか。いわゆる「コンビニ交付」のサービスである。このサービスを提供している市区町村の住民であれば、マイナンバーカード(または住基カード)を利用して、各種証明書の交付を受けることができる。市区町村の窓口が閉まっている早朝・深夜(6:30~23:00)や土日祝日でも証明書を取得できるとあって、住民にとっての利便性は大きい。

国が主導するかたちでコンビニ交付サービスが開始されたのは、平成22年2月のこと。大手を含めたITベンダー各社がそのためのシステムを提供することで、コンビニ交付をはじめる市区町村が少しずつ現れていった。

TKCのユーザーの中からも、「コンビニ交付をはじめたい」という声があがるようになった。そこで、「証明書コンビニ交付システム開発プロジェクト」を発足し、そのためのシステム開発に乗り出すことになった。

プロジェクトの“先導役”として白羽の矢が立ったのが、「住民基本台帳」関係のシステム開発に従事していたT.I.だった。

国内初の「クラウド型」サービス

T.I.に託された使命は、“クラウド型(LGWAN-ASP型)”のコンビニ交付システムを開発することだった。先行してコンビニ交付サービスを開始していた市区町村は、すべてオンプレミス型で構築したシステムを利用していた。つまり、クラウド型のコンビニ交付システムを開発するというのは、国内で初めての試みだった。

クラウド型のメリットは、導入や運用にかかるコスト・作業負荷を軽減できるといった点にある。証明書発行のためのサーバーを各市区町村が個別に調達し、庁内に構築してサービスを運用する必要があるオンプレミス型に比べて、職員の負担は少なくて済むわけだ。そうしたメリットがあることに加え、LGWAN-ASPベンダー(注)として名を馳せてきたTKCの矜持を示す意味からも、どうしてもクラウド型サービスとして全国に普及・促進し、住民にとっての利便性や市区町村の業務効率の向上を図りたいとの思いがあった。

だが、前例のないシステムを開発するのは、決して容易なことではない。T.I.は「大きなプレッシャーを感じていた」という。

最大のハードルとなったのはやはり「いかにしてクラウド上のネットワーク経由で利用できるシステムに仕上げるか」という点だった。LGWANという行政専用のセキュアなネットワークを使うからには、その仕様に見合ったプログラムを組んでいくことが当然求められる。しかし当初プロジェクトに参加したT.I.を含む5人のメンバーは、住民基本台帳関連のシステム(住民票を作成するシステム等)の開発者として優れた実績を残していたが、これまでLGWAN-ASPサービスを開発した経験はなかったため、知識が不足していた。

そこで、過去にLGWAN-ASPサービスを開発した経験を持つ社内の電子自治体システム技術部のメンバーなどに新たにプロジェクトに加わってもらい、さまざまな協力を得た。また、国の「地方公共団体情報システム機構」とのパイプを生かして情報提供を受けたり、第1号ユーザーになることが決まっていたS市との協力体制を築けたことも、T.I.には大きな支えとなった。

開発作業のネックとなっていた課題が徐々に取り除かれていったことで、道は開けた。あとは各メンバーが粘り強くプログラミングの作業を続けていけば、必ずゴールは見えてくる――。その後、さまざまな事前テストをクリアして、平成23年3月24日、S市でのコンビニ交付サービスがスタートした。当日、問題なくコンビニで証明書が交付できたという知らせを受けて、T.I.は安堵の表情を浮かべた。

「マイナンバー」でニーズ高まる

つぎの課題は、開発したコンビニ交付システムをいかに多くの市区町村に利用してもらうかだった。その提案活動を進めるためのキーマンとして、新たにプロジェクトに参加したのが、営業企画部のA.S.だった。TKCが地方自治体の職員向けに開催しているフェアやセミナー等で、クラウド型のメリットを強調しながらコンビニ交付システムの売り込みを図っていったが、全国11団体に提供するのがやっとだった。そもそもコンビニ交付サービスを始めようとする市区町村の数自体が少なかったのだからある意味、仕方がない。

「そんな状況が一変するきっかけとなったのが、マイナンバー制度でした。平成28年1月から住基カードに代わってマイナンバーカードが配布されることを受けて、市区町村の多くがそれを活用した住民サービスを検討するようになりました。そこで注目されたのが、コンビニ交付サービスだったのです」(A.S.)。これに伴い、システム導入のニーズが拡大。A.S.も自ずと提案活動に力が入った。

このタイミングでT.I.をはじめとする開発部隊も、システムのさらなる改良が求められた。マイナンバーカードへの対応とともに、住民票の写しや印鑑登録証明書だけでなく、納税や戸籍の証明書もコンビニでの交付が可能となったことを受けて、システムのバージョンアップの作業に追われた。

営業を進めるA.S.が目指したのは、これまで実績のない大規模市役所からの受注を取ることだった。県庁所在地市や中核市への受注実績があれば、その周辺の市区町村への営業活動が展開しやすい。そうした腹づもりがあったものの、実際にはなかなか商談ステージに上がることができずにいた。当時はまだオンプレミス型が一般的で、クラウド型サービスを不安視する声があったのだ。

政令市の受注獲得に成功

そんな中、いち早くクラウド型サービスの優位性を見抜いたのが西日本の政令市(A市)だった。データは自分たちの庁舎のサーバーに置くほうが安全と考える市区町村が多いなかで、A市は「むしろデータはクラウド上に保管したほうが安全」であることに気付いていた。当時、クラウド型のコンビニ交付システムを出していたのはTKCだけ。TKCに関心を示すのは当然の流れだった。「A市の受注にあたっては、プロジェクト全体で関西の営業課を全面支援するなど、製販一体となった取り組みを行いました」と、A.S.は振り返る。

A市の受注に見事成功したことで、TKCのコンビニ交付システムを導入したいという大規模市役所がその後いくつも名乗りを上げていった。また、小規模町村に対する普及促進策として国が打ち出した「廉価版クラウド」への対応に取り組んだこともあり現在、全国60団体以上が利用するまでになっている(2018年2月現在)。日本の人口のおよそ1割をカバーしていることになる。

T.I.は「いまでは競合するシステムベンダーもクラウド型の商品を出すようになってきましたが、私たちには5年のアドバンテージがあり、コスト面・機能面とともにまだまだ先を行っています。トップランナーであり続けられるようにこれからもレベルアップに努めていきたいですね」という。一方でA.S.は、「クラウド型サービスを採用することが特別交付税措置の要件ともなっており、間違いなく追い風が吹いています。この特別交付税の措置はあと残り2年。今がまさに勝負のときです」と語る。

今後はコンビニ交付サービスを皮切りに、窓口サービス全体の住民サービス向上に貢献していきたい――。コンビニ交付システムのプロジェクト活動を通じて一皮も二皮もむけた2人の表情は自信に満ちあふれている。

(注)TKCは、平成15年11月、財団法人地方自治情報センター(現:地方公共団体情報システム機構)が運営する「LGWAN-ASPサービス接続資格審査」に民間第1号で合格。LGWAN-ASPサービスのシステム開発において多数の実績を残している。

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