株式会社プラザセレクト 様

統合型会計情報データベース(FX4クラウド) ユーザー事例

精緻な財務データをもとに
躍進続ける地場住宅メーカー

徳島市と高松市に拠点を構え、おもに注文住宅の販売を手がけているプラザセレクト。多彩なコンセプト住宅が評判を呼び、業績も年々伸張している。同社を創業した三谷浩之社長と、北條伊織顧問税理士に、黒字経営継続のベースとしている考え方と業績データの着眼点を聞いた。

SNSで思いを発信し顧客をファン化する

──「生活総合支援企業」をうたわれています。

三谷浩之社長

三谷浩之社長

三谷 住宅不動産事業を中心に、人々の「生活」を支援したいという思いから、この会社を立ち上げました。家を建てて生活しはじめると、食事や旅行に出かけたり、体調を崩したり、さまざまな出来事が起こります。そうしたライフイベントをカバーする、企業の集合体に発展させることが目標です。

──新築住宅ブランド「リラクス」の特徴を教えてください。

三谷 1,000万円台で購入できるスカイバルコニーのある新築住宅で、家はリラックスできる場であるべきとの考えから、リラクスと名付けました。特徴は住む人の生活スタイルにあわせたコンセプトを1棟ごとに付加しているところ。カフェみたいになごめる家、バーカウンターのある家など、60種類以上のコンセプト住宅を販売してきました。
根底には住宅になるべく無駄なコストをかけずに、日々の生活を楽しんでもらいたいという思いがあります。多額の住宅ローンを支払うため、食費や光熱費などの生活費を切り詰めている人を見かけます。それは豊かで幸せな暮らしといえるでしょうか。身の丈にあった住宅を購入してローン返済額を抑えれば、家族で外食を楽しむ機会を増やせるかもしれません。
住宅を規格化してリーズナブルに提供し、顧客の生活をより豊かなものにする。そうした方針のもと、シンプルな住宅を提案しています。「すべてをシンプルに」が当社のポリシーです。

──日ごろ実施している営業活動は?

三谷 特段、営業活動は行っていません。ほとんどの方は、フェイスブックやインスタグラム等のSNSやユーチューブの動画を見て来店されます。住宅、不動産販売業界はいわゆるチラシ営業が盛んですが、創業2年目で廃止し、昨年ウェブ広告の類いもやめました。当初、来店客が減るのではとの不安もありましたが、何も変わらなかった。変わったのは、広告出稿に要する打ち合わせ時間と費用を削減できたことでした。
顧客は住宅のコンセプトや、われわれの住宅に対する思いに共感して来店されるので、成約に至るまでの商談期間は以前より短くなっています。大切なのは売るのではなく、買ってもらえる仕組みをいかにつくるか。時代の流れにあわせた商品開発や広報活動を常に意識しています。

──創業前は一般企業に勤務されていたそうですね。

三谷 大学卒業後、建築会社に就職し、おもに営業を担当していましたが、40歳までに退職して起業したいと常々考えていました。入社7年目のとき、勤務先が民事再生法の適用を受け倒産し、顧客や取引先に多大な影響がおよびました。会社を設立したら、絶対につぶしてはいけないと痛感しましたね。

目標経常利益から逆算し月単位で打ち手を施す

──顧問税理士の北條伊織先生と顧問契約を結ばれたのは、創業まもないころと聞きました。

三谷 かつて勤務していた企業の徳島支店で働いていたとき、相続税対策等について相談できる税理士を探していたところ、知り合いの方から紹介されたのが北條先生でした。当時はお互い、まだ20代。約10年後に会社を設立した際に先生と再会し、税務顧問への就任をお願いしました。

──三谷社長の第一印象はいかがでしたか。

北條伊織顧問税理士

北條伊織顧問税理士

北條 頭の回転が速い方だなと感じました。再会したとき最も印象的だったのは、製本された経営計画書をいただいたこと。会社設立1年目でしっかりした経営計画書を作成している企業は多くありません。経営計画書には経営理念やスローガンから日々の業務方針、業績目標まで詳細に記載されていました。

三谷 経営計画書の内容を読み合わせる時間を毎週設け、経営理念の浸透を図っています。

──会社設立時から『FX4クラウド』を利用されているそうですね。

三谷 北條先生から「このシステムしかありません」と勧められました。経営者の果たすべき重要な責務は、納税により地域社会の発展に貢献することであり、黒字経営が欠かせません。1期目から黒字決算にこだわり、期首時点で毎期、当期決算の目標経常利益から逆算して固定費、変動費、売上高の順番に目標を決め、《変動損益計算書》で月次業績を把握しています。

──創業以来、黒字経営を継続されていますが、期中はどんな点に注目していますか。

新築住宅「リラクス」はキッズデザイン賞を2年連続受賞

新築住宅「リラクス」はキッズデザイン賞を2年連続受賞

三谷 私はシステムに仕訳入力する機会はありませんが、経営者として業績数値の動きをつかんでおく必要があります。とりわけ経常利益や固定費をタイムリーに把握することはとても大切です。緊急事態が起きれば、異常値に気づくのが数日遅れただけで、取り返しのつかないことになってしまいますから。
理屈上、固定費を限界利益の範囲内に抑えられれば赤字に陥ることはないので、《変動損益計算書》を見て、固定費が限界利益を下回っているかを最初にチェックします。
もし、経常利益が予想したほど伸びていない場合は、広告宣伝費や水道光熱費といった固定費の削減策を考えます。固定費にまず注目するのは、経営者が100%コントロールできる費用だからです。《変動損益計算書》の一番下に表示される経常利益から逆算して、打ち手を検討するようにしています。

──固定費の削減以外に検討する打ち手は?

三谷 商品構成が顧客のニーズに合致しているか、価格設定が適正であるかといった点を改めて確認します。おそらく同業他社は営業を強化して、売上高を伸ばそうとするでしょう。ただ売り上げを追求しても社員が忙しくなって、時間と心の余裕がなくなれば、ミスや顧客からのクレームが増えるだけ。当社はそうした方法はとりません。

業務効率化を徹底してダブルキャリアを推進

──さまざまな機能を活用して、仕訳入力業務の効率化を図られているとか。

従業員1人当たりの生産性の高さにより授与された表彰状

従業員1人当たりの生産性の高さにより授与された表彰状

三谷 当社では、社員に他社でも通用する人材になってもらうことを目指し、「ダブルキャリア」を推奨しています。実際に経理と広報を兼務したり、営業と商品開発に携わったりしている社員もいます。カギとなるのは業務効率化を徹底し、生産性をいかに高めるか。その点、『FX4クラウド』はとても有効なツールであると感じています。 また、システムに搭載されているあらゆる機能を活用して、仕訳入力をできるだけシンプルにしています。例えば、「銀行信販データ受信機能」や「証憑保存機能」、「エクセルからの仕訳計上」などにより、発生取引のうち約8割の仕訳入力を自動化。その結果、月次業績を把握できるスピードが早まり、毎月中旬には前月の月次業績を精緻に把握できるようになりました。

──取引金融機関に対して、毎月、業績を報告されているそうですね。

三谷TKCモニタリング情報サービス」を活用して、10行ほどの取引のある金融機関に電子申告と同時に年次決算書データを送信しています。もっとも、月次試算表はあえて送信せず、融資担当者とリアルに面談する際に開示することで話のネタのひとつとして使用しています。

──今後のビジョンを。

三谷 生活総合支援企業を追求するという、われわれの志に賛同してくれる仲間を広く募っています。起業志望者やフリーランス向けのコワーキングスペースを高松市に開設したのもその一環です。当社の価値観を共有できる提携企業や社員を増やし、地域社会からいっそう必要とされる企業づくりを目指します。

企業情報

本社/戸建プラザ徳島店

株式会社プラザセレクト

業種
住宅建築、不動産売買
設立
2015年2月
所在地
徳島県徳島市川内町平石若宮20-9
売上高
4億1,000万円
URL
https://www.kodate-plaza.jp/

株式会社プラザセレクトワークス

業種
住宅建築、不動産売買
所在地
香川県高松市木太町1913-10
売上高
1億1,000万円

顧問税理士 北條伊織
税理士法人徳島

所在地
徳島県徳島市昭和町8-46-20
URL
https://www.z-tokushima.com/

『戦略経営者』2023年4月号より転載)