TKC法律事務所実務セミナー2016 事例から学ぶ交通事件の弁護ー科学的弁護活動の追求 開催のご報告

 平成28年6月15日(水)、6月29日(水)の計2回、弁護士の高山俊吉先生(高山法律事務所)を講師にお招きし、2016年第5弾となる「TKC法律事務所実務セミナー2016」を開催しました。高山先生は交通事件の科学的弁護に先駆的に取り組んでこられた先生です。当日は交通事件の現場第一線での典型的事案や珍しい事案など、高山先生のご経験に基づき、弁護士が取り組む際の留意点等について実際のケースに基づいてご講演をいただきました。

交通事故事件への科学的アプローチ ~資料の収集~

高山法律事務所 高山 俊吉 先生

 交通事件の弁護は資料を集めることに成功するかどうかで決まるといえます。
 まずは、事情の聞き取りを徹底的に行いましょう。当時者から事情を丁寧・慎重・詳細に聞き取ることから始めてください。
 次に、現場の調査・写真撮影・道路地図の入手です。何度も現場に行って、調査をすることが大きなポイントとなります。現場に行って多くの写真を取ることと、道路地図は道路台帳を入手することが大切です。
 また、事故を起こした車両について、車両の調査・写真撮影・車両データの入手を行います。車両の写真は潰れた箇所のみならず、あらゆる角度から撮影し、正対写真も必ず撮ってください。そして、車両データは諸元表を入手しましょう。
 さらに走行データを入手しますが、ドライブレコーダーでは衝突の直前まで撮影されているので、事故の状況が把握できます。その際、撮影された1枚の写真からは、その時車がどの位置にいたのかがわかります。写真を見るときには、ドライブレコーダーのカメラの位置が重要となるため、撮影された位置を分析できるようになっておきましょう。
 そして、捜査記録を入手する際には、不起訴事件であっても、実況見分調書や写真撮影報告書以外の再生困難な捜査記録について広げて請求してみることが大切です

科学的知見で証拠を読み解く ~資料の分析検討~

「挑戦する交通事件弁護」(現代人文社刊・定価2,100円/税別)

【サブテキスト】
「挑戦する交通事件弁護」
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 まず、捜査記録を読み込むことが大切です。その際、捜査記録には警察の豊富な経験に基づく判断・認識が入っているということを頭におくようにしてください。
 そして解析文書については、鑑定書だけではなく再現実験データなど分析が入った資料があるため、「その内容がどれだけ確かなのか」を検証する必要があります。再現実験については、何も情報がない中で起こった事象を情報が与えられている状態で再現することの難しさがあります。そのため、再現実験データを見る際には、「被験者がどの程度の情報を持っている状態での再現か」という視点を加え、再現性があるかどうかを考えることが必要です。
 また、情報は必ず時系列に整理してください。時系列に整理することで、なぜ警察がその捜査をしなかったのか、捜査をしたが送致されていないのか、という視点が生まれます。
 そして何より、事故分析の決定的な手掛かりは必ず現場にあります。現場へ行く、現場で聞く・見る・写真を撮る、という現場から絶対に離れない姿勢を忘れないようにしてください。豊富な知識や経験がなくとも、そういう姿勢があれば事件の真相解明の手掛かりを掴むことができるはずです。

参加者の声

  • 「この事件特有の問題は何か」と考えることの大切さは全ての事件に通じることであり、大変良い学びとなりました。
  • 交通事件を担当する際の心構えから、資料収集の際の具体的な注意点まで、大変分かりやすく教えていただき勉強になりました。
  • 実例をもとに事実を探求したケースのご紹介が非常に参考になり、弁護士としての姿勢等まで含め、とても勉強になりました。
  • 刑事・民事問わず、交通事件の処理の大きな参考となりました。
  • 事件に対しての考え方、特に捜査官作成の書面等への認識等への考え方として大変参考になりました。