ユーザーインタビュー

有限会社肥前観光 様

有限会社肥前観光 様

後列右から、山浦税理士、出雲社長、前田専務

観光バスの保有台数を増やし
成長とげる

有限会社肥前観光 出雲正人社長
山浦義行税理士事務所 山浦義行税理士

 伊万里焼のほか、梨などのフルーツや伊万里牛の生産地としても有名な佐賀県伊万里市。そこで観光バス(貸し切りバス)事業を営んでいるのが肥前観光だ。農協のバス旅行や、地元の小中学校の遠足・修学旅行などの需要に応えている。JTBや近畿日本ツーリストなど大手旅行会社からの引き合いも増えており、ここ数年、右肩上がりに売り上げを伸ばしている。

 保有するバスの数は現在25台。青地に黄色い文字で「HIZEN」と書かれているのが、肥前観光バスの目印だ。九州周辺エリアはもちろん、依頼があれば大阪や東京など全国各地にバスを出す。出雲正人社長は「高校野球の応援に甲子園まで行くこともあれば、富士山ツアーにバスを走らせることもあります」と話す。

「安全教育」を徹底

「地下給油装置」を設置して、自社で給油できる体制を構築

「地下給油装置」を設置して、自社で給油できる体制を構築

 出雲社長は、もともと地元農協の職員だった。農協のなかには「梨部会」や「きゅうり部会」などいくつもの部会があり、それぞれが研修・視察旅行をおこなっていた。マイクロバスを借りて目的地まで連れていったりしていた出雲社長は、やがてこれを自分のビジネスにすることを思い立つ。その後、2005年に設立したのが肥前観光だった。

「私たちの強みは、自前でバスの保守・メンテナンスができる点です」と出雲社長はいう。実は出雲社長、ドライバーの資格のほかに、メカニック(自動車整備士)の免許も持っている。油圧系統の故障やエア系統の故障など、長年使い続けた車両になると、どこかしら傷んでくるものだが、ある程度の修理なら外部の専門業者を頼らなくてもできるのだ。

 また、現在22名が在籍するドライバーの教育に力を入れているのも、同社の特徴の一つ。毎月の安全教育研修を必ず実施して、安全運転と親切な顧客対応を徹底している。出雲社長の実弟で、総務を担当している前田文生専務は、「取引先の旅行会社さんからいつも『バスの車内をいつもきれいにしている』とか、『ドライバーの対応がよい』といった評価をいただいています」と話す。こうしたサービス面の向上こそが、競合他社との差別化を図る一番のポイントになると考えている。

積極的な情報開示で融資獲得

TKCモニタリング情報サービス

 そんな肥前観光が、「TKCモニタリング情報サービス」を利用するようになったのは昨年から。きっかけは、税務顧問の山浦義行税理士からの提案だった。創業当時から顧問契約を結んでいる山浦税理士には絶対の信頼を寄せており、出雲社長と前田専務はすぐにその提案に乗ったという。

 TKCモニタリング情報サービスは、TKCシステム利用企業からの依頼に基づいて、TKC会員(税理士・公認会計士)が決算書や月次試算表等のデータを金融機関に提供する無償のクラウドサービスである。TKCの会計事務所の指導をもとに作成される信頼性の高いデータであることから、金融機関は取引先企業の経営状況を正しく把握することができる。肥前観光ではこのサービスを利用して、決算書のほか、四半期ごとに月次試算表のデータを地元の銀行・信金に送ることもしている。

「TKCモニタリング情報サービスを利用するようになってから、金融機関の担当者は事前に当社の経営状態をしっかり把握したうえで営業に来るようになりました。『経営計画どおりに進んでいますね』とか、『次はいつクルマを買い替えますか』といった話を金融機関からしてきます」(前田専務)

 観光バスの買い替え周期は15~20年が一般的。だが最近は国の指導も厳しくなり、高年式車両(新しいバス)の保有割合や、自動ブレーキ付きバスの保有台数などが問われるようになり、ここ2年で大型バス3台を新車購入するなど設備投資を進めている。そのための資金は金融機関からの借入金でまかなった。「すんなり融資に応じてくれたのは、TKCモニタリング情報サービスを通じて自社の経営状況を包み隠さず報告していたことも要因の一つだったと思います」と前田専務はいう。

 ちなみに肥前観光では、TKCの財務会計システム『FX2』の部門別管理機能を使って、バス1台ごとの採算がわかる体制を築いている。とくに大型バスについては、車両ごとに専属のドライバーがついており、燃費のよい走行を心掛けているかどうかなどが一目瞭然。きめ細かい業績管理をしていくことで経費節減に努めている。こうした経営姿勢も金融機関が高く評価しているところだ。

 山浦税理士は「いまは無担保のプロパー融資をしてくれるまでに、金融機関と良好な関係を築けています。保有するバスの台数を増やすごとに会社の売り上げも伸びており、さらなる成長が期待されます」と話す。

インバウンド需要を狙う

 TKCモニタリング情報サービスを通じて金融機関に提供できるのは、財務状況を示したデータばかりではない。経産省が考案した「ローカルベンチマーク」の帳表を用いて非財務情報(経営ビジョンや外部環境など)についても伝えることが可能になっている。肥前観光もそのローカルベンチマークを、決算書データを提供する際に一緒につけているという。

 そんな同社が近年、〝伸びしろ〟のある分野として注目しているのが、インバウンド需要だ。地元客からの要請が落ち着く冬場(12~3月)のオフシーズンを中心に、外国人観光客向けの仕事を積極的に取りにいっている。

「九州を訪れる中国人観光客の数は増えています。福岡、長崎、佐世保などの港にクルーズ船でやってきて、九州各地を観光します。その際の移動手段として、貸し切りバスが利用されているのです」(出雲社長)

 たとえば福岡なら太宰府天満宮、キャナルシティ博多、福岡タワー……といった具合に、人気スポットを巡るバス旅行のサービスを3年ほど前から請け負うようになったところ、複数の旅行会社から声が掛かるようになった。

「年間通してインバウンド需要に力を入れている業者に比べれば、その数は少ないものの、オフシーズンの穴を埋める有効な手だてになっています」(前田専務)

 このインバウンド向けのサービスにおいても、顧客から高く評価されているのは安全運転やドライバーの対応のよさ。この強みを武器にしながら、出雲社長と前田専務の2人はさらなる高みを目指す。

有限会社肥前観光
設立
2005年7月
所在地
佐賀県伊万里市東山代町長浜2407-2
社員数
25名
URL
https://www.hizenkanko-bus.com/
山浦義行税理士事務所
所在地
佐賀県伊万里市立花町2404-50
URL
http://yamaura.tkcnf.com/

『戦略経営者』2018年2月号より転載