ユーザーインタビュー

株式会社ミクニ舎 様

株式会社ミクニ舎 様

左から、坂本和繁税理士、稲葉了大社長、髙林和正・監査担当

金融機関にメリットを与える
情報開示の重要性

株式会社ミクニ舎 稲葉了大社長
税理士法人エルムパートナーズ 坂本和繁税理士、髙林和正・監査担当

 住み慣れたわが家の老朽度合いを、いやが応でも周囲に知らしめてしまうのが、「外壁」だ。外壁がひび割れたり、表面の塗装がはがれ落ちたりはもちろんだが、「変色・退色・色あせ」といった劣化についても、持ち家の〝肌年齢〟を如実に表してしまう。

質の高い塗装工事を提供

 そうした人の目にふれる機会の多い外壁を一気に若返らせる工事を得意にしているのが、北海道滝川市に本社を置くミクニ舎だ。札幌市を中心に、外壁や屋根の塗装を中心とした住宅リフォームの仕事を数多く受注している。とりわけ多いのが、教職員OBからの引き合いだ。

 先代社長(渡辺恭久氏)の娘婿で、13年前に社長に就任した稲葉了大氏(50)がこう語る。

「依頼主に学校の先生をしていた方が多いのは、先代社長の交友関係によるものです。かつて教育大学で一緒に学んだ仲間が、教員時代のツテをたどって営業活動を進めてくれたことから、教職員OBの間にミクニ舎の存在が知れ渡っていったのです」

 教職員OBだけにとどまらず、警察や市の職員にもミクニ舎の評判が飛び火し、やがて一般ユーザーからの依頼も増えていったのは、それだけ質の高い塗装工事を提供してきたからである。顧客からの要望に応えていくなかで、浴室やキッチン等のリフォームにも対応するようになった。

「どんぶり勘定」から脱却

看板・サインの工事も手がける

看板・サインの工事も手がける(建物は、ミクニ舎の本社)

 1931年に創業したミクニ舎が長年にわたり経営の柱にしてきたのは、公共工事。地元の官公庁舎や郵便局などの塗装工事を多数請け負ってきた。

「近隣の市町村には、ミクニ舎から独立して事業を行っている元社員の経営者が何人もいます。大きな工事を受注したときは、先輩たちがどんどん応援に駆けつけてくれる。それが当社の強みですね」

 だが、バブル崩壊を境に公共工事自体の数が減少していき、ミクニ舎も苦しい経営を迫られていった。そうした中で、新たに目を向けるようになったのが、個人住宅をターゲットにした塗装・リフォームの分野だったのだ。

「今から5年ほど前は本当に苦しい状況にさらされました。そこから盛り返すことができたのは、住宅関係の営業がうまくいったことに加え、税理士法人エルムパートナーズさんの指導のもとに、きちんとした業績管理体制を築けたことが大きかったと思っています」

 経営状態が悪化する中で、取引先の金融機関からそれとなく「もっと厳しい目で指導できる税理士に代えたほうがいい」と助言されたことが、税理士法人エルムパートナーズと顧問契約を結ぶきっかけだった。TKCの財務会計システムで自計化をし、月次決算を実施するというやり方は、これまでいわゆるネンイチ(年1回の決算時期のみ指導)の会計事務所しか知らなかった稲葉社長にとって非常に新鮮なものだった。

「以前は、〝どんぶり勘定〟もいいところでした。決算の直前まで、その年の正確な損益が分からない状態だったのです。唯一、私がリアルタイムに把握していたのは手元にある現金の量だけ。これだけは金庫の中をのぞけばすぐに分かりますから(笑)」

 ところが、坂本和繁税理士や髙林和正・監査担当の指導のもと月次決算体制を築くと、会社の経営状態が数字でタイムリーにつかめるようになった。これにより、経営改善のための有効な手を次々に講じていけるようになり、次第に業績は回復。いまではすっかり黒字路線を歩んでいる。

決算書データをネットで提供

 稲葉社長は前回の決算から、「TKCモニタリング情報サービス」を利用して、自社の決算書等のデータを取引先の金融機関(北洋銀行、北門信金)に提供することをはじめている。TKCモニタリング情報サービスとは、TKC会員の会計事務所が関与先企業の法人税等の電子申告を行うと、税務署に提出した決算書・申告書のデータが自動的に取引金融機関に開示される無償のクラウドサービスのこと。同サービスの利用推進に積極的な坂本税理士からの提案に応じるかたちで、稲葉社長は利用に踏み切った。

TKCモニタリング情報サービス

「今年5月、TKCモニタリング情報サービスを利用して決算書や申告書等のデータを金融機関に提供しました。以前は決算書をコピーして金融機関に持参していましたので、今回は非常にラクでした」

 実は、稲葉社長は元信金マン。ミクニ舎に入社する前は、地元の信用金庫で働いていた。それだけに、TKCモニタリング情報サービスが金融機関との関係性をより深めていくための貴重なツールになるであろうことを十分に理解している。

「電子申告したデータがそのまま金融機関にインターネット経由で送信されるわけですから、その数字の信頼性は担保されています。これをもとに融資審査などができるのは、金融機関にとって大きなメリットとなるはずです」

 TKCモニタリング情報サービスには、決算書や申告書等のデータを提供する「決算書等提供サービス」のほか、TKC会員による月次巡回監査の終了後に、金融機関へモニタリング用の月次試算表等のデータを提供する「月次試算表提供サービス」もある。こちらについても稲葉社長はまもなく利用を開始する予定だ。

 うれしいことに、5月に決算書のデータを送った後、取引先の金融機関から新規融資を提案する話が持ち込まれたという。これは、決算書に記された会社の好調な業績もさることながら、財務情報の開示に積極的な姿勢が評価されたのではないかと、稲葉社長は見ている。

 将来的には、中古物件の売買事業にも参入したいという思いを抱く稲葉社長。そのときに潤沢な資金を融資してもらうためにも、金融機関との信頼関係構築は欠かせない。

株式会社ミクニ舎
創業
1931年4月
所在地
北海道滝川市流通団地2丁目4番6号
社員数
16名
売上高
約4億円
URL
http://www.mikunisha.co.jp/
税理士法人エルムパートナーズ
所在地
北海道滝川市緑町1丁目3-31
URL
http://www.tkcnf.com/elm/

『戦略経営者』2018年8月号より転載