株式会社ライフサポート様

田辺功社長・山口智監査役と石原税理士

統合型会計情報システム(FX4クラウド)ユーザー事例

「従業員別」の部門別管理が
限界利益率の向上を促す

突然おとずれる水回りの「困った」を解決する“水道屋さん”として、関東を中心に営業展開しているのが、東京・八丁堀に本社があるライフサポートだ。現場で働くスタッフがもっとやりがいを持って働ける水道設備会社を作りたい――そんなビジョンを掲げて2008年に創業した同社では、昨年秋にTKCの『FX2』から『FX4クラウド』に切り替えた。その意図などを田辺功社長(48)と、経理を担当する山口智監査役の2人に話してもらった。

「三方よし」の理念のもと顧客満足を追求

――水道設備事業がメーンと聞いています。

田辺功社長

田辺功社長

田辺 一般家庭から商業ビルにいたるまで、水道局指定工事業者としてさまざまな水のトラブルに対応しています。キッチンやトイレの水漏れに電話一本で駆けつけます。また修理のほか、給排水設備をリフォームする仕事も請け負っています。

――主な商圏は?

田辺 基本的には、東京、神奈川、千葉、埼玉といった関東を主体に展開しています。あとは、仙台を中心とした宮城県エリアです。

――ほかにも「Tポイント事業」を手がけているそうですね。

田辺 Tポイントは「TSUTAYA」を展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブが運営するポイントサービスで、全国のTポイント加盟店でポイントを貯めたり使ったりできます。そうしたTポイント加盟店になるためのコンサルティング業務を展開しています。つまりTポイントの「代理店」という位置付けです。実は、われわれ自身が水道業界で唯一のTポイント加盟店で、ブランド力の向上や顧客獲得に高い成果をあげています。その導入メリットを他の中小企業にも知ってもらいたいと考え、Tポイント事業を新たに始めました。

――現在の経営環境はいかがですか。

田辺 景気回復の兆しがまだまだ見えない状況で、お客さまが水のトラブルやリフォームにどれだけお金をかけられるかがポイントなのですが、以前に比べて圧倒的に厳しい状態なのは確かです。そうした中でやっていくためには、他社との差別化がどうしても欠かせなくなります。しかしそれを価格面の競争だけでやっていくと、いつかは限界がきます。材料などの原価がかかっている商売であることから、安易に料金を下げられないところがあるんです。
 であるなら、どこで差別化すればいいかというと、結局は「ヒト」ではないでしょうか。お客さまのもとに出向いてパッと作業を済ませ、じゃあサヨナラではなく、やはり訪問したときの気持ちのよいあいさつだったり、作業中の丁寧な対応だったり、あるいはその後のアフターフォローも重要な要素になってきます。それをきちんと実践していくための社員教育や技術研修にはとにかく力を入れています。

――会社の基本理念は「三方よし」ということですが……。

田辺 お客さまはもちろん、関係会社(管材卸会社や工事建築会社など)や自社の従業員にも満足してもらえるような関係を築きたいと考えています。仕入れ先との関係がうまくいっていないと、深夜に急に材料が必要になったりした際に気持ち良く協力してもらうことは難しいし、従業員が仕事で大きなストレスを感じていたのでは、お客さまに満足いくサービスを提供できるわけがない。だから一方的な値切り交渉を仕入れ先に迫ったり、社員に無理な働き方を強いるようなことはNG。いかにウイン―ウインの関係を周囲の人々と築けるか。そこを大事にしています。

経営判断に必要なデータをどこにでも持ち運べる

――業績管理には『FX4クラウド』を活用されているそうですが、導入の経緯を教えてください。

山口智監査役

山口智監査役

山口 もともと会社設立当時から、TKCの財務会計ソフト『FX2』を利用していました。しかし会社が少しずつ大きくなるにつれて、勘定科目を自由に設定できないため、経営陣の知りたい情報をストレートに反映できる資料がなかなか作れなかったり、複数の経理スタッフで同時入力できないなど、多少の物足りなさを感じるようになってきました。
 それらの課題を一気に解消できる『FX4』の存在は前々から知っていましたが、高額なサーバーを購入しなければならないなど、初期投資の面でわれわれのような中小企業には負荷が大きいところがありました。ところが昨年秋にクラウド版が出て、初期投資をあまりかけずに始められるようになったことから、すぐに導入を決めました。

――実際に使ってみて印象は?

田辺 ネットに接続できるノートパソコンがあれば、どこでも最新業績が見られるところがうれしいですね。われわれの場合、営業担当者がいろいろな場所に散らばって働いていることが多いため、夜遅くなってから本社とは別の場所に集まり会議をすることも少なくありません。その際には『FX4クラウド』が入ったノートパソコンを経営幹部たちが持参して、各種データを見ながら踏み込んだ議論をしています。
 経営判断はスピードが第一です。チャンスを逃さない、あるいはピンチからいちはやく脱出するためには、スピーディーな経営判断をしていくことは不可欠です。そのための情報を常に持ち歩けるわけだから、考えてみればすごいことです。

――部門別管理はどのように行われていますか。

山口 うちの場合、少し極端な例かもしれませんが、従業員一人ひとりを部門に見立てて業績管理をしています。つまり「従業員別の業績管理」を実践しているわけです。いま70名ほどの社員が在籍しているので、約70部門あるということです。
 この仕組みを通じて、それぞれの社員が毎日どれだけ稼いできているかを正確に把握するようにしています。さらに、その人の売り上げと、そのためにかかった経費(仕入れ原価や外注費など)の対比が、自社の標準的なパーセンテージと比べてバランスの悪いものになっていないかも確認しています。
 また『FX4クラウド』には「部門の階層管理」機能があるので、現場スタッフを指揮する“班長”の下に個人をぶら下げて「チーム」としての成績を知ることもできるし、さらにもう一つ上の階層にあたる「営業部」(現在四つ)ごとの成績を見ることも可能です。実際このようにして、さまざまな角度から経営分析をしています。

――特に注目している帳表類はありますか。

田辺 《365日変動損益計算書》ですね。コンスタントに営業成績をあげている社員はいつも好調だとイメージで思い込んでしまうところがありますが、時期によっては「穴」がある。この帳表を各個人ごとによく見ていくと、あらためてそのことに気付かされます。

――《365日変動損益計算書》の特徴のひとつに「1年前の今日といつでも業績比較ができる」ことがありますが……。

山口 過去のデータを調べていくと、例えば「12月のこの日とこの日は売り上げがなぜか2年間とも落ちている」といった具合に、受注が落ちる時期や日がどのあたりか見えていきます。それが分かれば、たとえ今年も同じ時期に受注が落ちたとしても不安になりませんし、売り上げが落ち着く時期を社員の教育研修にあてたりするなど、前向きな時間の使い方ができます。こうした点からも、昨年同日比が簡単につかめるというのはメリットがあります。

MR設計ツールを使って独自のテンプレートを作成

――会社全体の限界利益率をよくしていくためには何が必要だと思いますか。

田辺 会社にとって理想的な原価バランス(売上高と仕入れ原価等の対比)をより多くの社員が認識しながら仕事をしていくことではないでしょうか。個人個人ではちょっとした金額の差でしかありませんが、社員みんなが1%の改善に努めれば、会社全体では大変な金額となる。そうした指導を部長クラスのリーダーが部下の社員に対してきちんと行っていけるかどうかが、大きなカギを握ります。

――『FX4クラウド』にある「マネジメントレポート(MR)設計ツール」の機能は使っていますか。

山口 ええ、経営陣が知っておくべき、売上高、損益分岐点売上高、固定費などの数字が一つの画面に要約して見られる自分たち独自のテンプレート(オリジナル帳表)を作ったりして活用しています。

――会計事務所のサポートについてはどんな印象をお持ちでしょうか。

石原恵子顧問税理士

石原恵子顧問税理士

山口 何かあったら毎月の巡回監査の時などに気軽に相談できるのは安心感につながります。この部分が、経理を担当する私にとっては実にありがたいことです。

石原恵子顧問税理士 ライフサポートさんは、他のお客さん(関与先企業)と比べても1、2を争うほどにTKCシステムを使いこなしています。データを会社が成長していくために本当によく活用されており、単に過去のデータを見るだけにとどまらずに、将来の経営戦略に役立てているところが素晴らしいです。

――今後の展望は?

田辺 会社の規模をもう少し大きくしていきたいというのがあります。そのためにはもっと土台がしっかりしていないといけません。土台を固めるためには、やはりそれぞれの従業員の意識が大事。各自の意識を高めていけば、おのずと会社の売り上げも伸びていくはずです。

企業情報

株式会社ライフサポート

株式会社ライフサポート

所在地
東京都中央区八丁堀2-20-9
TEL
03-3537-7710
売上高
約11億円
社員数
約70名
URL
http://www.life-support-e.net/

顧問税理士 石原恵子
石原恵子税理士事務所

所在地
東京都杉並区宮前1-16-23
TEL
03-3332-0288
URL
http://ishihara-tax.tkcnf.com/

『戦略経営者』2012年11月号より転載)