丸源起業株式会社 様

社長と専務をはさんで右に
加藤武人顧問税理士、 左に越陽祐監査担当

統合型会計情報システム(FX4クラウド)・月次決算速報サービス ユーザー事例

月次業績を迅速に把握し
理念重視の経営にまい進

50年をこえる業歴を持つ丸源起業は「革新的な環境創造」を掲げ、廃棄物のリサイクルにいち早く取り組んできた。冨一美社長が推進する「経営理念を基盤に置いた部門別業績管理」の詳細を冨誠専務、加藤武人顧問税理士、越陽祐監査担当を交えて聞いた。

環境と懐にやさしい高品質なリサイクル燃料

──廃棄物処理のワンストップ化をうたわれています。

冨一美社長

冨一美社長

冨社長 産業廃棄物の中間処理および再資源化が中核事業で、環境ソリューション事業と総称しています。具体的には、収集した廃棄物を千葉県内4カ所にある処理工場に運搬し、多様なリサイクル燃料に再生しています。

──リサイクル燃料とは?

冨専務 おもに製造、販売しているのは、廃プラスチックや紙くずなどを原料にした固形燃料とフラフ燃料です。これらは製紙工場や火力発電所、セメント工場で、石炭等の化石燃料に代わる製品として用いられています。ペレット状のものから細かく粉砕したものまで、取引先のニーズに応じてつくり分けられるのが当社の強みです。現状では、品質面において、国内トップクラスであると自負しています。

社長 フラフ燃料を製造しはじめたのは、大手セメント会社の方から相談されたのがきっかけです。異物の混入防止対策など試行錯誤を繰り返し、製品化にこぎ着けました。

──ユーザーにとって、どんなメリットがありますか。

専務 石炭使用時と比較して、二酸化炭素排出量を約33%削減でき、なおかつコストも抑えられます。新型コロナやウクライナ戦争の影響で、石炭価格はピーク時にはコロナ前の4倍ほど高騰しました。リサイクル燃料は景況に左右されにくく、当社は1トン5,000円前後と安定した価格で販売しています。

──環境にも懐にもやさしいということですね。一般家庭からの廃棄物は扱っていますか。

冨誠専務

冨誠専務

専務 地元自治体をとおして収集を相談される機会もありますが、基本的に一般家庭は対象にしていません。ただ、一般家庭ごみの集積所があるスーパーマーケットや、地元農家の方の依頼を受けて収集するケースは若干あります。

社長 横芝光町との協定により、工場が災害発生時の廃棄物受け入れ先に指定されているのも当社の特徴です。2019年に台風が千葉県に上陸した際には、横芝光町のほか南房総市や山武市で発生した廃棄物を受け入れました。地域の方々に、丸源起業があってよかったと感じてもらえるよう、社会の公器であるとの意識を持って励んでいます。

──働き方で工夫されている点を教えてください。

専務 社員が工場内で担当する作業を明確化し、手が空いたら担当外の作業を手伝うワークシェアのような働き方を取り入れています。また、早番や遅番といったシフト制を導入して、月ごとの生産計画に基づいて各社員にシフトを割り当てています。従来、平均残業時間は月間60時間を上回っていましたが、こうした取り組みにより30時間前後まで削減できました。待遇面では、人間性を重視した実力主義を掲げており、昇給ペースが早く、給与額も同業他社より高い方だと思います。

8部門の業績をもとに3大経費の動向を注視

──加藤武人税理士事務所と顧問契約を結ばれて17年ほどになると聞きました。『FX4クラウド』を導入された経緯をお聞かせください。

ニーズに応じたリサイクル燃料を製造

ニーズに応じたリサイクル燃料を製造

専務 当初は『FX2』を利用していましたが、経営戦略室室長のパソコン1台で運用していたため、会社の業績を知りたいとき室長のデスクに赴く必要がありました。細かい点をいろいろ質問するので、きっと煙たがられているだろうと思っていたんです(笑)。そうしたなか、監査担当の越さんから、複数のパソコンで利用でき、業績が気になるときにいつでも確認可能なクラウド型のシステムがあると紹介され、移行しました。

──ふだんどんな点を重点的にチェックされていますか。

専務 《365日変動損益計算書》でよく確認しているのは、うちの3大経費である外注加工費、消耗品費、修繕費の推移です。例えば、売上高が前年同月比で10%上昇したにもかかわらず、これらの経費が前年同月比11%上昇していると、何となく気持ちが悪い。なぜ9%に抑えられなかったのか、原因を追究します。3大経費の合計額が1%変動するだけで、年間利益額は2,000万円ほど変わってくるんです。
 着地した業績数値の原因を仕訳にさかのぼって掘り下げられるのが、TKCシステムの良いところです。原因を丹念に調べてみると、翌月に計上されるべき経費が当月に計上されているといったことが間々あります。いずれにせよ、月次決算後、《365日変動損益計算書》を片手に一杯やるのが習慣になっています(笑)。

──社内で月次業績を共有されているとか。

社長 当社は稲盛和夫氏が提唱していたアメーバ経営を実践するべく、部門別採算制度を長年取り入れてきました。毎月開催している「アメーバ経営会議」には、部門長とわれわれが出席して、部門別の業績を確認しながら、黒字や赤字にいたった背景や、大幅に変動した経費があればその原因を把握しています。ただ数字を追い求めるだけでは不十分で、大切なのは心構え。会議の冒頭、経営理念を唱和して、ベクトルを合わせるようにしています。

──『FX4クラウド』での部門分けはどのように?

専務 収集運搬、破砕、営業などからなる採算部門と、経営戦略室等の非採算部門の二つに大きく分け、合計8部門を登録しています。非採算部門で発生した人件費を除く経費は、全社共通費として集計し、工場ごとに案分しています。

スマホに届く速報データでタイムリーに振りかえる

──最新業績がスマートフォンに届く「月次決算速報サービス」も利用されているとか。

冨誠専務_02

専務 サービスの利用を越さんからすすめられた際、ぜひ利用してみたいと率直に感じました。巡回監査に同席できない月もあるので、監査後の正確な数字が即座に送られてくるのはありがたいです。

──使い勝手はいかがでしょう。

専務 売上高や限界利益の推移をグラフで視覚的にとらえられるのは助かります。やはり目がいくのは、経費の変動ですね。大幅な変動があると、『FX4クラウド』で原因をすぐに探っています。

加藤税理士 われわれの事務所では「FXクラウドシリーズ」を利用されている大半の関与先企業さまに、このサービスの活用を提案しています。《365日変動損益計算書》を折にふれて確認されている冨専務にとって、答え合わせをしているような感覚ではないでしょうか。

──3年前、地元地銀など4行による協調融資の1号案件になったと聞きました。

月次決算速報サービスでメール送信される情報の一部(サンプル)

月次決算速報サービスでメール送信される
情報の一部(サンプル)

社長 千葉銀行から、サステナブル経営を推進する企業向けのグリーンローンを設けたので活用してはどうかと、すすめられたのがきっかけです。決算書や経営計画書等を迅速に提出したところ、驚くほどスムーズに審査をパスしました。複数のメディアで取りあげられるなど反響も大きく、信用力向上につながったと感じています。設備投資資金を円滑に調達できたのは、加藤先生によるご支援のおかげです。

加藤税理士 丸源起業さまの取り組みで特筆されるのは、冨社長が話されたように、経営理念に立脚した経営を志向されているところ。金融機関から融資を打診されたのも、たゆまぬ月次決算と業績のディスクロージャーのたまものです。

──展望をお聞かせください。

社長 各地に点在している工場を1カ所に集約するべく、3月に約2万坪の事業用地を取得しました。自前のリサイクル燃料による発電事業や、野菜工場の運営を構想しています。これからも革新的な環境創造をモットーに、地域社会に貢献する企業であり続けたいです。

企業情報

2017年から稼働している処理工場「ひかりエコステーション」

2017年から稼働している処理工場
「ひかりエコステーション」

丸源起業株式会社

業種
産業廃棄物処理業
創業
1973年4月
所在地
千葉県山武郡横芝光町曽根合77
社員数
75名
URL
http://www.marugenkigyo.com

顧問税理士 加藤武人
加藤武人税理士事務所

所在地
千葉県千葉市中央区新宿2-5-3 大同生命ビル5F
URL
https://www.tkcnf.com/takema

『戦略経営者』2025年5月号より転載)