金城重機株式会社様

金城重機株式会社

統合型会計情報システム(FX4クラウド)ユーザー事例

緻密な業績管理をベースに地盤補強工事で全国展開

軟弱地盤の上につくられる住宅を「不同沈下」の被害から守るためには地盤調査・地盤補強工事が欠かせない。その分野でそれぞれ年間約4000件の実績を誇るのが、千葉県松戸市に本社を置く金城重機だ。TKCの『FX4クラウド』で3階層の部門別業績管理を行っている金城勉社長(49)に話を聞いた。

不同沈下から住宅を守る地盤補強の高い技術力

──地盤調査や地盤補強(設計・施工)がメーンだとお聞きしました。

金城勉社長

金城勉社長

金城 おもな取引先は、大手ハウスメーカー、中小工務店、設計事務所などです。一戸建て住宅を建てる際の地盤調査、地盤補強工事を手がけています。

──地盤調査はなぜ行わなければならないのですか。

金城 地盤が弱いのに何の対策も施さないでいると、せっかく家を建てても不同沈下(建物の不均等な沈下)が生じて建物が傾くおそれがあります。それを避けるうえでも、地盤調査は欠かせないのです。
 戸建て住宅においては、「スウェーデン式サウンディング試験」で地盤を調査するのが現在最もポピュラーなやり方です。当社の場合、それに事前調査(資料調査、現地踏査)を加えることで、より正確な調査を行っています。

──地盤補強工事にはいくつかの種類があると聞きました。

金城 地表面から2メートル以内に安定した地盤があれば、「表層地盤改良」の工法を選びます。軟弱な地盤の土とセメント系の固化材を混ぜ合わせて改良地盤を作ります。
 また、地表から2メートル以上、8メートル以内に安定地盤がある土地なら「柱状地盤改良」が適します。杭打ち機(パイルドライバー)を使って土の中にコンクリートの柱を作ってしまうものです。
 このほか、もっと深い場所にある安定地盤に鋼管を回転させながら圧入していく「回転圧入小口径鋼管」の方法があります。

──年間を通じてどのくらいの数の地盤調査、地盤補強工事をしているのですか。

金城 それぞれ年間約4000件を手がけています。

──全国各地に営業所を出されていますね。

金城 現在、10営業所(埼玉、千葉、東京、神奈川、愛知、大阪、福岡、熊本、宮崎、鹿児島)があります。昨年までは青森、岩手、宮城、福島にも営業所がありましたが、100%出資の別会社「金城重機東北」を設立したことにより、現在はそちらに移管しています。また、沖縄県で営業をするグループ会社「沖縄住宅地盤」もあります。

──会社のPRポイントといえば?

菅原初義顧問税理士

菅原初義顧問税理士

菅原初義・顧問税理士 調査、設計、施工の各段階における、高い専門知識をもったスペシャリストがそろっていることや、施工機械が充実している点などが挙げられるでしょう。杭打ち機や油圧ショベルなどの施工機械をレンタルで利用している同業者も多いなかで、金城重機さんはほとんど自前でまかなっています。その分、取引先の要請にスムーズに対応することができています。

──創業は1986年でした。

金城 私はもともと沖縄の出身で、地元の高校を卒業後、沖縄産業開発青年隊(建設技能者育成のための職業訓練校)に入り、建設機械の資格を取りました。その後、兄を頼って上京し、千葉県の会社に就職。やがて独立して、千葉県内で建設機械のレンタル業をはじめました。しかしバブルが崩壊し、建設業界の先行きが不透明になったことから、もう一つ別の経営の柱を作ろうと地盤改良の仕事に参入したのです。

──地方に営業所を増やしていったのは、全国各地に支店をもつ大手ハウスメーカーの要請からだったのでしょうか?

金城 いいえ、そういうわけではありません。自分たちの判断のもとに、地方に営業所を作っていきました。というのは、大手ハウスメーカーさんとの取引を増やすには、「地方から攻めたほうがよい」との戦略を描いたからです。千葉や東京などの都市部にはライバルが多く、最初は思うように大手の仕事を取れなかった。でも、地方なら同業者の数が少ないため、まだ発展途上にあった当社にも大手の仕事が回ってきたし、そこで実績を作っておくと、地方支店にいた工事責任者が転勤で都市部に異動したときに「金城重機ならちゃんとやってくれる」と言って仕事を回してくれるようになる。このように外(地方)から中(都市部)に入っていく戦略で、複数の大手さんとの取引を増やしてきました。

部門別の業績管理を通じてどの地域がチャンスかを判断

──TKCシステムを使い始めたいきさつを教えてください。

金城 会社設立当初からお世話になっている菅原先生の推薦もあって、10年ほど前に『FX2』を導入しました。業績判断をリアルタイムに行うためには、システムによる自計化が欠かせないと思ったんです。そして昨年6月、『FX2』から『FX4クラウド』に切り替えました。

菅原初義顧問税理士

「スウェーデン式サウンディング試験」や
「ボーリング試験」で地盤調査を行う

──業績管理の重要性についてどのように考えていますか。

金城 受注件数を増やして売上高を伸ばしていくことも重要ですが、人件費をはじめ経費を使いすぎていたのでは、獲得できる利益が減ってしまう。そうしたところに目を光らせながら、適切な経営判断をしていくためにも、業績管理は大切だと思っています。
 また、営業所別の部門別管理をすることにより、今はどの地域がチャンスなのかが見えてきます。たとえば中部圏の売り上げが最近伸びていて、この傾向がしばらく続きそうだと判断すれば、それに見合った機械や人の配置をする。杭打ち機などを運ぶのにはそれなりに時間がかかります。いくら自前で持っているとはいえ、明日使いたい場所へすぐに運ぶことはできないのです。ある程度予測を立てて、機械や人の配置をしていく必要があるわけですが、その判断のよりどころになるのが《365日変動損益計算書》などの『FX4クラウド』から出てくる帳表類なのです。

──部門別管理をどんな形でおこなっているか教えてください。

金城 『FX4クラウド』導入を機に、3階層に分けて管理しています。
 1段目の階層には、「関東」「東北」「九州」「中部」「大阪」の5部門を設け、各エリア単位の業績をつかめるようにしています。つぎに2段目の階層では、例えば「関東」の下に①千葉営業所②神奈川営業所③埼玉営業所④東京営業所の4部門をぶら下げるといった具合に、営業所ごとの業績がわかるようにしています。そして①千葉営業所に関しては、さらに細分化して「千葉県の営業地域」と「東京都の営業地域」の数字がそれぞれ把握できるようにしています。これが3段目の階層に当たります。

「プロジェクト管理」機能で太陽光発電事業の採算性を確認

──『FX4クラウド』の導入によって、経理担当者の負担が軽減されたそうですね。

高橋恵美子・監査役 従来は、各営業所の会計データをすべて本社に集約して、システムに仕訳入力していました。しかし営業所の数や取引量が増えたこともあり、作業が追いつかなくなってきていました。そこで、現金出納帳のデータについては、各営業所でスプレッドシートファイルにまとめてもらい、それを「仕訳読込テンプレート」を用いて『FX4クラウド』にデータ連携するようにしました。おかげで仕訳入力の負担がだいぶ減りました。

──「プロジェクト管理」機能も活用されているとか?

金城 近年、太陽光発電事業をはじめていて、千葉県(鎌ヶ谷市、東金市)と沖縄県(今帰仁村)に太陽光パネルを設置し、売電をおこなっています。そのプロジェクトの採算性を管理するのに使っています。

菅原税理士 プロジェクトの期間は、会計期間をまたいで指定できます。長期のプロジェクトの採算性を確認していくうえで便利な機能といえます。

──今後の展望は?

金城 全国すみずみまで、当社のサービスが届けられるようにしたいというのが目標です。山陰や四国が空白エリアとなっているので、いずれは進出したいと思っています。ただ、そのためにはリーダーとなる人材の育成が急務。そこが一番の課題ですね。

企業情報

金城重機株式会社

金城重機株式会社

設 立
1991年3月
所在地
千葉県松戸市高塚新田512-19
TEL
047-330-9111
売上高
約28億円
社員数
約180名
URL
http://www.kinjyo-jp.com/

顧問税理士 菅原初義
T・MACKS税理士法人

所在地
東京都千代田区岩本町3-9-9 第一瀬野ビル6階
TEL
03-5687-6570
URL
http://www.tkcnf.com/t-macks/

『戦略経営者』2014年8月号より転載)