有限会社クリフ・ファーマシー(たんぽぽ調剤薬局) 様

有限会社クリフ・ファーマシー

後列は、「粟賀店」で働く薬剤師さんたち

統合型会計情報システム(FX4クラウド)ユーザー事例

6店舗ごとの「分散入力」で月次決算の早期化を実現

兵庫県神崎郡と姫路市で「たんぽぽ調剤薬局」を6店舗展開しているのがクリフ・ファーマシーだ。藤田佳典社長(58)がいま業績管理に使っているのが、TKCの『FX4クラウド』。各店舗にいる担当者が入力する体制を構築したことにより、試算表を早めに出せ売り上げ予測の正確性も高まった。

たとえ「郡部」にあっても都会並みのサービスを

──兵庫県内で調剤薬局を経営されているとか。

藤田佳典社長

藤田佳典社長

藤田 「たんぽぽ調剤薬局」の店名で、神崎郡(市川町、福崎町、神河町)に5店舗、姫路市に1店舗の、計6店舗を出店しています。
 普段、私が業務を行っているのは、JR鶴居駅から歩いて数分の場所にある「屋形店」。そこに隣接する藤川医院(内科等)をはじめ、姫路聖マリア病院や姫路赤十字病院などの広域病院が発行した院外処方箋にもとづいて薬を調合し、患者さんに渡しています。

──いま社内に薬剤師さんは何人くらいいるのですか。

藤田 24名の薬剤師が在籍しており、調剤業務、服薬指導、薬歴管理などに従事しています。

──会社のPRポイントをあげるとしたら何でしょう。

藤田 たとえ兵庫県の郡部にあっても、豊富な知識をもつ薬剤師がいることや、できる限り最新の機械を入れることによって都会並みのサービスを提供できるように努めているところでしょうか。

自動分包機など最新の機械が並ぶ

自動分包機など最新の機械が並ぶ

──最新の機械というと……。

藤田 例えば、薬剤師が取りそろえた薬の種類や数が処方箋に記載されたものと合致しているかを自動で識別してくれるシステム、あるいは水薬を正確に分注してくれる機械(水剤定量分注機)については、だいぶ早い時期から導入しています。最近では、粉薬と軟膏(なんこう)薬を自動的に混ぜてくれる機械なども購入しました。また、患者さん一人ひとりがこれまでどんな薬を飲んできたかの「薬歴」を電子化するためのシステムに関しても、かなりバージョンの高いものを入れているなど、とにかく積極的に設備投資をしています。

──その効果を教えてください。

藤田 業務の効率化と、調剤過誤(ミス)の防止に役立っています。調剤の作業に時間をかけても、患者さんにしてみれば待ち時間が長くなるだけ。それに薬剤師の過失によって調剤薬や配合量を誤るミスも減るのなら、積極的に最新の機械を入れるべきだと思っています。患者さんとの会話(相談業務)にあてる時間を増やすためにも、必要なことです。

仕訳辞書を活用しながら店舗ごとに「分散入力」

──開業は1997年だとお聞きしました。

藤田 前にいた調剤薬局を辞めて独立し、自分の店を出しました。当時このあたりではまだ院外処方があまり進んでおらず、都会と同じように質の高いサービスを受けることは難しかった。私はもともとこの地域で生まれ育ったこともあり、地域住民のみなさんがきちんとした医療を受けられるようにするための受け皿になりたいと思ったんです。その後、少しずつ店舗数を増やしていき、3年前に6店舗体制となりました。

──桑村会計と顧問契約を結んだ時期は?

藤田 開業当初です。いま担当してもらっている桑村(浩弥)先生のお父さんにあたる桑村浩司税理士に税務顧問になってもらいました。伝票のつけ方や資金調達など、最初は何もわからなかったので、本当にたくさんのことを教わりました。

──『FX4クラウド』を導入した経緯を教えてください。

桑村浩弥税理士

桑村浩弥税理士

桑村浩弥税理士 導入したのは昨年9月でした。もともと父の会計事務所では、他社システムをメインにしていました。TKC全国会に加盟したのは私の意向からです。6店舗を運営するクリフ・ファーマシーさんにとって『FX4クラウド』が最適だと判断し、導入を提案しました。
 以前は、各店舗の担当者が単式簿記の現金出納帳をつけて、その数字(小口現金の入出金額)を本社の経理担当者に紙ベースで郵送するという業務フローでした。でも、さすがにそれではスピード感に欠けるし、できれば複式簿記のやり方を浸透させていきたかった。クラウド型の『FX4クラウド』なら、各店舗から「分散入力」がおこなえるため、その数字をリアルタイムに各種帳表に反映させることが可能になります。また、「仕訳辞書機能」を使えば、知識がなくても複式簿記の仕訳がシステム上で簡単にできます。

──仕訳辞書の活用についてもう少し詳しくお聞かせください。

桑村 各店舗における現金のやり取りは、定型的な取引でのものが多く、勘定科目は取引先別にほぼ固定されているため、あらかじめそれらを仕訳辞書に登録しておけば、あとは画面を開いて日付と金額を入力するだけで済むようになるのです。
 もちろんイレギュラーな取引が出てくることもありますが、その際はとりあえず勘定科目を「仮払金」にしておきます。後日、本社の経理担当者のほうで仮払金の仕訳だけをチェックして、摘要欄や送ってもらった領収書を見ながら、適切な勘定科目に振り替えていきます。そうやって一度仕訳した取引については、どんどん仕訳辞書に追加登録していく。これを繰り返していくうちに、ほとんど仕訳辞書だけで仕訳ができるようになります。

──各店舗における取引には、例えばどんなものがありますか。

藤田 薬剤の販売会社からの仕入れだったり、来店者のために店に置いてあるウオーターサーバーの代金支払いだったり、スタッフが各店舗を行き来する際の交通費といったものなどがあります。

──いまの入力体制を構築したことで得られたメリットといえば何でしょう。

藤田 小口現金は金額が少ないため、重要度は必ずしも高くはありません。ただ当社の場合は、とにかく量が多い。その入力が追い付かないばかりに試算表を出すのが遅れがちでした。いまでは各店舗の担当者が毎日入力してくれているので、その数字をリアルタイムに反映できる。月次決算の早期化がなされ、試算表を早めに出せるようになっています。
 また、売り上げ予測が正確に立てられるようになったこともメリットの一つです。患者さんにとって薬局で自己負担となるのは薬価の3割。そのため当社の場合、お店の売り上げ現金というのはすなわち「レジ現金」のこと。残りの7割については何カ月後かに入金されるわけですが、レジ現金が迅速につかめれば売り上げ予測の正確性も高まります。

数字の正確な把握が業績改善のポイント

──「部門別管理」機能は使っていますか。

公立神崎総合病院に隣接する「粟賀店」

公立神崎総合病院に隣接する「粟賀店」

藤田 もちろんです。①屋形店②寺前店③香寺店④神崎店⑤瀬加店⑥粟賀店の6店舗をそれぞれ部門に見立てて管理しています。これにより、各店舗の売上高や限界利益率などを個別に把握できるようになりました。

──他に『FX4クラウド』のどんな機能を利用されていますか。

藤田 銀行取引において仕訳の基礎データを自動収集してくれる「銀行信販データ受信機能」は気に入っています。本人負担の残り分の金額については後日、私たちの口座に振り込まれるわけですが、国民健康保険からの入金もあれば社会保険からの入金もあるなど、複数の項目があるうえに6店舗分なので、これらの預金仕訳の入力作業をシステムが助けてくれるのは、経理業務の効率化という点で非常に助かっています。

──業績改善を目指すうえで意識していることはありますか。

藤田 売上高、限界利益率、固定費などの数字をスピーディーかつ正確に把握し、状況判断を的確に行うことがまずは大切だと思っています。そのうえでムダな経費を削減するといった具体的な対策を講じていきます。

──限界利益率が良い店と悪い店とがあると思いますが、その差はどこにありますか。

藤田 調剤する薬の傾向によって限界利益率が違ってくるところもありますが、薬剤師の〝練度〟によっても多少の違いが出てきますね。在庫処理の能力にも違いがあるし、相談業務をうまくこなせているかで集客力も違ってきます。この先、会社全体の限界利益率をもっと改善していくためにも、経営マインドを持ったスタッフを増やしていくことが重要なテーマになります。

──今後の目標は?

藤田 地域のみなさんの健康増進のための相談業務や、自宅に訪問しての健康指導など、地域密着型のサービスをもっと強化していきたいと思っています。この地域にいかに貢献していけるか。それを常に考えています。

企業情報

有限会社クリフ・ファーマシー(たんぽぽ調剤薬局)

有限会社クリフ・ファーマシー(たんぽぽ調剤薬局)

設立
1997年7月
所在地
兵庫県神崎郡市川町屋形520-5
売上高
約7億円
社員数
31名
URL
http://www.e-classa.net/tanpopohonten/

顧問税理士 桑村浩弥
桑村浩弥税理士事務所

所在地
兵庫県西脇市小坂町45-1
TEL
050-3390-2540
URL
http://www.kuwamurakaikei.com/

『戦略経営者』2017年7月号より転載)