認定NPO法人発達わんぱく会 様

統合型会計情報システム(FX4クラウド) ユーザー事例

一人ひとりの「楽しい」を増やし
子どもの発達を支援する専門家集団

千葉県浦安市を中心に児童発達支援事業所「こころとことばの教室こっこ」を展開している認定NPO法人発達わんぱく会。小田知宏理事長と氏原崇顧問税理士、経理業務担当の小田樹さんに、部門別管理の実際やフィンティック機能を活用した経理業務の効率化などについて聞いた。

千葉県浦安市中心に直営4教室を展開

──事業概要について説明してください。

小田知宏理事長

小田知宏理事長

小田知宏理事長(以下理事長) 発達障害を持っていたり発達に特徴のある子どもたちを主な対象として、一人ひとりの個性に合った成長ができるように療育支援を行う事業を2011年から展開しています。千葉県浦安市を中心に4拠点を展開している直営教室「こころとことばの教室こっこ」では、1歳半から5歳までのお子さんとその保護者の方を対象に、1週間に1回、45分から60分の療育プログラムを行っています。おかげさまでどの教室にもたくさんの方に来ていただき、現在約200組の親子が通っています。また直営教室での運営ノウハウや人材育成の経験が蓄積されたことから、同じ志を持った事業者に対し教室開設支援を目的としたコンサルティング事業も展開しています。こちらの実績も、北は北海道から南は福岡県まで、30社を突破しています。

──幼児の療育に携わるようになったきっかけは?

理事長 私は前職のコムスンで高齢者在宅介護に携わっていました。2005年に発達障害者支援法が施行されたタイミングで発達障害者の就労支援事業がスタートし、その責任者に就くことになったのがこの事業を知ったきっかけです。
 当時就労支援をしていくなかで痛感したのは、発達障害を持つ方はそれぞれ素晴らしい能力があるのですが、同時に苦手なこともあり、一人ひとりに合った支援が必要だということ。しかし成人になってからだと支援の内容が限られてきてしまいます。そこで文献を調べてみると、発達障害は幼児期に療育を受けることで、得意な分野を伸ばしたり、苦手なものを穏やかにでき、その後の人生を生きやすくすることにつながることが分かりました。そうした経緯から、発達わんぱく会では療育プログラムの提供に絞った事業展開をしています。

──そもそも療育とは何をするのでしょうか。

理事長 お子さん一人ひとりの特性や特徴を正しく把握して、その時その時で成長できる発達のポイントを的確に伸ばしてあげるのが療育の本質です。具体的な療育プログラムには心理士や音楽療法士、保育士などが担当するさまざまなタイプのものがありますが、私たちが第一に考えているのは「子どもに合わせる」こと。発達わんぱく会では個別療育、グループ療育、音と色の療育などのプログラムを提供していますが、いずれも興味を引き出す道具などを介して子供たちが目の前のスタッフと楽しく関わることを優先しています。個別療育の場合、45分のうち最初の30分は1対1で関わります。5分ごとに教材を変えながら子どもの興味を引き出すようにプログラムを行い、その後15分くらいを保護者の方との面談の時間にしています。

──療育の効果について教えてください。

理事長 私たちは専門家として、まずはお子さん一人ひとりの特性を正確に理解し、お子さんの「今の気持ち」を一番に考えています。「この子はどこを見ているんだろう」「何が好きなんだろう」「どういうことが楽しいのだろう」ということを表情や目線の動き、行動から想像し、その子が楽しく主体的に活動できるプログラムを考えていきます。すると次第にお子さんの表情に笑顔が増えるようになり、最初のころは嫌がっていたとしても、そのうち「こっこにいく」という思いを表出するようになります。その変化を間近でみる保護者の方からは、「笑顔で人と関わることが増えた」「他者とコミュニケーションをとろうとするようになった」とその成長を実感されるようになります。

銀行信販データ受信機能で経理業務の効率化実現

──氏原先生が関与するようになったきっかけは?

氏原崇顧問税理士

氏原崇顧問税理士

氏原崇税理士 講師を務めていた商工会議所主催の創業支援セミナーに小田理事長が出席されたのが、お付き合いさせていただくきっかけとなりました。最初は年1回のお付き合いでしたが、その後事業規模が大きくなり、経理のシステムをしっかり構築しなければさらなる成長は見込めないと判断して、『FX2』の導入をご提案しました。FX2で部門別管理をかなり厳密に行うようになり、事業の数が増えてきた2年前からは『FX4クラウド』の使用を開始されています。

理事長 12年前に初めてお会いしたときは「知識はすごいけど腰が低い方だな」と思いましたね。それは今でも変わりません。起業の際も分からないことだらけでしたが、本当に一つ一つ丁寧に教えてくれて、さまざまなアドバイスをしてくれました。そうした人柄から、この先生なら末永くお付き合いできそうだと思い契約することを決めました。

──経理業務の流れについて教えてください。

理事長 現在部門数は11部門で、セグメント別の管理を厳密に行っています。各教室等で発生する経費など小口関係の処理については、まず各教室長が業務改善プラットフォーム「kintone(キントーン)」を使用して入力します。キントーンのデータはサーバー内で関係者が共有し閲覧や入力することができ、CSVで吐き出すことが可能になっています。そのCSVデータを部門ごとに『FX4クラウド』で読み込んで仕訳連携する流れになっています。また共通費については財務担当者が作成した部門別予算からあらかじめ配布割合を算出し、ボタン1つで各部門に配布できるようにしています。部門別予算は『継続MAS』で作成し、予実管理に活用しています。

氏原 月次巡回監査終了後に小田理事長、経理、財務の担当者の方に対し、事務所側から詳細な報告を行っています。最近ではコロナ禍ということもあり、オンラインツールを利用するのが基本になっていますが、在宅勤務の方の参加が可能になったり、移動時間の短縮につながるなどのメリットを感じています。

──TKCシステムの使い勝手はいかがですか。

小田樹さん

小田樹さん

小田樹さん 他社の会計ソフトからFXシリーズに変えてとても便利に感じたのは、金融機関との最新の取引データをボタン1つでそのまま読み込める「銀行信販データ受信機能」です。また部門も多くなり管理が複雑になったことから2年前に『FX4クラウド』に切り替えてからは、事務所にある私のパソコンだけでなく、権限のあるスタッフであれば自分のパソコンで作業ができるようになり、大変助かっています。

理事長 各教室長など部門長と部門別の数字を共有することで、部門ごとの利益を厳密に追うことができるのが大きいですね。さらに本来各教室が負担すべき共通経費を案分することで、各部門が稼いだ金額が明確になります。お子さんや保護者の満足度を維持しつつ、各部門長が確保すべき売上高を可視化できるようにしています。

氏原 経理の処理は部門数が増える前と比べても早くなっています。これは銀行信販データ受信機能等の使用で手入力の時間が減っているからだと思います。月次の巡回監査前の時点で数字の精度はかなり高く、その分意思決定のスピードも上がっていると感じています。

──今後の抱負を教えてください。

理事長 教室の立ち上げをコンサルティングした事業者を含めると、私たちは現在全国の発達障害を持つ幼児の約1%に発達支援のお手伝いを行っています。この割合を創業20年になる2030年には、10%まで引き上げたいと考えています。この目標を達成するためにはとにかく人材の育成が第一です。そのためには、スタッフ育成を属人的に行うのではなく、法人としての育成の道筋を明確にすることが重要だと感じています。

企業情報

認定NPO法人発達わんぱく会

設立
2010年12月
所在地
千葉県浦安市猫実4-6-26 ミナモトビル401
社員数
52名
URL
https://www.wanpaku.org/

税理士 氏原崇
税理士法人桜頼パートナーズ会計 氏原事務所

所在地
千葉県浦安市当代島1-11-12
URL
https://www.ujiharakaikei.com/

『戦略経営者』2021年8月号より転載)