ビッグオート株式会社 様

統合型会計情報システム(FX4クラウド) ユーザー事例

「業務」と「会計」のシステム連携で
“管理”の効率化を劇的に推進

茨城県水戸市、ひたちなか市の2拠点で自動車整備業を営むビッグオート。車両販売から車検整備、鈑金塗装まで内製化する総合力で地域の根強い支持を得ている。2代目の加藤木幸夫社長は、2018年に代表に就任。以来、管理業務のシステム化、合理化に注力してきた。そのプロセスと成功の秘訣を、加藤木社長を中心に増山英和顧問税理士、佐々木貴哉監査担当、荻谷将貴執行役員(旧水戸店店長)、小谷野祐美さん(経理担当)も交えて語ってもらった。

──会社の歴史を教えてください。

加藤木幸夫社長

加藤木幸夫社長

加藤木 現会長(父加藤木正夫)が脱サラで独立したのが1987年。モータリゼーション全盛の時代です。中古車販売でスタートして、最大3店舗まで拡大したのですが、バブル崩壊によって販売がやや停滞。その際に整備・鈑金(ばんきん)塗装といった業務も手掛けるようになりました。私は、10年ほど前にそれまで勤めていた会社を辞めて入社し、2018年に代表取締役に就任しました。

──強みは?

加藤木 新車・中古車の販売から車検整備、鈑金塗装とすべてを内製化し、ワンストップで請け負える総合力でしょうか。

──自動車業界は100年に一度の変革期だと言われていますが。

加藤木 現在、国内には8,000万台以上のガソリン車が走っているわけで、そう急には変わらないと思っています。それと当社は鈑金塗装、整備関係が主力なので、そちらのニーズはすぐにはなくならないでしょう。とはいえ、もちろん、電気自動車時代が来ても対応できる環境づくりはしていく必要があります。

鈑金塗装分野に定評(上)、数多くの塗料を品ぞろえしている(下)

鈑金塗装分野に定評(上)
数多くの塗料を品ぞろえしている(下)

──具体的には?

加藤木 既存事業の強化はもちろんですが、他社が参入しにくいニッチな分野への進出を考えています。たとえば、特殊部品を装着したり車体やシャシー、内装などに改造を加える「架装」への取り組みで自動車に付加価値をつけるような業態ですね。当社は鈑金塗装部門を持っているので、その強みを生かせば面白い展開ができるのではと思っています。

──車のコンピューター制御によるブラックボックス化への対応は?

加藤木 現在は、コンピューターで診断し、その結果をもとに整備を行う時代ですから、診断のための機器が必要です。しかも、通常のディーラーとは違って、あらゆる車種を扱う当社のような会社はメーカーの数だけ診断機器を用意し、更新し続けなければなりません。単独では荷が重いので、ディーラーや業界団体と連携しながら、情報を共有しつつ、対応していくことが求められます。要するに、今後の大変革時代を生き抜くには、お互いに支え合う業界全体の協力体制が必須であり、その調整も経営者である私の仕事です。

4者が一致団結しながら抽出した課題をつぶしていく

──増山会計との関係は?

加藤木 私が代表に就任する際に、前任の税理士の先生が辞められて、新しく税務顧問を探す必要に迫られました。で、信頼のおける先輩経営者に相談すると、増山会計を強く勧められたので、即決しました。

──印象は?

加藤木 決める前には何人かの税理士の方と面談をしたのですが、増山先生はわれわれに寄り添っていただける感じがあって、やはり違うなと。

増山英和顧問税理士

増山英和顧問税理士

増山 以前は記帳代行型の税理士さんでしたが、よりタイムリーに数字を把握したいという新社長のニーズがあり、自計化(企業に会計ソフトを導入して財務管理を行うこと)を実施して合理化と見える化を推進。さらに「早期経営改善計画支援事業」にも取り組み、資金繰り計画やビジネスモデル俯瞰(ふかん)図を作成しました。加藤木社長は成長意欲がとても高く、経営課題も緻密に把握されています。それをどんどんぶつけてこられ、こちらが応えていく……という作業を繰り返しています。

──昨年来、会計システムを含めた業務改善のプロジェクトを実践されてこられたと聞いています。

加藤木 当社では業界ではトップシェアの業務システムである『ブロードリーフ』を採用し、見積もり、請求書の発行などを行ってきました。しかし、実際にはその機能の1割程度しか使用しておらず、車両ごとに売り上げ、原価などを「台帳」に手書きさせ、先代のチェックを経て月末に集計し、当時採用していた会計システム『FX2』に打ち込むというスタイルでした。これをなんとか合理化できないかということで、プロジェクトを立ち上げたわけです。

──手書きの台帳……ですか。

佐々木貴哉監査担当

佐々木貴哉監査担当

加藤木 どこから仕入れ、どんな部品を使用し、いくらかかったかなどを、各スタッフが台帳に書き入れ、先代がその台帳をもとにクリップ1つの値段までチェックしていたのです。それが自動的にスタッフの不正防止に役立っていたわけですが、『ブロードリーフ』と、後に導入した『FX4クラウド』の連携機能を活用すれば、より効率化できるのではというのがもともとの発想でした。

佐々木 経理に小谷野さんが入ってこられ、自計化、月次決算、フィンテック機能の導入などを経るうちに、全社的にITリテラシーが高まったという背景がありました。そのうちに加藤木社長が『戦略経営者』に掲載されていた整備工場のシステム連携事例を読まれ、「当社もできるのでは」とプロジェクトの立ち上げを決断されたという経緯があります。

──プロジェクトはどのようなプロセスを踏まれたのでしょうか。

加藤木 当社と佐々木さん、ブロードリーフさん、そしてTKCさんの4者が膝を突き合わせ、システム連携のための課題を抽出しながら、それをひとつひとつつぶしていく作業を繰り返しました。『ブロードリーフ』から吐き出されるデータと『FX4クラウド』との連携に必要なデータを整合させ、丁寧に1つのシステムとしてまとめていったのです。

荻谷将貴執行役員

荻谷将貴執行役員

佐々木 とにかく経験値がないので、最初は違う科目に計上されたり、売り上げがマイナスになったりと散々でした。月次の数字を締められないのではと危惧したことさえあったほどです。そうした小さな齟齬(そご)をその都度つぶしていくうちに、たとえば立替金の扱いなど、これまであいまいだった部分が明確化され、「ルール化」効果も上がってきました。

加藤木 それと、場を知り尽くしている荻谷執行役員(旧水戸店店長)と経理の小谷野の働きが大きかったと思います。この2人がいなかったらデータの細かい調整は不可能だし、連携はできなかったのではないでしょうか。

──荻谷さん、ご感想は?

荻谷 当初はシステム連動にズレが生じてしまうことが多く、みなさんにはご苦労をおかけしました。さきほども話に出ましたが、以前は顧客・売り上げごとに手書きの台帳を作成していたので、それがなくなったのが一番のメリットです。手探り状態のなか、小谷野がしっかりと対応してくれたおかげですが、僕は彼女を応援する役割なので、ぐちを聞きながら元気づけることに精力を注ぎました(笑)。

小谷野祐美さん

小谷野祐美さん

小谷野 私は、佐々木さんや支援してくださる方々に分からないところを聞いて、ほぼ指示通りに動いただけです。システム連携においては、変な動きがあれば即座に報告し、指示を仰ぐようにしました。まるでもぐらたたきのようでしたが、だんだんと課題が解決されるにつれ、達成感を感じるようになりました。

加藤木 繰り返しますが、今回の連携は当社だけでは絶対にできませんでした。増山会計、ブロードリーフ、TKCと一致団結して取り組んできたゆえの成功だと思っています。

増山 このノウハウをロールモデルとして公開すれば、業界の底上げにもつながるのではないでしょうか。

加藤木 そう思います。こうした取り組みを実践している整備工場はほとんどないと思うので……。

──今後は?

加藤木 まずは既存事業をしっかりと固め、収益化していきます。その後、既述したようなニッチビジネスを手がけたいですね。従来は、2店舗を2つの法人で運営していたのですが、昨年10月に統合し、さらに『FX4クラウド』の導入によって管理体制を強化することができました。部門別管理を精緻化し、自在に帳表が作成できる「マネジメントレポート(MR)設計ツール」の活用も進めています。この体制をブラッシュアップすることで、予想される将来的な変化に適切に対応していきたいと思います。

取引後のビッグオートの会計の流れ

取引後のビッグオートの会計の流れ

企業情報

水戸店

水戸店

ビッグオート株式会社

設立
1987年4月
所在地
茨城県水戸市元吉田町1963-15
売上高
約3億円
社員数
20名
URL
https://www.big-auto.jp

顧問税理士 増山会計事務所
所長 増山英和

所在地
茨城県水戸市千波町1258-2
URL
https://www.ma-g.co.jp

『戦略経営者』2022年2月号より転載)