導入事例 CASE STUDY
株式会社岡福商店 様
統合型会計情報システム(FX4クラウド) ユーザー事例
「技術」「人」「信用」を大事にし
高付加価値経営を実践
建築・土木現場で活用されるPC(プレキャスト)部材の鋼製型枠の専業メーカーである岡福商店。兵庫県尼崎市に工場を構え、全国に顧客を抱える優良企業だ。その経営戦略と財務管理への取り組みを、岡本益明会長、棚倉勝成社長、古川正明常務、そして深田壽顧問税理士を交えて聞いた。
──業態は?
岡本益明会長
岡本 PC(プレキャスト)工場でコンクリート製品を製造する際に必要となる“鋼製の型枠”を作っています。工場で当社の型枠にコンクリートを流し込んで製品をつくり、その後、現場に運んでプレキャスト部材を組み立てます。大手のゼネコンやPCメーカーなどが顧客となります。
──どのような建物に使われていますか。
棚倉 体育館や高層ビルの梁・柱、マンションのバルコニー、大型スタジアムの階段など、多岐にわたります。PC工法で使用されるものは何でもできるし、大型物件になればなるほどPC工法が採用されるため、当社の型枠は全国の大規模プロジェクトで活用されています。
高い精度と使い勝手の良さが特長
「鋼製型枠」に特化し、技術オリエンテッドな
姿勢で大手ゼネコンやPCメーカーから
信頼を得る
──貴社の型枠が高く評価されている理由は?
岡本 独自性があって付加価値が高いためだと思います。具体的には納期順守、高い精度、使い勝手の良さが挙げられるでしょう。工場の作業員の方が組み立てやすく、取り扱いしやすい。また寸法・角度についてわずかなズレもないように製作しています。当社の経験豊富な設計と製作の担当者たちが密に相談してつくるので、細部まで行き届いた製品になります。すべてオーダーメードで、同じ型枠は一つとしてありません。
深田 それと、顧客に大手優良企業が多いのも岡福商店さんの強みだと思います。また、高付加価値なので、比較的利益率が高いのも特長です。
──営業活動はどのように?
棚倉 20社ほどの主要顧客を営業職社員がそれぞれ担当していますが、飛び込み営業はほとんどありません。従来のお客さまからの紹介で仕事を広げてきました。当業界は狭く、品質や対応の良さの評価がすぐ共有されるため、「岡福商店に頼めば間違いない」と評価していただけているのではないでしょうか。ありがたいことです。
岡本 頼まれればなんでもやりますし技術力も高いですから、全国からお問い合せがあり、最近では東北や九州などに納品しています。
棚倉勝成社長
──人材面での課題は?
棚倉 やはり人手の確保には苦戦しています。当社のような技術を追求する会社を維持するには、ノウハウを後世に伝える若手の育成が必要で、職場環境の改善や働き方改革を推し進めつつ、求人活動を強化しています。
──現在の社員数は?
棚倉 役員を含めて19名です。少数精鋭ですが、技術力の高い社員ぞろいです。外注は3割にも満たない程度で、基本的には自社で責任を持って製作する方針を貫いています。
「数字に基づく経営」に
──深田先生との関係性は?
岡本 17年前、それまでの顧問税理士が高齢で引退されるタイミングがあり、その際に、知り合いの経営者から深田先生を紹介いただきました。以前の会計処理は、伝票や台帳は手書きで、月次の締めは行っていましたが、年度末のまとめ作業にかなり依存していました。つまり、どれだけ利益が出ているか年度末にならないと分からない状態だったのです。そこで、深田先生の指導のもと、経理のシステム化に取り組みました。
深田壽顧問税理士
深田 就任はちょうどリーマン・ショックの時でした。赤字が続く大変な状況でしたが、退職勧告などはされず、公的な助成制度を活用しながら、給料を100%保証する経営姿勢を貫かれ、感心しました。それと、岡福商店さんは、利益をしっかり内部留保される手堅い社風があり、それも不況を乗り切れた理由だと思います。
岡本 技術は途切れたら再生が難しいと考えています。
──経理のシステム化によってどのような変化がありましたか。
岡本 変化はとても大きかったです。毎月「今どれだけ利益が出ているか」「来月どうなるか」がわかるようになり、勘や経験ではなく“数字に基づく経営”ができるようになりました。なにより次世代に継承していくときに「手書き」はありえないですからね。
古川 月次決算によって財務状況を正確に把握できているため、「今どれだけの人材投資が可能か」「どの程度の投資なら内部留保を継続できるか」などを具体的に判断できるようになったと思います。リーマン・ショックという危機を乗り越えた経験と、「TKC方式の会計」が重なり合ったことで、会社に強い軸ができました。
深田 岡福商店さんは、とにかく経理の合理化に積極的です。私が顧問に就任して以来、電子納税にもいち早く取り組まれ、エクセルを介した仕訳連携、銀行信販データ受信機能やPXシリーズによる給与データの電子処理、証憑保存機能の活用など、段階的にデジタル化を達成されています。
──月次巡回監査はどのように?
深田 『FX4クラウド』を導入しているので、当事務所で数値を確認した後、会社に訪問して1時間ほど月次監査を行い、その後、岡本会長、棚倉社長、古川常務と変動損益計算書を見ながら、さまざまな経営面の課題についてディスカッションしています。
「限界利益」重視の経営
──変動損益計算書のなかで、特に注目している勘定科目や業績指標はありますか。
棚倉 「限界利益」です。当初は耳慣れない言葉でしたが、緻密な月次決算を行い、毎回「限界利益」を確認するうちに、今では当社の重要な判断軸になっています。
古川正明常務
古川 当社は、固定費が比較的安定しているので、売上高から材料費と外注費を引いた限界利益が確保できているかどうかによって、会社の「稼ぐ力」を正確につかむことができます。
深田 それと、岡本会長の後任として、4年前に就任された棚倉社長の計数管理能力がとても長けていて、数値を緻密に把握されています。ちなみに、社長の決算半年前の着地点の予測は、ほぼ的中します。「この時期は〇〇にコストがかかるから利益が減る」などと場当たり的ではない冷静な予測を常にされているからです。
棚倉 それもこれも、毎月の月次決算の確定が迅速かつ正確だからでしょう。
岡本 それと、やはり深田先生の“伴走型の支援”がありがたいですね。税務や会計だけではなく、人材面や補助金、リスク管理のアドバイスなどさまざまな相談に乗っていただいています。
──今後はいかがでしょう。
棚倉 目標はシンプルで、「お客さまに喜んでいただける型枠を作り続けること」です。これこそが利益にも信用にもつながり、事業を永く続ける唯一の道だと考えています。
当社は“売り上げ至上主義”ではありません。重視するのは「人を大事にすること」と「信用を守ること」そして「適正な利益」です。その考え方は、深田先生の指導のもと進めてきた管理会計によってより明確な形になりました。今後とも深田先生と二人三脚で経営を進めていきます。
課題は技術継承と若い人材を育てること。そして、そのために必要な利益と内部留保を確保すること。この二つのバランスを両立させながら会社を維持していきたいと考えています。
企業情報
株式会社岡福商店
- 業種
- 鋼製型枠製造業
- 設立
- 1961年8月
- 所在地
- 兵庫県尼崎市丸島町8-3
- 売上高
- 5億8,000万円
- 社員数
- 19名(役員含む)
- URL
- https://www.okafuku.jp
顧問税理士 深田壽税理士事務所
所長 深田壽
- 所在地
- 大阪府豊中市東豊中町6-17-6
- URL
- https://fukata.tkcnf.com/office2
(『戦略経営者』2026年4月号より転載)

