環境リサーチ株式会社 様

3列目左から藤原義仁日本パートナー税理士法人立川支社取締役所長、山口陽二環境リサーチ会長、飯田哲哉社長、同税理士法人同支社小暮高史部長、2列目左が福浦勝環境リサーチ経営戦略部部長、1列目左から2人目が久保ますみ同社総務経理課副主事

統合型会計情報データベース(FX4クラウド) ユーザー事例

部門と事業を切り口に
財務数値を300超に細分化

アスベスト測定を主軸に、広範な調査事業を請け負っている環境リサーチ。2018年に代表に就任した飯田哲哉社長は、緻密な財務管理のもと、黒字経営を続けている。社員のモチベーションを高めるツールとなっているという、『FX4クラウド』の独自の活用法を聞いた。

高度な調査技術を生かし顧客のお困りごとを解決

──事業領域を教えてください。

換気の目安となるCO2濃度などをリアルタイムで
レポートする「KRIセンサー」(右)

飯田 環境の総合コンサルタントを掲げ、アスベスト測定を柱に、におい測定、音・振動測定、カビ調査などの環境調査を幅広く手がけています。「建築物石綿含有建材調査者」資格を保有する社員が30名超おり、アスベスト関連の有資格者がこれほど多く在籍している同業企業はまれです。
 もう1点、当社の特徴を挙げると、研究開発型企業を志向しているところ。売上高の7%ほどを研究開発費にあてており、この数字は、一般的な製薬の水準に匹敵します。IoTを活用した環境分析装置「KRIセンサー」は成果のひとつです。

──センサーでどのような項目を測定できますか。

飯田 測定できるのは温度、湿度から、二酸化炭素(CO2)濃度や騒音レベル、粉じん量までの11項目。これらの数値を遠隔地から、リアルタイムにスマートフォンやパソコン、タブレット端末などで把握できるのが売りです。室内の換気時期の判断や、工事現場での騒音レベル通知等に活用できます。

──自社製品の開発に着手された経緯は? 

飯田 現場で採取した空気を当社技術センターに持ち帰り、さまざまな装置を用いて分析し、報告書にまとめるのがわれわれの主な業務です。ただ、分析にはある程度の時間を要するため、刻々と変化する現場の場合、最新の状況を反映しきれないという課題がありました。この課題点を解決するべく開発したのが、KRIセンサーです。センサーは八王子市中央図書館で環境モニタリングに活用されており、改良を重ねつつ、事業展開を図っていく予定です。

──日ごろ、営業活動はどのようにおこなっていますか。

福浦 営業部は外勤の担当者と、彼らの活動をサポートする内勤スタッフからなる、総勢30名ほどの陣容を整えています。商品やサービスをただ売り歩くのではなく、建物を管理している方の「お困りごと」の相談に乗るというスタンスで臨んでいます。そのため、調査分析の依頼先を探しあぐねている企業から、いわゆる一品ものの相談をいただく場合も多々あります。

──他社との協業も推進されていると聞きました。

飯田 大手建設会社や通信キャリア会社、鉄道会社等の研究所とタッグを組んだ共同研究、受託分析に積極的に取り組んでいます。例えば、大手通信会社との共同研究では、当社のアスベスト分析に関する知見が、レーザーを活用したアスベスト除去技術の開発に役立てられました。これにより、建材解体時に発生するアスベストの飛散を抑制し、健康リスクを低減できます。大手研究所との取引を通して、事業領域の拡大と技術力の向上につなげています。

MR設計ツールで数字を部門と事業別に落とし込む

──日本パートナー税理士法人と長年のお付き合いをされているそうですね。

飯田 30年近くのお付き合いになります。会社設立当初、顧問契約を結んでいたのは税務署出身の税理士の方でした。ただ、事業が軌道に乗ってくるにつれ、管理会計や経営面のサポートがより必要になってきたのです。そこで新たな税理士事務所を探していたところ、めぐりあったのが日本パートナーさんでした。

──『FX4クラウド』を導入されたいきさつは?

飯田 クラウド方式のシステムなら、業績をリアルタイムでつかめる点がひとつ。それと、上場企業のM&Aによる子会社化をへて、親会社と同じ会計システムを利用して、連携を深めるねらいもありました。

小暮 われわれの事務所は「申是(申告是認)優良企業誕生」支援に注力しており、単月の黒字経営実現を図るツールとして、『FX4クラウド』を推進しています。環境リサーチさまのシステム活用面で特筆されるのは、4ケタのコードに「部門」と「事業セグメント」をひもづけ、月次業績を詳細に分析されているところです。

──その方法をくわしく教えてください。

福浦 4ケタのコードの上2ケタは部門を表していて、例えば「11××」は営業部を、「21××」なら技術部を意味します。一方、下2ケタは事業セグメントを表しており、「××11」はアスベスト粉じん事業を、「××20」はシックハウス事業を意味するといった具合です。したがって、「1111」の集計額を見れば、営業部のアスベスト粉じん事業における実績をつかめます。
 こうした手法を駆使しつつ、自由に帳表を作成できる「マネジメントレポート(MR)設計ツール」を活用して業績データをマトリックス上に落とし込み、売り上げや費用などが、どの部門のどの事業セグメントに属しているか詳細に把握しています。現在稼働しているコード数を数えたところ、324個ありました。

──仕訳入力時に4ケタのコードを付番していると……。

久保 ええ。『FX2』から移行した当初は、コードを探すのに時間を要していましたが、今ではコードの内容がある程度頭の中に入っているため、スムーズに入力できるようになりました。小暮さんに問い合わせるとき、『FX4クラウド』の画面をお互いリアルタイムで確認できるのも便利です。

最新業績を毎月公開し競争意欲を高める

──業績数値で着目しているポイントは?

飯田 売り上げよりも利益額を重要視しています。付加価値の高い業務を受注し、結果として利益率が高まっていく。それが目指している姿です。ふだん経費の発生額も正確に振り分けて仕訳入力してくれているので、事業セグメントごとの収益を把握できるようになり、大変ありがたいです。

──どのような場で最新業績を確認していますか。

飯田 定例の取締役会のほか、拡大幹部会を毎月開催し、「MR設計ツール」で作成した資料をもとに、最新業績を確認しています。出席者は、部課長職以上の20名ほどの役職者。部門長は自部門の限界利益や経費の推移を、興味をもって参照してくれており、共通費の配賦額などを突っ込まれることも少なくありません。

──幹部社員の方にも業績を開示されているわけですね。

飯田 数字を開示することで、社員のモチベーションを高めるのがねらいです。《365日変動損益計算書》をベースに作成しているマトリックス資料は、いわば通信簿。自身が統括する部門の業績をつかみ他部門と比較できると、競争意識がおのずとわいてくる。『FX4クラウド』はこうした取り組みを支援する、強力なツールであると感じています。

藤原 伝説の経営者で、先日亡くなった稲盛和夫さんは、「経営は、ど真剣であれ」と生前話されていました。それをまさに実践されているのが飯田社長で、経営の方向性についていろいろ相談されるので、とてもやりがいがあります。また、会社は社会の公器であるとの考えに立たれており、尊敬に値する経営者です。

──抱負をお聞かせください。

飯田 アスベスト測定が当社の中核事業である点は、これからも変わりません。昨年の法改正により、建物解体工事時のアスベスト事前調査結果報告が義務化され、調査依頼が急増中です。分析装置と人員体制をさらに充実させ、旺盛なニーズに着実に応えていきたいと考えています。この領域で得た収入を原資に、新たな事業分野を開拓し、世の中で必要とされる会社づくりにいっそう努めていきます。

企業情報

多様な装置で調査、分析を行う

多様な装置で調査、分析を行う

環境リサーチ株式会社

設立
1989年3月
所在地
東京都八王子市小門町104
社員数
114名
URL
https://www.kankyo-research.co.jp/

顧問税理士 神野宗介
日本パートナー税理士法人

所在地
東京都千代田区神田駿河台4-3
新御茶ノ水ビルディング17階
URL
https://www.kijpa.co.jp/

『戦略経営者』2023年2月号より転載)