新興窯業株式会社 様

統合型会計情報システム(FX4クラウド) ユーザー事例

独自技術の活用と財務体質の改善で
新分野に挑戦するタイルメーカー

有数のタイルメーカーとして日本の戦後復興、高度成長に貢献してきた新興窯業。その技術オリエンテッドな姿勢は現在も受け継がれ、津田健太社長のもと、新分野への進出にも精力的に取り組んでいる。津田社長、近藤直樹常務取締役、若原芳治税理士に話を聞いた。

──1913年創業と歴史のある会社ですね。

津田 義理の父(先代)の祖父に当たる人が初代で、私は4代目になります。最初は米などを扱う商売を営んでいましたが、ほどなく地場産業でもある理化学用陶磁器の分野に進出したと聞いています。

──タイルづくりに転じたのは?

津田 47年、戦後すぐに社名を新興窯業として法人なりした頃からです。復興期とはいえ、当社のような中小製造業がタイルを「売る」のは大変だったようで、63年に縁あって伊奈製陶(現LIXIL)さんと業務提携し、外装タイルの専門メーカーとして「つくる」ことに専念したという経緯です。

新分野にも臆せず挑戦

──大手メーカーとの提携を続けることができた理由は?

津田健太社長

津田健太社長

津田 研究開発型でエンジニア目線の会社だからというのが大きかったと思います。原料の調達・調合、成型、焼成、検査、出荷までを一貫して行い、とくに無釉タイル(表面に釉薬をかけないもの)の生産技術については業界でも秀でていて、大手メーカーをもしのぐと自負しています。

──無釉タイルとは?

津田 施釉(表面に釉薬をかけるもの)タイルの場合、内容の生地は見えませんが、無釉タイルは、土の意匠を出すように焼き上げるため、原料の配合を調整しながら混ぜ合わせ練り込む必要があります。当社ではそうした技術的ノウハウと同時に、東京ドーム1.5個分の敷地に5つの工場を持っており大量生産もできるところが強みです。

──貴社のタイルはどんなところに使用されるのでしょうか。

津田 床タイルや施設の壁など、公共施設・住宅のエクステリアと呼ばれる部分によくみられます。全国の大型施設の床タイルは当社製品が大半で、たとえば、昨年行われた大阪・関西万博の会場の最寄り駅である夢洲駅の床タイルも当社製が使用されており、関東でいえば東京ドームや東京ビッグサイトの床タイルもそうです。

──近年、事業展開に少し変化があったのだとか。

上から、タイル展示スペース、デジタル加飾技術、製造ライン

上から タイル展示スペース、
デジタル加飾技術、製造ライン

津田 はい。施釉タイルにも注力するようになりました。たとえば、インクジェットプリンターのように釉薬を吹き付ける設備を導入し、写真や文字などを表現する高い意匠性のタイルのニーズにも対応しています。この“デジタル加飾技術”を使ったタイルは、天候などによる絵柄の摩滅に強く、実際、先ほどの夢洲駅の床タイルにもこの技術が使用されています。これは設備を導入するだけでは難しく、焼いたときにうまく絵柄などが発色するための技術的なノウハウが必要です。当社では、そうしたオリジナルの技術を積み重ねて業界でもトップクラスの評価を受けています。

──タイル事業以外の分野にも進出されているのだとか。

津田 国内製のタイルは海外製に押されて、長らく需要は下降線をたどっており、当社も他分野への進出は最重要課題となっています。そこで、20年前から取り組んでいるのが受託加工事業です。当社は、熱処理に関する技術を蓄積しており、30機以上の炉でさまざまな焼き方が可能です。この炉を使いながら、機能性材料の新製品開発や量産前のテスト製造、小ロットのOEM生産など、顧客のニーズに合わせた加工対応を行っています。

──そのほかには?

津田 いま話題のレアメタル・レアアースの再資源化に向けた前処理を請け負っています。これら希少金属は、使用される機器の品質的な向上により、以前よりも不純物のないよう高精度なリサイクルが求められています。当社は高精度な焼成技術を持っているので、最近では、幅広い業界から多くの引き合いがあります。

財務体質を改善し飛躍へ

──若原先生が関与されるようになったのは?

若原芳治税理士

若原芳治税理士

若原 5年前です。パソコンやスマホにも使われるヒートシンク(熱を吸収して放熱する役割の部品)のパーツの製造をスタートするために事業再構築補助金を利用した際に、お手伝いしたのがきっかけです。

津田 私が社長に就任してすぐのタイミングでした。若原先生もそうですが、もう1人、近藤直樹常務を金融機関から招き入れて、会社の体制を変えていこうという考えでした。

──TKCシステムを導入した時期は?

若原 2年前に『FX4クラウド』を導入しました。それまでは他社ソフトでしたが、クラウドではなかったので、精度や速度、利便性にやや難があり、TKCシステムによってそれを解消できていると思います。

──部門別はどのように?

若原 タイル事業、製造OEM、受託加工事業、リサイクル事業、ヒートシンク事業の5部門で管理しています。

近藤 現場の責任者にはIDを付与して閲覧できるようにし、気になるコストがあればどんどん深掘りしていって原因究明するように指示しています。これもクラウド会計のよいところだと思います。

──経営会議などでの利用は?

近藤直樹常務取締役

近藤直樹常務取締役

近藤 月次決算の数字は『FX4クラウド』から『マネジメントレポート設計ツール』を利用してエクセルにデータを切り出し、その資料をベースに経営会議を行っています。

──財務管理体制を整備されてきた目的は?

津田 実は私が社長に就任した5年前は、当社は厳しい状況でした。当時、タイルは腐らないので、在庫をかかえすぎてしまうという悪癖があり、なるべく在庫を減らしキャッシュフロー重視の経営に転換しようと考えました。そのためには、財務状態を迅速・正確につかむ必要があります。

近藤 それと、ここ数年は、材料コストの高騰による価格転嫁が必要になってきています。『FX4クラウド』をベースとした計数管理は、実質的に信頼性のあるデータとなり、それをLIXILさん含め取引先に提示することで、価格交渉を優位に進めることもできるようになっています。

──資金繰りについては?

若原 『TKCモニタリング情報サービス(MIS)』を利用して月次試算表を取引金融機関にオンライン送付するようにしたことで、金融機関からの信頼性が高まり、意思疎通も従来以上にうまくできるようになり、金利削減にもつながりました。また、運転資金の調達を毎月返済が必要な長期借入金から短期継続融資に切り替えたことにより資金繰りが安定しました。

──今後はいかがでしょう。

津田 設立以来、LIXILさん1本でやってきた当社ですが、国内タイル需要の減少もあって、それだけでは企業としての維持ができなくなっています。縮小均衡してきたタイル事業を、デジタル加飾技術などによって新たなステージへと引き上げた上で、受託加工やリサイクルなどの他分野を強化して、バランスのとれた体制にしていく必要があります。
 また、若原先生と近藤常務の協力を得ながら、ここ5年で財務体質を改善し、やっと昨年度、利益体質に転換することができました。その間の生産調整によって在庫も適正水準に近づいているので、今後は新分野への投資も考えながら上昇曲線を描いていければと思っています。

企業情報

本社工場空撮

本社工場空撮

新興窯業株式会社

業種
タイル等製造業
創業
1913年10月
所在地
岐阜県土岐市鶴里町柿野字広畑2322番地32
売上高
32億3,000万円
従業員数
約150名
URL
https://www.shinkoyogyo.co.jp

顧問税理士 あさひせと税理士法人
代表社員 若原芳治

所在地
愛知県瀬戸市さつき台1-4
URL
https://wakaharacpa.com

『戦略経営者』2026年2月号より転載)