常陽銀行 様

常陽銀行 様

2つのTKCフィンテックサービスに
期待大

常陽銀行 営業推進部 法人営業グループ 小林弘幸次長
聞き手 増山英和税理士

TKCとフィンテックサービスの分野で共同研究に取り組んでいる常陽銀行(本店・茨城)。金融機関向けフィンテックともいわれる「TKCモニタリング情報サービス」リリース(10月3日)の陰の立役者でもある。同行営業推進部法人営業グループの小林弘幸次長に、TKC会計人の増山英和税理士がインタビューした。

増山 金融機関と企業の財務データ(決算書)をクラウド上で直接結ぶ「TKCモニタリング情報サービス」が10月3日からスタートしました。まずは、ご感想をお聞かせください。

小林 非常に期待しています。当行では、今年4月にTKCさまと新たなフィンテックサービスの共同研究・利用促進に取り組む合意をしました。そして「TKCモニタリング情報サービス」についても、金融機関の立場からご意見を申し上げ、開発に関わらせていただきました。現在は、同サービスを活用して資金調達や融資申し込み手続きの簡素化につながる新たなサービスの開発に取り組んでいるところです。

正確かつスピーディーな融資審査が可能に

増山 数あるフィンテックサービスのなかで、なぜ「TKC」なのでしょうか。

小林弘幸次長

小林弘幸次長

小林 最大の理由は、提供される財務データが、TKC会員税理士が行う「月次巡回監査」によって、適法性、正確性、適時性が担保されている点にあります。

増山 月次の書面添付(税理士が会社の決算内容を説明した書面を、決算書に添付して税務署に提出すること)や記帳適時性証明書の発行など、TKCの取り組みにもとづく「財務データの信頼性」を評価されているということですね。

小林 はい。TKCさまの場合にはしっかりとした信頼性の裏付けがあります。また、同サービスは金融機関向けサービスという位置づけですが、企業にとっても大きなメリットが見込めると考えています。

増山 具体的にはどのようなメリットが?

小林 現在の事務フローでは、行員と面談した際に紙の決算書を提出いただいています。それを行員が持ち帰って分析し、あらためて資金提案などを行うといったように、少なくとも2度の面談が必要になります。ところが、同サービスによって決算書をデータでいただければ紙の提出が必要なくなり、1回の面談で効率・効果的な提案ができるようになります。

増山 TKCモニタリング情報サービスには「決算書等提供サービス」「月次試算表提供サービス」「最新業績開示サービス」の3つが用意されています。これについては?

小林 年1回の決算書だけでなく、月次の試算表を提供いただければ、正確かつスピーディーな審査が可能になり、メリットはより大きくなります。その意味でもぜひ、経営者の方々には「決算書等提供サービス」と「月次試算表提供サービス」はセットでご利用いただきたいですね。

増山 今年6月にスタートしたTKCの企業向けフィンテックサービス「銀行信販データ受信機能」の普及にも熱心に取り組んでいただいています。

小林 この機能は、銀行や信販の取引をオンラインで仕分けの基礎データを自動収集するものであり、企業さまの経理業務の効率化が図れます。さらに、この機能の利用を契機に、インターネットバンキング(IB)をご契約いただければ、事務効率化の効果はより拡大します。

増山 なるほど。IBとの関連が大きいわけですね。

小林 おっしゃるとおりで、TKCさまのふたつのフィンテックサービスは、IBとセットで普及させることに、当行では大きな意味を見いだしています。

顧客とのコミュニケーションツールとしての高い有効性

決算書等提供サービス

増山 TKCモニタリング情報サービスは、国が推し進める「経営改善計画策定支援事業」におけるモニタリングのツールとして、ご活用いただけそうですか。

小林 もちろんです。迅速かつ正確な財務データをいただければ、それだけモニタリングもスムーズに行えますから。その意味では、通常の融資審査の場合も、経営改善計画のモニタリングの場合も、より質の高い金融サービスを提供するという文脈のなかでは、同じことだと思います。

増山 最近話題の「事業性評価」にもとづく融資をする上で、同サービスの利用価値をどのようにお考えですか。

小林 われわれ金融機関には、企業さまの潜在能力を引き出すためのコンサルティング機能を発揮することがこれまで以上に求められています。しかし、有益なアドバイスや、戦略に適した融資を行うためには、われわれがお客さまを「よく知る」ことが必要となります。そのためのコミュニケーションツールとして、TKCモニタリング情報サービスは非常に有効だと考えています。

TKC会員と協力して企業の業務効率化に尽力

増山英和税理士

増山英和税理士

増山 どのように利用企業を増やしていかれるおつもりなのでしょうか。

小林 TKCの2つのフィンテックサービスは、『FXシリーズ』などTKCの自計化システムを使用されていることが条件となります。そのため、まずは、TKCの会員先生方と協力し、利用条件に適合した、事務効率化などのメリットをご享受いただけそうな関与先さまに対してサービスをご案内しながら、その上で当行がIBの導入などをサポートしていきたいと考えています。

増山 利用条件に適合した関与先とは?

小林 たとえば、決算書や月次試算表を定期的に銀行に提出しているなど、経営の透明性、情報開示の意識の高い先です。

増山 どのようなサポート、あるいはインセンティブを考えておられますか。

小林 これまではTKC会員先生が開催される「銀行信販データ受信機能」の説明会で、同機能をご利用いただく上でのIBの活用方法などをご説明してきました。今後も、TKC関東信越会さまとの共同セミナーを予定しています。また、10月3日から法人IBの手数料無料キャンペーンを実施しており、これを同機能利用促進へとつなげていければと考えています。

増山 今後はいかがでしょう。

小林 たとえば、説明会に参加させていただくなかで、企業さまから、「銀行信販データ受信機能」において、総合振り込みや口座振替、あるいは融資残高の明細が自動的に取得できるようにしてほしいとのご意見をいただいたりもしました。こういった企業さまからの声を逐次うかがいながら、「TKCモニタリング情報サービス」「銀行信販データ受信機能」といった2つのフィンテックサービスの開発に関わっていきたいです。加えて、たとえば提供いただくデータを連携させた「融資申込みサービス」をIBに追加するなど、新たなサービスの開発にも取り組んでいくつもりです。

常陽銀行(2016年3月末現在)
本店
茨城県水戸市南町2-5-5
預金等残高
8兆1,033億円
貸出金残高
5兆9,127億円
従業員数
3,683名

『戦略経営者』2016年11月号より転載