関東総業株式会社様

関東総業株式会社

統合型会計情報システム(FX4クラウド)ユーザー事例

精緻な業績管理で
信頼される物流会社めざす

茨城県取手市の国道6号線沿いに本社がある関東総業。大手加工食品メーカーの物流業務を担う優良企業だ。安達實社長(70)から安達寛人副社長(39)への事業承継を来年に控えた同社では、より精緻な業績管理をおこなうためにTKCの『FX4クラウド』を新たに導入した。「データ連携」や「部門の階層別管理」などの機能を高く評価しているという。

大手加工食品メーカーとの取引に一点集中

──物流サービス(運送業、倉庫業)が主力だそうですね。

安達實社長

安達實社長

安達社長(以下社長) 本社敷地内にある倉庫は、第1と第2あわせて約6000坪。所有するトラックは、子会社のK・Sロジテムのものも含めると現在およそ50台あります。

──主な取引先は……。

社長 荷主企業である大手加工食品メーカーN社さんの仕事が全体の80%を占めます。10年ほど前から、だんだんとN社さんに特化していきました。

──なぜ特化をしたのでしょう。

社長 大手製造業者さんなどの仕事も請け負っていたのですが、適正運賃をもらうことが難しくなってきたことから、それらの会社との取引を打ち切りました。その分、適正な運賃で取引をしてくれるN社さんの仕事を増やしていったのです。N社さんとは昭和40年代からの長いお付き合い。いろんな話ができる間柄です。N社さんに特化した経営判断は、今のところ間違っていないと思っています。

──N社から依頼を受けている仕事の中身を教えてください。

社長 同じ取手市内にあるN社さんの関東工場や、静岡工場や滋賀工場でつくられた商品をトラックで集荷し、それを自社の倉庫にいったんプールします。品数としては300種類くらいあります。さらにそれらの商品をN社さんからのオーダーにもとづき、関東地方のスーパーやコンビニなどの流通業者にお届けするのがわれわれの役目です。

──物流を担うパートナーとしてN社から頼られているのは、どのような点が評価されてのことですか。

社長 真面目なところでしょうね。商品の輸送・保管に関するコンプライアンスを順守している点もそうだし、絶対にノーと言わないところも評価してもらえていると思います。オーダーを受けて運ぶ商品の数は、多いときもあれば少ないときもあります。とくに大変なのは多いときで、自社で所有するトラックの台数だけでは足りないときは、知り合いの同業者に頼んで車を回してもらったりしています。そのあたりの対応力の良さが、私たちの持ち味。「うちはこれだけの台数しかないから、この数量しか運べません」などとは決して言いません。
 また、N社の物流を担っている他の同業者が雪害などのトラブルで商品を運べないときは、われわれがその仕事を代わりに行うことも積極的にやっています。とにかくN社さんが困らないように当社がお手伝いをする。そうすることでN社さんに必要とされる物流パートナーになれると考えています。

──従業員教育に関しては、どんなところに力を入れていますか。

関東総業トラック

社長 法定速度を守った輸送を徹底させることがまず一つ。私たちにとって交通事故は致命的です。その最大の原因といえるのが、スピード違反ですから、たとえば40キロが法定速度の道路なら40キロで走ることを義務付けています。いまはデジタコがトラックに搭載されているので、速度オーバーをしているドライバーが誰だか瞬時にわかる。法定速度を守らない社員がいればすぐに注意します。
 それともう一つは、あいさつや服装をきちんとさせることです。スーパーやコンビニに荷物をお届けした際にも、あいさつはしっかりする。そのほうが相手も気持ちがいいし、荷主企業のイメージアップにもつながるのです。

「仕訳連携」の機能を評価し『FX4クラウド』を導入

──熊坂会計に税務顧問を依頼するようになった経緯は?

社長 以前お世話になっていた税理士が高齢になったこともあり、地元の藤代ロータリークラブでいっしょだった熊坂先生に3年ほど前からお願いするようになりました。

熊坂眞人顧問税理士 安達社長が藤代ロータリーの会長をされていたとき、私が幹事(秘書役)をやらせてもらったこともあります。1年間そばにいて、いろいろ勉強させてもらいました。

──「月次決算」を長年実践されてきたそうですね。

社長 計数管理をしっかり行うためには、月次決算は不可欠だと考えています。

熊坂眞人顧問税理士

熊坂眞人顧問税理士

熊坂税理士 安達社長の計数管理能力はすごいです。日々の売り上げデータをもとに、いまの状態ならこのくらいの利益が出ているはずというのを自分の頭の中で計算しているんです。

──今年1月に『FX4クラウド』を導入したそうですが、その狙いは。

安達副社長(以下副社長) データ入力作業の効率化というのが狙いの一つでした。たとえば車両ごとの損益計算をするのに、今はスプレッドシート(表計算ソフト)を使っています。それぞれの車両の売り上げや燃料費、修繕費などのデータを入力したうえで損益を出しています。その一方で会計ソフトにも、仕訳データとして同じ数字を打ち込んでいる。つまり「データの2度打ち」をする必要があるのです。ところが『FX4クラウド』の「仕訳読込テンプレート」を使えば、スプレッドシートから切り出したデータをそのまま仕訳データとして読み込むことができるといいます。これなら一度のデータ入力で済むわけです。ただ、まだ導入したばかりということもあり、現状ではそこまでの使い方はできていません。そのための準備をいま進めているところです。

──『FX4クラウド』を使いはじめて何か変わったことはありますか。

小畑美仁・取締役総務部長 社長はよく「自分の計算では今月の利益がこんなに少ないわけがない。何かあったんだろう、原因はなんだ?」と私や副社長に質問をされます。『FX4クラウド』にしてからは、そうした質問に対してスピーディーに回答できるようになりました。ドリルダウン機能を使って仕訳伝票にまでさかのぼれば、なぜそうした数字が出たのかがすぐにわかるからです。以前使っていた市販の会計ソフトにはそのような機能はなかったので、書類をいろいろ引っ張り出さないと原因がつかめませんでした。

社長 「売り上げがこのくらいなら、利益はこのくらい出ていないとおかしい」ということが私は長年の経験からかなりの精度でわかります。だから頭の中で計算した数字と、報告を受けた数字とに大きな開きがあったときは、必ずなにか原因がある。それをきちんと把握しておきたいのです。

《365日変動損益計算書》を毎月の「業績検討会」で活用

──部門別業績管理についてはどうですか。

安達寛人副社長

安達寛人副社長

副社長 従来から輸送部門、倉庫部門といったかたちでの部門別管理はしてきており、現在もそうしています。ただ『FX4クラウド』なら「部門の階層別管理」もできるというので、今後はもっときめ細かい部門分けをすることも考えています。

──具体的には?

副社長 まず1段目の階層に「本社営業所」と「その他営業所」を置きます。つぎに2段目の階層として「本社営業所」の下に①本社②倉庫③輸送の3つを置く。さらに③輸送の下に、約50台あるトラックをそれぞれ部門に見立ててぶら下げる。こうした3階層の部門別管理を近いうちに始める予定です。さらにそのうえで「MR(マネジメント・レポート)設計ツール」を使えば、車両ごとの損益などを記したオリジナル資料を作ることも可能になります。将来的にはこのような使い方をすることも視野に入れています。

──獲得できる利益を増やしていくためには何が求められますか。

社長 倉庫の稼働率をいかに高めていけるかが一つのポイントになります。ただ当社の場合、倉庫の稼働率をよくするにはN社しだいという側面もある。N社に必要とされる物流パートナーになれるように努力していくことが、やはり私たちの基本戦略となります。

──「業績検討会」は定期的に開催していますか。

関東総業倉庫

社長 子会社の責任者(副社長の弟)にも来てもらい、毎月4人で先月の業績などについて話し合っています。このときに資料として活用するのは、『FX4クラウド』から打ち出した《365日変動損益計算書》などの帳表です。前年同月比や予算比などを細かく見ていきます。
 実は私が、業績検討会の場などで副社長にいろいろ質問しているのは、来年1月を予定する事業承継を踏まえてのことでもあります。経営分析に必要な大事なポイントをあえて私が質問していくことで、どんなところに目を光らせるべきかを学び取ってほしいのです。

──今後の抱負はいかがですか。

副社長 N社さんからの提案・要望にしっかりと対応できるようにするためにも、いまは力を蓄える時期だと思っています。存在感のある物流会社になれるように、これからも頑張っていきたいですね。

企業情報

関東総業株式会社

関東総業株式会社

設立
1971年1月
所在地
茨城県取手市毛有600
売上高
21億円(グループ全体)
社員数
93名(同)
URL
http://www.sogyonet.co.jp/

顧問税理士 熊坂眞人
熊坂会計事務所

所在地
茨城県取手市宮和田232-5
TEL
0297-82-6566
URL
http://www.kumasaka.jp/

『戦略経営者』2015年6月号より転載)