株式会社北豊商建 様

株式会社北豊商建

統合型会計情報システム(FX4クラウド)ユーザー事例

精緻な部門別管理が
「事業の多角化」を支える

北海道・石狩平野の東部に位置する岩見沢市。そこに北豊商建の本社がある。土木建設、運送、リサイクルなど事業の多角化を図ってきたのは、「社員を通年雇用したい」という思いからだった。各事業の損益をスピーディーに把握するために小西栄治社長(39)が導入したのが、TKCの財務会計システム『FX4クラウド』である。

社員を通年雇用するため「事業の幅」を広げる

──事業内容をお聞かせください。

小西栄治社長

小西栄治社長

小西 主に①土木建設事業(公共工事など)②運送事業(トラック輸送)③環境リサイクル事業(廃棄物の中間処理)④介護事業(デイサービス施設を5店舗運営)の4事業を手がけています。

──土木工事における過去の施工実績は?

小西 道路や河川の「一般土木工事」のほか、農業用水の水路を改修するなどの「農業土木工事」にも数多く携わってきました。このあたりの基幹産業は農業なので、必然的に農業土木関連の仕事が多くなります。

──運送事業ではどのような物資を運んでいるのですか。

小西 建設業に関係した機材を運んだり、産廃の収集などもおこなっています。
 もともと当社は、1985年に先代の父が「建設機械のレンタル」で創業した会社です。その流れから運送業も手がけるようになりました。その後、2000年に私が入社したのをきっかけに土木工事の仕事をスタート。さらに自社で保有していた土地資産を利用してリサイクル事業もはじめました。
 複数の事業を手がけているのは、従業員を年間通して継続雇用したいからです。土木の仕事がないときは、産廃の仕事に入ってもらうなどすれば社員を継続的に雇用することができるのです。冬場の除雪作業の仕事を積極的に受注しているのも、同じ理由からです。

──土木工事だけでは1年間回せないと?

小西 公共工事の数はその年の国の予算によって、かなり変動があります。「仕事がなくなったら本州に出稼ぎ」というのが、北海道の建設会社では当たり前なんですが、どうにか年間通して継続雇用できないものかと考えるうちに今のような会社のかたちになりました。

──土木工事も産廃処理も専門性が求められる仕事です。事業をまたがるスキルを従業員のみなさんが持っているのですか。

土木建設や廃棄物の中間処理の仕事などを手がける

土木建設や廃棄物の中間処理の仕事などを手がける

小西 実は、建設業の仕事とそれ以外の建設関連事業(運送、産廃処理)で必要とされる作業免許はおおよそ似通っています。たとえばショベルカーやトラックを動かせる資格があれば、土木現場の仕事もできるし、産廃処理の仕事もできるわけです。
 ちなみに当社で受け入れている産業廃棄物は、コンクリート、アスファルト、木くず、無機性汚泥など。それらを再資源化し、再び工事で使えるようにするための〝橋渡し役〟を担っています。

──現在の「経営戦略」をお聞かせください。

小西 やはり「地域に根ざして」といったところでしょうか。当然、道内のゼネコンクラスの会社もこの周辺(岩見沢市エリア)で仕事をしていますが、ここの地域に投下された「建設投資」による工事については、たとえ局地的にでも〝勝ち組〟になりたいと考えています。

──最近の業績はいかがですか。

谷 勲・顧問税理士 北豊商建さんの経営はいたって順調で、ここ数年間で大きく売り上げを伸ばしています。

事業部ごとの損益をスピーディーに把握

──業績管理には『FX4クラウド』を活用されているそうですね。

小西 導入したのは昨年6月。それ以前は、地元のITベンダーに作ってもらった自社システムを使っていました。しかしそのシステムには部門別管理の機能がなく、事業部ごとの損益はわからなかった。わかるのは、各事業部の数字を一緒くたにまとめた「会社全体」の数字だけ。つまりどの事業がプラスで、どの事業がマイナスになっているかということがすぐにはわからない状況だったのです。このことを会計事務所の担当者に話してみたところ、「こういうのもありますよ」と紹介されたのが『FX4クラウド』でした。

──現在はどのように部門別管理を行っているのですか。

佐藤明彦・監査担当

佐藤明彦・監査担当

小西 土木、運送、環境、機械レンタル、総務の5部門に分けて管理しています。介護についてはいまは別のシステムで管理していますが、近いうちに『FX4クラウド』に統合する予定です。

佐藤明彦・監査担当 いずれは「部門の階層別管理」の機能を生かして、2階層で部門別管理をすることを考えています。まず1段目の階層を①建設と②介護にします。そのうえで、①の下に土木、運送、環境などの部門をぶら下げる。さらに②の下にデイサービスの5店舗(北海道3店舗、沖縄2店舗)をぶら下げます。

──『FX4クラウド』導入をきっかけに「月次決算」に取り組むようになったそうですね。

小西 いまでは、月末で締めて翌月の20日くらいまでには試算表を出せるようになりました。毎月の売上高や利益率が部門ごとにわかるようになったおかげで、よいところはさらに伸ばして、悪いところは改善するといった取り組みができるようになっています。

「仕訳読込テンプレート」を使って入力作業を“自社流”に

──「仕訳データ」の入力はどのような体制で行っていますか。

冬場は除雪作業の仕事にあたる

冬場は除雪作業の仕事にあたる

小西 実は経理スタッフが仕訳データを入力しているのは、今まで同様に自社システムの画面からなんです。自社システムに打ち込んだデータをCSVファイルに切り出し、それを「仕訳読込テンプレート」の機能を使って『FX4クラウド』に連携させています。
 なぜそのやり方にこだわっているかというと、自社システムには日報管理の機能などもあるため、従来通りのやり方を崩したくなかったからです。それに経理スタッフにとっても、ゼロベースで操作を覚えるのは大変なこと。そうした事情をTKCの営業担当者に話したところ、「仕訳読込テンプレート」を使うことをアドバイスしてくれました。

──黒字決算実現のために工夫していることがあれば教えてください。

小西 変動費である「外注費」をいかに適正なものにしていけるかが重要なカギを握ります。当社の場合、半分は「自社労務」、残りの半分は「外注労務」といった比率で仕事を回しています。それなら最悪、仕事の量が半分になったとしても何とか生き残ることができる。ただ、外注費を必要以上に増やしすぎると獲得できる利益は目減りしてしまう。利益をしっかり確保するためには、外注費に目を光らせる必要があるのです。

──近年の好調な業績をけん引している事業は何ですか。

小西 売り上げの伸びが一番大きいのは、産廃の中間処理です。他の事業も平均して伸びていますが、伸び率で言えばそれが最も大きい。もともと産廃の仕事はコンクリートとアスファルトだけをやってきたのですが、最近は新たに木くずや汚泥なども受け入れるようになったほか、札幌エリアの取引先を増やすなど営業地域の拡大にも努めています。それらが奏功して売り上げの伸びにつながっています。

──介護事業についても拡大を続けているようですね。

介護事業としてデイサービス施設5店舗を運営

介護事業としてデイサービス施設5店舗を運営

小西 介護事業はヒューマンリンク(北海道江別市)のフランチャイズとして展開しています。北海道の3店舗のほか、なぜ沖縄県那覇市に2店舗を出したかというと、そこに商機があると見たからです。少し意外に思われるかもしれませんが、われわれにとって那覇市は意外とアクセスに便利な場所なんです。たとえば首都圏の場合、羽田空港から電車やバスを何度も乗り継ぐ必要がありますが、那覇市の中心市街地については空港からわずかな時間で行ける。そう考えると沖縄は近いんです。
 介護事業は、土木建設関連の仕事とは違い、わりと「お金の出入り」に変動がなく、安定した収益を得ることが可能です。介護事業を手がけることは、経営の安定化を図るうえでも必要とされています。

──今後の会社のビジョンは?

小西 リサイクル事業については、取扱品目をさらに増やしていくほか、10年以内をめどに廃プラスチックの最終処分場の仕事にも進出したいですね。まだまだ事業拡大の余地はあると思っています。

企業情報

株式会社北豊商建

株式会社北豊商建

設立
1985年2月
所在地
北海道岩見沢市北村赤川586番地54
売上高
8億8,000万円
社員数
87名(パート含む)
URL
http://kk-hokuhou.com/

税務顧問 谷 勲
谷勲税理士事務所

所在地
北海道岩見沢市上幌向町1360番地1
TEL
0126-32-6001
URL
http://tani-isao.tkcnf.com/

『戦略経営者』2016年4月号より転載)