──事業内容を教えてください。

小幡健社長

小幡　外国人の派遣事業を主に手がけています。当社が拠点を置く愛知県豊田市は言わずと知れたトヨタ自動車の企業城下町。派遣先のほとんどがトヨタ系列の部品工場で求人も自動車部品の組み立て、検査といった現場作業が大半を占めていますが、日本人とのコミュニケーション円滑化を目的とした通訳スタッフを紹介することもあります。

──もともとは中古自動車の整備・販売業を営んでいたと聞きました。人材派遣事業を手がけるようになったきっかけは何でしょう。

小幡　人材紹介に商機を感じていたからです。私自身会社を営むなかで常に人手不足に苦しんできましたし、知り合いの経営者からも「人手を確保できない」といった悩みを相談されることが多かったので……。「それなら自分でやってみるか」と思い、人材業界への参入を決めました。

──自動車事業と人材派遣の両立から転換を決意したのはいつ？

小幡　2018年です。当時は創業から20年近く経っており、直近でも売上高1.6億円ほど上げていたので事業をストップするのに不安な気持ちもありました。一方で、「CASE(※)」という単語が象徴しているように、今後自動車業界は大変革の時代に突入すると予想されており、このまま中古車の整備・販売を続けていても激しい競争にさらされ、業績が頭打ちになる可能性が高かった。そこで、『FX4クラウド』の最新業績をベースに中村先生と相談し、18年に自動車事業の凍結を決意。ビジネスチャンスを感じていた「外国人材の紹介」にシフトしたのです。

──強みは？

小幡　人材をスピーディーに紹介できることでしょうか。外国人は仕事を探す際に紙媒体の求人情報誌ではなく、フェイスブックやツイッター等のSNSを活用することが多い。それゆえに、当社では約10年前に求人情報を動画形式で発信するためのスタジオを社内に設け、毎日のようにコツコツと撮影し、フェイスブックなどにアップしてきました。手前味噌(みそ)になりますが、われわれのフェイスブックのフォロワー数は9万人を超えており、動画を投稿するとただちにシェアされるので、フォロワーはもちろん、フォロワーではない方からもすぐに応募が来ます。これらの取り組みもあり、巷では「人材をなかなか集められない」といった声がささやかれていますが、当社では安定して求職者を企業に派遣できています。

──それはすごいですね。

(下)SNSでは外国人向けの求人情報を発信

小幡「SNSの活用」という外国人特有の習慣にいち早く目をつけ、策を講じたことが奏功しました。

──配信動画の構成は？

小幡　最新の求人情報を当社のスタッフが事細かに紹介しています。また、応募者に興味を持ってもらえるよう、撮影では明るい雰囲気で情報を伝えるように心掛けています。

──応募者の国籍は？

小幡　多岐にわたりますが、特に多いのがフィリピン、ブラジル、ネパール、ペルーです。

──派遣後の定着率も良いと聞いています。

小幡　当社では事前に派遣先企業から仕事内容、就業条件や求める人材像等を細かくヒアリングしています。この内容は独自のヒアリングシートに展開しており、面接の際に応募者に詳しく説明することで仕事のミスマッチを防ぎ、派遣後もしっかり働ける環境づくりにつながっています。

──「特定技能ビザ」の取得支援事業も好評です。

小幡　当社は豊田市でもっとも早く、特定技能ビザの登録支援機関の認定を受けました。現在は技能実習生、海外在住の特定技能を目指す外国人の資格変更といった支援を行っており、特に特定技能ビザの取得は当社が拠点を置く東海地方はもちろん、九州地方でも実績を上げています。

※CASE
Connected（コネクテッド）、Autonomous（自動運転）、Shared ＆ Services（カーシェアリング）、Electric（電気自動車）の頭文字をとった造語

──『FX4クラウド』を導入した理由を教えてください。

小幡　いろいろありますが一番は意思決定の迅速化です。営業戦略や経費削減などの経営判断を会計の面からアシストしてくれるツールを探していたときに、偶然目に留まったのが『FX4クラウド』でした。当時は経理業務全般を別の税理士にお願いしていたので、最新の試算表が手元に届くまで時間がかかっていました。『FX4クラウド』は機能が充実しており、何よりユーザーの評価も高かったので、「これだ！」と。実際に『FX4クラウド』を導入したことで、肌感覚ですが以前より2カ月早く経営判断ができています。

中村友悟税理士

中村　小幡社長と最初に面談したときも終始「最新業績を即座に見られるようにしたい」ということを話されていましたし、「損益を細かく管理したい」「入力の手間はなるべく省きたい」などの要望をお持ちだったので、「これは『FX4クラウド』しかないな」と。そこからトントン拍子で導入まで進みましたね。

──特に部門別管理機能を活用されておられるとか。

小幡　派遣先企業を1つの部門に見立てて損益管理を行っているので、会社ごとの取引状況が一目で分かるようになりました。人材を積極的に受け入れている会社には派遣スタッフの生活支援といったアフターフォローを手厚くしたり、逆に派遣が滞っている会社には積極的な提案営業をかけたりするなど、具体的な営業戦略の構築に役立てています。

中村　顧客ごとの損益を比較した書類を「マネジメントレポート（MR）設計ツール」で作成し、月次監査のタイミングで見ていただいていることも、社長の迅速な戦略立案と意思決定を支えている印象です。

──入力面はいかがでしょう？

中村　私は「システムにある機能はすべて活用する」という理念のもと提案しているので、メイクワンさまも『FX4クラウド』の機能を徹底的に活用いただいています。例えば、導入時から預金データを自動受信して仕訳を計上できる「銀行信販データ受信機能」や、業務管理システムに入力した取引をそのまま『FX4クラウド』に読み込ませる「仕訳読込テンプレート」機能、資金管理からのインターネットバンキング振込データの作成、支払い、仕訳計上といった機能を活用しているので、仕訳を手入力されることはほとんどありません。特に仕訳読込機能がないと細かい部門別管理は絶対不可能ですので、非常に重宝されています。

──『TKCモニタリング情報サービス』（MIS）を使って決算書と月次試算表をオンラインで金融機関に提供されています。使い勝手はいかがでしょう。

小幡「業績資料はオンラインで金融機関に送る時代ですよ」という中村先生の強い推薦があったので利用を決めました（笑）。自社の業績をオープンにすることは経営者として緊張感を伴いますが、メインバンクである豊田信金さんも当社の経営状態をタイムリーに把握しておられるようで、必要なときに必要な支援を受ける機会が増えるなど、お互いの関係がより密接になったと感じています。

蔦森孝男支店長

蔦森　メイクワンさんをはじめ、当信金と取引のあるお客さまも徐々にMISによる業績資料の提供が進んでいる印象です。紙に比べてわれわれの手元に届くスピードが圧倒的に早く、あらかじめ業績資料に目を通した上でお客さまと面談できるので、より会社の実態に適した提案ができるようになりましたね。

──今後の抱負をお聞かせください。

小幡　緊急事態宣言の解除や外国人の入国制限が緩和された影響もあり、当社への紹介依頼が一気に増え、コロナ前の水準を超えました。これらのニーズにこたえ、当社がミッションに掲げる「1社でも多くの会社の人手不足を解消する」を実現するためにも、新規の取引先開拓、既存の顧客フォロー、SNSでの求人情報の発信、派遣スタッフの身の回りの支援などを拡充していきたいと考えています。最近は豊田市等の自治体と連携し、外国人向けにコロナワクチンの接種情報といった生活に根ざした情報の発信にも力を注いでいます。海外人材が安心して働くためにも、こういった取り組みにも引き続き力を注いでいきます。

企業情報

同社が拠点を置く愛知県豊田市は
トヨタ自動車の企業城下町

株式会社メイクワン

設立

1999年

所在地

愛知県豊田市逢妻町2-18-5

売上高

5億円

社員数

160名（派遣スタッフ含む）

ＵＲＬ

https://kkmakeone.com

顧問税理士
中村友悟税理士事務所

所在地

愛知県豊田市本町高根20-6

ＵＲＬ

https://nakamurayugo-kaikei.tkcnf.com