水島運搬機株式会社 様

左から平垣真佐和社長、光岡寿弘顧問税理士、板野幹也監査担当

左から平垣真佐和社長、光岡寿弘顧問税理士、板野幹也監査担当

統合型会計情報システム(FX4クラウド) ユーザー事例

自計化を土台とした巡回監査で
顧問税理士との関係が緊密に

今年創業60年を迎えた水島運搬機は、「ボブキャット」をはじめとする産業機械を扱う。平垣真佐和社長のかじ取りのもと、きめ細かい対応力を売りに、全国に取引先を広げてきた。『FX4クラウド』の導入を皮切りとし、販売管理、給与計算システムもTKCシステムへ移行。経理業務の効率化を成し遂げ、「生きた数字」を意思決定に役立てている。

迅速な対応力を武器に顧客を芋づる式に獲得

──事業内容を教えてください。

手狭な場所での作業に適したスキッドステアローダー

手狭な場所での作業に適したスキッドステアローダー

平垣 ボブキャットの正規販売代理店として、スキッドステアローダー等の建設機械の販売と整備、修理を手がけています。その他、各メーカーのフォークリフトやショベルローダーも取り扱っています。

──ボブキャット製品は、どのような現場で使用されていますか。

平垣 主に鉄鋼メーカーの工場で鉄鉱石を掃除したり、鶏舎や牛舎で家畜ふんを運搬したりするのに用いられています。その場で旋回できる小回りの良さと、豊富なアタッチメント類が特長です。前面に取り付ける付属品を交換するだけで、運搬から除雪、草刈りにいたるまで多岐にわたる用途で利用できます。

──建設機械にも車検に相当する定期検査があるそうですね。

有資格者が特定自主検査を行う

有資格者が特定自主検査を行う

平垣 建設機械や荷役運搬機械は、1年に一度「特定自主検査」を受けなければなりません。当社は特定自主検査業者として岡山県で第1号の認定を受けていて、7名の有資格者が検査を担っています。資格を取得するには機械の点検、整備の実務経験を一定期間積み、学科および実技研修を受講する必要があります。

──競合企業は近隣にありますか。

平垣 自動車メーカー系のフォークリフト会社をはじめ多数あります。うちの強みは、お客さまに寄り添った迅速な対応ができるところ。1週間泊りがけで岡山県外の複数のお客さまを回り、出張修理をおこなっています。それと、さまざまなメーカーの産業機械を扱える点も売りです。メーカー系列の会社は、自社の機械しか扱えない場合がほとんどですから、取引先さまから重宝されています。

──営業活動はどのように?

平垣 飛び込み営業はほぼ行っておらず、お客さまから紹介いただく場合が多いですね。例えば、ボブキャットのユーザーである但馬牛の畜産農家さんから松阪牛の農家さんを紹介され、さらに松阪牛の農家さんから宮崎牛の農家さんを紹介されたこともあります。ユーザーの皆さんはボブキャットの作業風景をスマートフォンで撮影し、製品の利点を動画で伝えてくれているようです。

──「健康経営」を推進されていると聞きました。

平垣 以前勤務していた会社が健康経営優良法人として、新聞記事で紹介されていたのを目にしたのがきっかけです。私が健康経営推進責任者となり、朝礼後のラジオ体操や昼休み中のなわとび運動のほか、健康診断時35歳以上の全社員を対象に、胃がん、大腸がん検診を会社が費用負担し実施しています。
 さらに、喫煙者ゼロを目指し、社会保険協会主催の90日間禁煙チャレンジに参加。6名の社員が禁煙を達成しました。健康経営優良法人「ブライト500(※1)」に2年連続で認定されたのも、こうした取り組みが評価された結果ととらえています。

※1 ブライト500…健康経営優良法人に認定された中小規模法人のうち上位法人に付与される呼称

エクセルシートとの連携で仕訳の“入力レス”を実現

──5年前から『FX4クラウド』を利用されていると聞きました。

平垣 監査担当の板野さんから、このシステムを利用すれば売り上げや仕入れ、金融機関との入出金にまつわる業務を合理化できますと提案され、導入しました。業務の流れがどう変わるか、1枚のシートにイラスト化して説明してもらえたので分かりやすかったです。

光岡 水島運搬機さまとは先代社長のころから長年のお付き合いをしていますが、手書きによる振替伝票を当事務所に毎月持参いただき、職員が仕訳入力するというスタイルでした。その後とりまとめた月次試算表をファクスなどでお送りしていました。当時、監査担当者が水島運搬機さまのオフィスにうかがう機会は少なかったはずです。監査担当者の交代とIT導入補助金創設のタイミングが重なり、TKCシステムによる自計化をおすすめしました。

──自計化され、どのあたりに効果を実感されていますか。

平垣 経理担当者にかかっていた業務負担を大幅に軽減できました。『FX4クラウド』の「エクセルからの仕訳計上」を用いて、売り上げ、仕入データを入力したエクセルシートを連携させ、仕訳として計上できるようになりました。これまで売上帳、仕入帳といったエクセルシートを作成し、なおかつ振替伝票を起票していたのでとても手間がかかっていたんです。
 また、金融機関との入出金取引も「銀行信販データ受信機能」によりデータ受信し、簡単に仕訳計上できます。従来、私がインターネットバンキングに入力していた振込指示も、総合振込依頼データを作成でき入力作業がなくなりました。

板野 「エクセルからの仕訳計上」をフル活用されているため、経理担当者の方にとってシステムに仕訳を入力しているという感覚は、ほとんどないはずです。

──経営面における変化は?

平垣 経理業務の効率化を通して、会社の状況を鮮度の高い「生きた数字」でつかめるようになったのはありがたいです。業績の早期把握により決算期末の着地点が容易に予測できるようになったため、さまざまな打ち手を検討し、意思決定を早く行えます。それと、光岡先生の指導により気づきを得られたのが、在庫管理の大切さ。当社は産業機械の中古車も扱っており、商品在庫は相当数にのぼります。毎月、在庫数をしっかり点検しているので、期末の利益見込みが立てやすくなりました。
 あわせて販売管理ソフトや給与計算ソフトをTKCシステムに統一したことで、システム間のデータ連携が図れDXを推進できました。以前の経理体制にはもう戻れないですね。

光岡 商品在庫は税務調査で頻繁にチェックされる項目です。水島運搬機さまは書面添付(※2)を長年続けられており、ここ20年間税務調査もありません。

「数字」を共通言語に将来の打ち手を話し合う

リモコンで操作できるモデルもある

リモコンで操作できるモデルもある

──ふだん、どのような指標に注目されていますか。

平垣 月次売上高の推移はもちろん、資金繰りに関連する項目も注視しています。仮受消費税はそのひとつ。中間申告の消費税納付時にあわてることのないよう、独自に作成しているシートでは仮払消費税とともに色分けして目立たせています。

──TKCシステムによる自計化を通して、光岡先生の事務所との関係が深まっていると感じました。

平垣 毎月中旬、板野さんが巡回監査のため来られますが、他の予定を入れず面談するようにしています。『FX4クラウド』で業績を確認しながら、将来に向けて打ち合わせるのが習慣になりました。社員にも、うちの会社は会計事務所の職員さんが毎月監査してくれているという安心感をもたらしていると思います。

板野 会社の置かれた状況について「数字」という共通言語をもとに、社長と会話できるようになりました。実際に関与先さまの事業所に足を運んでこそ、現場の雰囲気をつかめ、相談しやすい関係を構築できるのだと思います。

──抱負をお聞かせください。

平垣 今年創業60年を迎えましたが、お客さまとの信頼関係を大切にしつつ、100年続く会社にするのが目標です。取引先である大手鉄鋼メーカーでは政府から脱炭素が要請されており、当社でも外部の専門家に依頼し脱炭素に関するコンサルティングを受けるなどして、持続可能な開発目標(SDGs)への取り組みを開始したところです。中小企業でも「SDGs」は取り組んで当たり前という雰囲気になっていくのではないでしょうか。

※2 「書面添付制度」とは

 税理士が申告書作成にあたり次のような項目について、添付書面に記載します。

  1. 関与先にどのような資料、帳簿類が備え付けてあり、どの帳簿類を基に計算し、整理し、申告書を作成したか。
  2. 今期大きく増減した科目の原因及び理由。
  3. 関与先からどのような税務に関する相談を受け、回答したか。
  4. 税理士として関与先の申告書内容について、どのような所見を持っているのか。

 書面添付をすると、調査対象となる前に、税理士に記載内容についての意見を求められることがあります。これを「意見聴取」と言います。この意見聴取で疑問点が全て解決できれば、調査省略となります。また、調査に移行したとしても、既に調査を行うテーマが分かっており短時間で終了するのが殆どであり、税理士・関与先ともに負担が軽減されます。

日本税理士会連合会「書面添付制度をご存じですか?」より引用

企業情報

水島運搬機株式会社

創業
1963年4月
業種
建設機械卸売
所在地
岡山県倉敷市東塚5-13-36
売上高
4億5,000万円
社員数
16名
URL
https://www.mizushima-unpanki.co.jp

顧問税理士 光岡寿弘
光岡会計事務所

所在地
岡山県岡山市北区平和町2-5
URL
https://mitsuoka-zeirishi.tkcnf.com

『戦略経営者』2023年12月号より転載)