導入事例CASE STUDY
株式会社タテイシ広美社 様
統合型会計情報システム(FX4クラウド) ユーザー事例
「看板屋から情報伝達企業へ」を理念に
積極果敢な拡大戦略を展開中
1977年創業以来、「町の看板屋さん」から先端技術を駆使した「情報伝達企業」へと進化してきたタテイシ広美社。とくに近年の飛躍には、立石良典社長と理恵専務のコンビネーションによる果敢な拡大戦略がある。両氏と宇野元浩顧問税理士、大倉祐監査担当に話を聞いた。
──右肩上がりの業績ですね。
立石良典社長と立石理恵専務(左)
立石良典社長 私が入社した2013年当時の売上高は約3億8,000万円でしたが、その後、先代とともに事業を拡大し、25年6月期は22億2,000万円、26年6月期は25億円を見込んでいます。
──成長の理由は?
立石社長 一般看板とデジタルサイネージ(※)の比率は以前から大きく変わっていませんが、先代が形にしてきた「単なる看板屋ではなく情報伝達企業であること」そして「世の中の役に立つものを作っていこう」という文化のもとに、売上高10億円規模までは先代と二人三脚で事業を伸ばしてきた経験が大きかったと感じています。その過程で当社の強みと課題を共有しながら先代と並走できたことで、20億円規模への成長を見据えたトライアンドエラーがやりやすくなりました。そのうえで、経営の意思決定を後押ししてきたのが専務の存在です。税理士法人エフ・エム・エスさまを中心に常にデータに基づいた議論を行い、感覚ではなく根拠ある判断を積み重ねてきました。こうした経営体制にマーケティング強化の動きが重なり、結果につながったと考えています。
立石理恵専務 具体的には東京・大阪・横浜など大都市圏に戦略的に営業拠点を設け、大企業との直接取引を強化したことで売上規模が拡大したという面があります。
──大企業との取引のコツは?
❶一般看板、❷マルチディスプレイ、
❸LED電光掲示板、❹先端的な“3Dサイン” にも取り組む
立石社長 大企業では対応しきれない細かな領域を中小企業として埋めることで、ウィンウィンの関係を築くことです。設計から製造、設置までワンストップで請け負える幅広い技術力の蓄積などの大手にないリソースがもともと当社にはあったということです。
立石専務 それと、最近ではインターネット広告が主流になる一方で、店舗でのリアルな「体験価値」はむしろ重要になっているという側面もあります。
──どういうことでしょう?
立石社長 何年か前、米国に視察に行った際、「オンライン広告」と「リアル店舗」を紐づける取り組みが盛んに行われており、日本でも当時、分断されていたこの二つをまとめていこうという動きが、大手を中心に出始めていました。そうした状況に鑑み、われわれが得意な一般看板やデジタルサイネージをより進化させアピールすることで、ニーズを引き出せるのではと考えたわけです。たとえば、ある外資の大手外食チェーンには、全国の看板に加えて、ドライブスルーの効率化に向けたデジタル表示、スピーカー、時間管理システムなどを総合的に提供しています。また、インドやオーストラリアなど海外IT企業とも連携し、先端的な設備の実装を担うなど、事業の幅は広がっています。
──新事業にも取り組まれているとか。
立石専務 EV(電気自動車)スタンド事業は参入から4年目に入り、現在は一つの大きな柱に育っています。
立石社長 きっかけは、欧米視察で見た街中のEV充電設備でした。看板と非常に構造が似ていると感じ、事業再構築補助金を活用して事業化しました。EV充電設備は設置した場所が目的地となることで人々の導線を生み出します。これは看板と同じく「人の流れをつくる仕事」だと考えています。今後われわれは、「情報伝達業」から一歩進めて、「人の流れをつくる仕事」へと幅を広げていく必要があると考えています。
立石専務 社長のすごいところは、EV充電設備もそうですが、東京オリンピックや大阪万博に参入するという大きなビジョンを示し、それを実現してしまうところです。
立石社長 ちなみに大阪万博では、多くのパビリオンのサインや壁など16カ所の工事を請け負いました。
宇野税理士 タテイシ広美社さんは、とにかく「戦闘力」が高いんです。社長の描いた「本当にできるのだろうか」と疑問になるようなグランドデザインを、実務面で専務がフォローしながら社員のチャレンジ精神を喚起し実現へと持っていく……こうしたコンビネーションが、タテイシ広美社さんの大きな強みだと思います。
※デジタルサイネージ…電子ディスプレー(液晶・LEDなど)を使って、映像・画像・文字情報を表示する情報発信メディアのこと
月次決算を経営の武器に
──宇野先生が顧問として関与されたのはいつのことですか。
宇野元浩顧問税理士
宇野 まず、19年に事業承継のコンサルタントとしてお世話になり、22年9月から、税務・会計も顧問させていただくようになりました。
──当初の印象は?
宇野 一言で言うと、エネルギーのある会社です。事業承継の際の議論は、ときに周囲からは「喧嘩」に見えるほど激しいものでした。でもそれはすべて会社を良くするための本気の議論なんですね。事業承継という一番難しいテーマに、逃げずに真正面から取り組んでいた点が印象的でした。
──22年に『FX4クラウド』を導入されました。きっかけは?
立石社長 やはり事業承継です。先代から経営を引き継ぐにあたって、「これまでのやり方のままではいけない」という意識が強くありました。事業承継の検討を進めるなかで、会社の数字をきちんと把握し、将来を見通せる仕組みが必要だと感じるようになったのです。
宇野 承継後の会社は、必ず「スピード」が上がります。そのときに、数字が遅い、状況が見えない、判断が感覚的になる……となると、一気にブレーキがかかる。タテイシ広美社さんの場合、成長を止めないために、数字を即座につかめる仕組みが必要でした。
──それ以前の経理体制にはどのような課題がありましたか。
立石専務 月次決算は形だけでした。経理も会計事務所任せで当時はシステムや体制の制約もあり、数字が経営判断に十分生かしきれていないという感覚でした。売り上げや利益を上げろと言う経営側と、「何をどう改善すればいいのかわからない」という現場との間に、ギャップがありました。
──『FX4クラウド』導入後の変化は?
立石社長 一番大きいのは、月次決算が"経営の武器"になったことです。毎月の数字がきちんと締まり、その数字をもとに議論ができるようになりました。「今月はなぜこの結果なのか」「このままだと期末はどうなるのか」という会話が、感覚論ではなく数字ベースでできるようになったのは大きな変化でした。
──とくに効果のあった点は?
立石社長 限界利益の見える化ですね。売上高だけでなく「どの商品群・案件が、どれだけ限界利益を生んでいるのか」が分かるようになりました。固定費との関係も明確になり「今月はこの品種が多いから利益率が下がるだろう」といった事前予測も可能になっています。また、販売管理システムと『FX4クラウド』を連動させながら、一般看板、デジタルサイネージ、EVスタンド関連など、品種別・事業別に数字を把握しています。『FX4クラウド』でおかしいと思ったら販管システムに戻って深掘りする。この行き来ができることで、数字の精度と納得感が大きく高まりました。
──社員の意識変化は?
立石専務 かなり変わりました。以前は「売り上げを上げろ」「利益を出せ」と言われても、社員側はピンと来ていなかったと思います。今は開示された数字をもとに「固定費はいくらか」「損益分岐点はどこか」「限界利益率を上げるには何が必要か」が共有され、その結果、管理職を中心に「どう改善するか」を自分たちで考えるようになり、経営が一気に彼らの"自分ごと"になりました。
また、労務面においても、社労士の先生と連携しながら法的な観点を踏まえた制度設計を行い、それを数字に落とし込んで待遇改善を進めてきました。こうした取り組みは、人材不足の中でも社員の定着につながっていると感じています。さらに、人件費や生産性の変化も含めて、税理士法人エフ・エム・エスさまとの月次の議論の中で経営判断に反映されており、全体最適での意思決定ができるようになっています。
──数字の開示への不安は?
立石専務 開示しないまま「頑張れ」と言う方が無責任だと思ったんです。数字を見せたことで「仕入れ価格を交渉してみよう」「この案件は利益率を意識しよう」と、現場から自然に行動が変わっていきました。
──そうした変化は、社員への待遇面にも関わっていますか。
立石専務 大いに関係しています。月次で着地が見えるようになったことで、「今期はこのくらい利益が出そうだ」「目標超過分はこれくらい分配できる」といった話が、早い段階でできるようになりました。決算賞与も、「なぜこの金額なのか」を数字で説明できるので、納得感が全く違います。
立石社長 データに基づく議論を推進し、意思決定の質を高める専務の存在が大きかったと思います。
──巡回監査のスタイルは?
大倉監査担当 翌月の25日くらいにうかがい、経理担当者とのチェックの後に必ず社長、専務との打ち合わせを行います。成長一途の会社でスピード感があり、毎月の巡回監査の日が楽しみになる関与先さまです。おかしな数字を翌月まで放置しない。この積み重ねが、経営の安定につながっていると感じています。
宇野 『FX4クラウド』の特徴は、違和感にすぐ気づけることです。数字を見て「おかしい」と思ったら、その場で原因を確認でき、修正に動ける。このスピード感が、社長・専務の経営スタイルと非常によく合っています。
デジタルインボイスの先駆者
──デジタル(ペポル)インボイスへの取り組みも行われています。
立石社長 きっかけは、TKC側から「デジタルインボイスの流れが必ず来ますよ」という話を聞いたことです。今すぐ劇的な効果が出るものではないけれど、世界の動きを考えると、いずれ避けて通れないと判断しました。
宇野 これは単なる日本の制度対応ではありません。欧州ではすでに電子インボイスが法制化され、ペポルを前提とした取引が当たり前になりつつあります。日本も時間差で、同じ方向に進むのはほぼ確実です。
立石専務 PDFは「単なる言語や画像のデータ」ですよね。ペポルはシステムが直接読み取れる構造化されたデータとしてやり取りできる点が違うのでは?
宇野 そこがポイントで、ペポルインボイスは、会計システムに請求書データが「そのまま取り込まれる」ことを前提にした仕組みです。データ量も圧倒的に小さく、今はその価値が見えにくいですが、受信側が増え始めた瞬間に一気に差が出ると考えています。
──取引先へはどのように案内しましたか。
立石専務 グーグルフォームを作成した上で、メールで一斉配信し、また、郵送でも送りました。法人番号など取得した情報に間違いないかの照合が大変でしたが、現在、全体の70%くらいはペポルで送っています。送信には、『インボイス・マネジャー(FX4クラウド)』を利用しており、販売管理システムのデータを読み込ませて送信しています。
大倉祐監査担当
──ペポルネットワークを利用したインボイス発行は、近い将来、送付だけではなく「受信側」としてのメリットが期待できます。
大倉 取引先がペポルインボイスで請求書を送ってくるようになれば、会計ソフト上で受け取ったデータから仕訳データが自動生成され、そのまま計上できます。そうなると、今よりはるかに大きな業務の効率化が実現できます。
宇野 タテイシ広美社さんは、「先駆者」だということです。デジタルインボイスが当たり前になった時に、「うちは準備万端です」と言える。これは大きいと思います。
立石社長 それと、ペポルに合わせた業務フローで請求書の発行を行っているので、作業が標準化されつつあります。請求書を送るという作業一つにしても、これまではたくさんのローカルルールに悩まされてきました。それを標準化できるということだけでも、意義のあることだと考えています。
企業情報
本社工場
株式会社タテイシ広美社
- 業種
- 看板・デジタルサイネージ製造業
- 創業
- 1977年
- 所在地
- 広島県府中市河南町114
- 売上高
- 22億2,000万円
- 従業員数
- 140名
- URL
- https://t-kobisha.co.jp
顧問税理士 税理士法人エフ・エム・エス
代表社員税理士 宇野元浩
- 所在地
- 岡山県岡山市南区豊成1-5-3
- URL
- https://www.fmsinc.co.jp
(『戦略経営者』2026年5月号より転載)


