ファミリーネットワークシステムズ様

ファミリーネットワークシステムズの皆さんと小西大史顧問税理士

統合型会計情報システム(FX4クラウド)ユーザー事例

「御用聞き」ビジネスを支える4階層の部門別管理

今年9月で独立開業25周年を迎えたファミリーネットワークシステムズ。「御用聞き」宅配サービスを手がける大阪の優良企業だ。60~70代の利用者が中心で、自社のセントラルキッチンで調理した「夕食セット」などの商品が人気を博している。堀田茂社長(52)と経理業務を担当する多賀正臣氏に、TKCの『FX4クラウド』を使った業績管理のあり方などを聞いた。

シニア層に人気の「わんまいる」宅配サービス

──食料品を中心にした宅配サービスを主力にしているそうですね。

堀田茂社長

堀田茂社長

堀田 「わんまいる」の屋号で直営の宅配専門店を運営するとともに、全国16都道府県でフランチャイズ展開をしています。うちの宅配サービスは、いわば現代版の「御用聞き」。地域の担当者(サポーター)がお客さまの自宅に注文を取りに行き、商品を届けるという御用聞きのスタイルは、『サザエさん』に出てくる三河屋さんと基本的にいっしょです。ただ少し違うのは牛乳、卵、豆腐などの日配品をはじめ、お米、お酒、飲料水、日用品など約1,000種類もの商品を取り扱っているところや、ITを駆使した受発注システムを使っている点などです。

──宅配サービスの流れを簡単に教えてください。

堀田 週に一度、決まった曜日・時間帯にサポーターがお客さまの自宅に訪問し、商品のお届け、注文書の回収、カタログの手渡しを同時におこないます。必ず対面でやり取りをするようにしているのは、お客さまとの会話・ふれあいを大切にしたいからです。

──利用者の多くはどんな方たちですか。

堀田 「わんまいる」の登録会員は約30万世帯。年齢的には60~70代が中心です。「スーパーが遠い」「車がないので買い物に行けない」「荷物を持って坂道を歩くのは大変」と、買い物に不便を感じている人たちの支持を集めています。

──惣菜関係の商品が充実しているのも「わんまいる」の魅力だとか。

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堀田 主菜1品・副菜2品・ご飯・汁物の5品を組み合わせた「夕食セット」(5食セットで3,900円)などがあります。栄養バランス・カロリー・塩分を考えた80種類以上の豊富なメニューを用意しており、血圧や血糖値が気になる方にもおすすめです。
 また、作りたてを急速冷凍することで合成保存料を一切使用していないのも特徴のひとつ。揚げ物・焼き物はレンジパック、煮炊き物は湯せんパック、冷たい料理は流水パックというように、料理に合わせた解凍方法ができる個食パックを採用しています。高齢者世帯の場合、「材料から買っても余る」「1人前(2人前)を作るのが大変」ということがあります。そうしたことを踏まえてこの商品を企画開発しました。

──宅配の仕事に携わるようになったきっかけは?

堀田 中学3年のときに酒屋でアルバイトをするようになってからです。高校生になってからもずっとそこでアルバイトを続け、そのまま就職。居酒屋店の仕事などもさせてもらいながら9年間修行しました。
 その後、それまでの御用聞きの経験を生かして、宅配専門店を大阪市西淀川区にオープンしました。1988年9月のことです。分譲マンションの建設ラッシュによって人口が増えたことが追い風となり、経営は間もなく軌道に乗りました。
 また、新潟などの地酒や、米どころとして知られる産地の銘柄米(ブランド米)を周囲に先駆けて取り扱っていたことも固定客を増やすうえで効果的でした。当時、日本酒といえばまだまだナショナルブランドが当たり前。本格的な地酒ブームが到来するのはもう少し先でした。お米についても、いろんな産地の米を混ぜ合わせたブレンド米が一般的で、銘柄米をメーンにする私たちは珍しいほうだったのです。
 そんなことから、開業してから4年も経つころには「たった3坪で1億8000万円」を稼ぐ店として業界紙等で取り上げられるようになり、全国の酒販店が見学に訪れるようになりました。それらのお店と結成した共同仕入れグループを母体に、99年に国内で初めての宅配専門店のフランチャイズ本部を設立しました。

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──現在、加盟店はどれくらいあるのでしょうか。

堀田 約150店がFC加盟店になってくれています。
 それらの加盟店が商品を発注する際には、独自の受発注システムを使います。入力された発注データは生産者、集約センター、エリアパートナー(地域の物流を担ってもらう提携先の有力卸会社)に飛び、生産・出荷がなされます。この仕組みがあるからこそ、各加盟店は在庫を持つことなく、1品からでもお客さまの注文を受けることができるのです。

販管データを取り込み“二度打ち”のムダを省く

──最近の経営状況はどうですか。

堀田 ネットスーパーや宅配弁当を手がける会社が増えてきたこともあり、いま宅配サービスの業界には追い風が吹いています。つまり市場が急速に拡大しており、それが当社の好調な業績につながっています。最近では30代、40代の夫婦共働き世帯からの注文も増えています。

──日々の業績管理はどのようにされていますか。

小西大史顧問税理士

小西大史顧問税理士

小西大史顧問税理士 堀田社長は『FX4クラウド』を使って、予算(単年度計画)に対する達成状況などをタイムリーに把握しています。また部門別管理によって、各事業部ごとや各担当者単位で売上高や限界利益の推移などを確認できるようにしており、だいぶ細かい業績管理をされていますね。

──部門別の内訳は?

多賀 まず1段目の階層として、(1)FC事業本部 (2)商品企画本部 (3)直営事業本部 (4)通販事業部の4つの部門を設定しています。そのうえで(1)FC事業本部の場合、2段目の階層に「西日本ブロック」「中部ブロック」「東日本ブロック」をぶら下げ、さらにその下にもっと詳細な「エリア」単位の部門を設定。そして4つ目の階層で、各エリアの「担当者」一人ひとりの業績がわかるようにしています。
 このほか(2)商品企画本部については、その下に「米・酒・飲料」「加工食品」「お惣菜」など、カテゴリーごとに部門を設定。そして(3)直営事業本部では、最終的に西淀川区、此花区、尼崎市(兵庫県)にあるエリアごとの業績がわかるようにしています。ちなみに(4)通販事業部というのはネット通販を担当する部署です。

──『FX4クラウド』の導入を決めた要因は……。

多賀 以前は『FX2』を使っていましたが、部門の「階層管理」の機能と、他社システムとの「データ連携」がしやすいところを評価して導入に踏み切りました。

──実際に使ってみての感想をお聞かせください。

多賀正臣・経理担当

多賀正臣・経理担当

多賀 「仕訳読み込みテンプレート」の機能を活用して、O社の販管システムとデータ連携ができるようになったのが良かったです。以前は、売り上げや請求書等の数字をそれぞれのシステムごとに担当者が“二度打ち”しなければなりませんでした。いまは販管システムのデータを『FX4クラウド』側に簡単に取り込めるようになったおかげで、ずいぶん楽になりました。

堀田 『FX4クラウド』は、ほかのソフトと柔軟に連携できるところがいいですね。お互いにガチガチのソフトだと、困るのは私たちのほう。中小企業はいつも人手不足であることをわかって開発された会計システムという感じがします。

小西税理士 情報セキュリティーが万全なところも『FX4クラウド』の魅力。各種データはTKCのデータセンターできちんとバックアップされているので、天災など万が一のときにも安心です。

顧客との信頼構築で限界利益率アップをねらう

──限界利益率を良くするために取り組んでいることはありますか。

ファミリーネットワークシステムズ

堀田 一言でいうと、「御用聞き」の徹底ですね。じつは御用聞きの営業スタイルは一見非効率のようで、ものすごく効率がよい。1回の対面でカタログのご案内ができるし、注文書の「書き忘れ防止」ができるからです。「もうそろそろお米が切れませんか、来週まで持ちますか?」といった具合にです。過去の購買履歴から残りわずかになっていそうなものを気にかけ、その補充をフォローしてあげることは、昔ながらの御用聞きの神髄ともいえます。
 江戸時代、御用聞きの出入り業者はその家の台所で味噌や醤油の残量を確認して、絶対に切らさないように補充していたといいます。私たちもまさにそうした御用聞きの基本姿勢を大事にしていくことでお客さまとの信頼関係を築きたい。それが結果的に、限界利益率の向上につながると思っています。

──「マネジメントレポート(MR)設計ツール」の活用を検討しているそうですね。

多賀 社長がいつも知りたがっている数字をわかりやすく見られるようにしたスプレッドシート形式の独自帳表を作成している最中です。
 また近いうちに、各営業担当者がスマホ、あるいはタブレットPCで自分の成績(業績)をリアルタイムに見られるようにする計画もあります。部門別管理で担当者ごとの数字を出している当社の場合、MR設計ツールをうまく活用すればそれができるのです。

──今後の事業展開は?

堀田 常温・チルド・冷凍の3温度帯の集約センターを関東に新設する計画を進めています。これによって関東方面の強化を図るとともに、さらに利益の出せる仕組みを構築したいと思っています。

企業情報

ファミリーネットワークシステムズ

ファミリーネットワークシステムズ

代表者
堀田 茂
創業
1989年9月
所在地
大阪府大阪市西淀川区福町3-1-53
TEL
06-6474-6830
売上高
5億5000万円
社員数
31名
URL
http://www.fns-net.jp/

顧問税理士 小西大史
小西大史税理士事務所

所在地
大阪府岸和田市吉井町1-10-24
TEL
072-445-6773
URL
http://www.tkcnf.com/konishikaikei/

『戦略経営者』2013年10月号より転載)