株式会社 Dear Laura 様

株式会社 Dear Laura

統合型会計情報システム(FX4クラウド)ユーザー事例

会計を事業戦略にまで昇華する
化粧品メーカーの知略

ネイルカラーで国内屈指のメーカーが大阪にある。石井康智社長(56)が代表を務めるDear Laura(ディアローラ)だ。“コスパ”の高さを売りにした種類豊富なネイルカラーを販売する戦略で会社を成長軌道に乗せている。そんな同社が業績管理に使っているのがTKCの『FX4クラウド』。その活用法などを聞いた。

廉価かつ多彩な品ぞろえでネイルカラーの販路拡大

──ネイルカラー(マニキュア)の企画・製造を主力にしているとお聞きしました。

石井康智社長

石井康智社長

石井 『pa(ピーエー)』という自社ブランドを展開しています。とにかくカラーバリエーションが豊富なブランドだと広く認知されており、ドラッグストアやバラエティーショップなど、全国2600店舗で取り扱ってもらっています。

──価格帯のポジションは?

石井 1本280円と、百均(100円ショップ)の少し上くらいの位置付けです。リーズナブルな値段のうえに、メード・イン・ジャパンならではの品質の良さがある。そうした“コスパ”の高さが当社のネイルカラーの魅力です。
あとはやはり、豊富なカラーバリエーションを取りそろえているところが特徴で、200色以上のラインアップがあります。ネイルカラーは、その時々のアパレルファッションと連動する部分があり、販売店としてもたくさんのカラーバリエーションを並べておきたい。そうしたニーズをくみ取るかたちで、取扱店の数を増やしてきました。
ただ、ネイルカラーは採算が取りにくい商品といえます。利幅が薄く、多くの化粧品メーカーがどちらかというとお荷物的な位置付けをしています。それをあえて〝生業(なりわい)〟にしているのが、われわれの経営戦略なのです。

──なぜそうした戦略を……。

ネイルカラーのオリジナルブランド『pa』

石井 20年前に創業してからしばらくの間は、メーク化粧品全般をあつかっていました。しかし過当競争が進むなかで、しだいに経営が行き詰まっていきました。このままではまずいというときに決断したのが、ネイルカラーへの「選択と集中」でした。他のメーカーがあまりやりたがらないネイルカラーの分野については、まさしくブルーオーシャンの世界が広がっていたのです。もちろん、製造コストをできるだけ抑えるなどの創意工夫が要求されますが、そこに自分たちの生存価値を見いだして、全国のドラッグストアなどに販路を広げていきました。
ちなみに自社製造をメインにしているのは、生産と販売を一体化させることで粗利益率を高めることができるし、欠品を避けるうえでもその方がいいからです。初期投資のリスクを覚悟して自社工場をつくったからこそ、今日のディアローラの発展があったと思っています。

──ネイル関連商品以外にも、近年は「二重まぶた形成材」でヒットを飛ばしているそうですね。

石井 リキッド、ファイバー、テープなどを用いて簡単に二重まぶたを形成できる商品を『AB(オートマティックビューティ)』のブランド名で出しています。「機能性」が重視されるこれらの目元関連商品は、ファッション志向の高いネイルカラーとは対極的な位置にあり、季節ごとに商品を入れ替えるような必要はなく、採算性がよい。売り上げベースではネイルカラーが6割、目元関連商品が4割といった比率ですが、利益についてはその比率が逆転しています。

──国内のみならず、海外での販売にも積極的だとか。

石井 いまは東南アジアを中心に輸出していますが、今後は目元関連商品で欧米市場にも打って出たいと考えています。現在、ニューヨークを中心に販路開拓を進めているところです。西洋人はもともと二重まぶた。そんな市場で商品が売れるのかと思われるかもしれませんが、十分に商機があると見ています。というのは、二重まぶた形成の商品には、たるんだ目元(眼瞼下垂(がんけんかすい))をリフトアップする効果があるからです。西洋人は、日本人にくらべて若い時期から目元がたるみだすので、ニーズは確実にあるはずです。
 2年前に大阪・岸和田に第2工場を新設したのは、伸びしろが大きいOEM事業に本格参入する目的のほか、その先の海外展開を踏まえて自社の生産能力を今のうちから強化しておきたいという思惑からでもありました。

銀行取引データの自動収集で入力作業を大幅に省力化

──業績管理にはTKCの『FX4クラウド』を使っているといいます。導入の経緯は?

ジェルネイルの製造販売も手掛ける

石井 顧問税理士の福田(重実)先生に勧められたのをきっかけに、3年前に導入しました。

福田 クラウド型のシステムである『FX4クラウド』なら、東京やニューヨークなど、国内外の出張が多い石井社長でも、自社の業績を常にリアルタイムに確認することができます。まさに石井社長にうってつけのシステムだと思いました。

石井 実は今年1月の初出勤の日も、米国に行っていました(笑)。海外出張のときはこまめにメールチェックをして本社に指示を出したりしていますが、それと同じような感覚でリアルタイムに業績を確認できるのはありがたいですね。

忽那さやかさん

忽那さやかさん

──ほかにも『FX4クラウド』導入によって得られた効果・メリットがあればお聞かせください。

忽那さやか・総務経理部次長 私の場合は何と言っても、経理業務の効率化ができたことです。複数台のパソコンでの分散入力が可能なため、もう1人の経理担当者と同時に仕訳データ入力の作業ができるようになりました。
また、TKCのフィンテックサービスである「銀行信販データ受信機能」を活用することで、データを手入力する作業自体を減らすこともできました。インターネットバンキングやクレジットカードの取引データを自動受信して、それを仕訳に展開してくれます。毎月、手入力していた約1200件の仕訳のうち、およそ300件の預金仕訳(通信費や水道光熱費の引き落とし等)の入力が自動化できました。データ入力の効率化が進んだおかげで、残業時間も減りました(笑)。

部門階層別管理で各部署の業績を詳細に把握

──業績管理のポイントは何でしょうか。

岸田喜成常務

岸田喜成常務

岸田喜成・常務取締役 とくに「限界利益」に注目しています。採算が取りにくいネイルカラーを主力製品にしていることもあり、毎月の限界利益の動きを注意深く見ています。

石井 先ほど申し上げた通り、主力製品のネイルカラーは利幅が薄いため、ひとつ判断を間違えると利益が吹っ飛んでしまう。その意味では、私たちのビジネスモデルはきちんと業績管理をすることを前提に成り立っているとも言えます。業績管理の徹底は、私たちにとってまさに経営戦略の一つなのです。

──部門別管理はされていますか。

忽那 部署ごとに部門設定をして、それぞれの業績をタイムリーに把握できるようにしています。部門の内訳は、①営業部(1課、2課)、②企画部、③総務経理部、④管理部、⑤OEM営業部、⑥目元関連商品の製造ライン、⑦ネイル関連商品の製造ライン、⑧雑貨・アッセンブル(ネイルシール等)、⑨物流システム部、⑩国際部です。
ちなみに①については、「部門階層別管理」の機能を利用して、「1課」と「2課」の数字の両方を把握できるようにしています。

福田重実顧問税理士

福田重実顧問税理士

岸田 こうした部門別管理体制を敷くことで、当社の「稼ぎ頭」がどこであるかなどがすぐに分かります。

福田 ディアローラさんでは予算(単年度計画)を常に意識されており、当期決算の着地点を早めに予測して、「あともう少しで目標達成できる」といった具合に、数字を各部門のラストスパートを引き出すための〝発奮材料〟にしています。本当にうまくTKCシステムを活用されています。

──今後の展開は……。

石井 日本は人口減少社会に突入していますが、海外を見渡せばまだまだチャンスは眠っています。人種や性別を問わない新たな切り口で、潜在的なマーケットを掘り起こしていくのが目標です。いまの20代社員に「入社してよかった」と思ってもらえる会社にするためにも、それが必要だと考えています。

企業情報

株式会社 Dear Laura

株式会社 Dear Laura

設立
2000年3月
所在地
大阪府大阪市中央区平野町1-8-7小池ビル9F
売上高
18億円
社員数
66名(正社員)
URL
http://www.dear-laura.com/

顧問税理士 福田重実
税理士法人マークス

所在地
大阪府大阪市住吉区我孫子東3-1-13 アソルティ我孫子ビル6階
TEL
06-6607-6006
URL
http://www.tax-pro.co.jp/

『戦略経営者』2017年3月号より転載)