株式会社ユニテック 様

統合型会計情報システム(FX4クラウド) ユーザー事例

システムの統一と緻密な業績管理で
より強固なグループ体制を構築

東京都足立区を地盤に20年以上にわたり生コンクリートの供給を続けてきたユニテックは、関連企業を複数設立し強固なグループ体制を構築している。税理士法人スガイ会計の須貝好明税理士を交え、森厚社長、森貴容子会長、グループ会社の豊川運輸・真地実社長らに、TKCシステムを中心としたグループ運営の現状について聞いた。

──各分野に特化した複数の会社でグループ体制を形成されているとか。

森厚社長

森厚社長

森厚社長 もともとは1986年に設立した、大型生コン工場を運営する首都圏コンクリートがはじまりです。その後小型生コンに特化した会社をスタートしたのがユニテックで、私は2001年に社長に就任しました。その他に、生コン輸送とセメント輸送を手掛ける豊川運輸、生コンの原材料を販売するカナメコーポレーション、生コンの混和剤を販売するアクスを設立し、各社にその分野に精通する人材を集めてグループ体制を作りました。

──最近一番業績を伸ばしているのがユニテックとお聞きしています。

森社長 地域に根差した生コンの製造販売会社として20年以上の歴史があります。設立当初はなかなか固定客がつかず苦労しましたが、認知度の高まりとともに顧客も増え、最近では値上げも追い風になって利益も増加傾向にあります。業績好調の一番の理由は、戦略的に中堅以下の建設会社にターゲットをしぼり、小型の生産設備を核に事業を展開していることでしょうか。

──小型生コンに特化した理由は?

(上)出荷管理ディスプレーを常時チェック、(下)耐圧試験機で品質検査

(上)出荷管理ディスプレーを常時チェック、
(下)耐圧試験機で品質検査

森社長 生コンを運ぶミキサー車には、10トン車クラスの大型車両や8トン車クラスの中型車両に加え、3トンクラスのいわゆる「立米車」などの種類があります。大型設備ではこうした車両すべてに対応できますが、販売量が多い大手メーカーへの供給を優先しがちです。スケジュールが埋まってしまい、地域の建設会社が必要なタイミングで調達できないといったケースが多くみられました。そうした地域の建設関連企業のニーズにできるだけ対応するために、あえて小型の生産設備にすることを選択したのです。

──固定客を獲得するために努力したことは?

森社長 本社のある地域は住宅密集地で狭い道路が多いのが特徴です。そこで当社では、建設現場までミキサー車が入れるかどうかの現地調査をサービスで行っています。そのほか、依頼された書類は1日でも早く提出するなど、こまごましたことを積み重ねてきた結果が評価されたのだと思います。リーマンショックやコロナ禍などによる業績の落ち込みはありますが、建設業全体の回復とともに当社も大きなダメージを受けることなく成長を実現できています。

──社内のマネジメントで工夫されていることはありますか。

森社長 社内の風通しはいいほうだと思います。というのも、創業社長である先代が6年前に亡くなり、私たち次の世代にグループ運営がゆだねられたのを機に、昔ながらのトップダウン方式ではなく、社員が自主的に考えながら仕事ができるボトムアップ式の組織づくりを目指すようにしているからです。現場の判断を尊重する雰囲気が定着率の良さにつながっているのかもしれません。

会計システム一本化のもとグループ経営会議を毎週開催

──須貝会計事務所と顧問契約を結んだ経緯は?

須貝好明税理士

須貝好明税理士

須貝好明税理士 先代社長とはグループ創業のときからお付き合いさせていただいていたので、関係は45年になります。ユニテックをのぞくグループ各社も当事務所が設立当初から関与させていただき、各社TKCシステムを導入していました。
 ユニテックさんについては設立当初から異なる事務所と契約していましたが、その事務所の先生がお亡くなりになり、グループ各社で顧問税理士と会計システムを一本化したほうがよいのではないかという話になり、18年から関与させていただいています。

──会計システムの一本化で変化はありましたか。

森社長 先代の時代はトップダウン方式でグループの経営判断がなされていましたが、私たちに経営が任されてからは、話し合いによって物事を決めていきたいと思っていました。グループの顧問税理士を須貝会計に一本化し、ユニテックにも『FX4クラウド』を導入したこともあり、各グループ会社による定例会議の開催を提案しました。各社から賛同を得られたので、毎週木曜日に各会社役員が集まる経営会議を行っています。

経塚真史監査課課長代理

経塚真史監査課課長代理

──経営会議ではどんな話を?

森社長 『FX4クラウド』の《変動損益計算書》をベースに各社ごとに売り上げや限界利益率をはじめとしたさまざまなデータを共有し、次の週にどのように生かすか話し合います。経営会議に出席するメンバーは全員『FX4クラウド』利用者でもあり、数字が会社の現状をどのように表しているか把握できているのが強みです。そのほか各社において人事労務で何か問題点はないか、近隣との良好な関係は維持できているかどうか、車両の故障発生の有無などを報告し情報共有をしています。

須貝税理士 『継続MASシステム』による予実管理、記帳適時性証明書、書面添付制度の利用など、TKC全国会のスローガンである「会計で会社を強くする」を地でいっている会社だと思います。グループ内の各企業が業績管理をしっかり行いながら、合議制で的確な経営判断を下していくというのはなかなかできることではありません。

北條聡監査課課長代理

北條聡監査課課長代理

経塚真史監査課課長代理(税理士法人スガイ会計) 社員教育がしっかりとなされているということを強く感じています。『FX4クラウド』の入力も複数の社員の方が毎日正確になされており、分からない点があればその都度すぐにお問い合わせいただけるので、常に業績を正確に把握できるという点がグループの大きな強みになっていると思います。

北條聡監査課課長代理(税理士法人スガイ会計) グループ全体では、毎月の会計事務所による月次巡回監査後に月次決算報告シートを出力し、そのデータに基づいて各社の強み・弱みを把握し、改善すべき点を理解していただいています。その際、即座にグループ間のデータを共有できるのも『FX4クラウド』の強みだと思います。

ガラス張り経営の推進で金融機関からの評価高まる

森貴容子会長

森貴容子会長

──ユニテック単体では『FX4クラウド』をどのように業績管理に生かしていますか。

森社長 取引先別の売り上げと限界利益率のランキングを作成し、可能な限り平準化する努力をしています。売り上げの伸びに対応して限界利益率が伸びていない取引先に対しては、値上げ交渉などで積極的に単価を上げていく努力をします。特定の会社に依存しない状況を作り出しているのが、他社との違いになっています。

──「TKCモニタリング情報サービス」を活用して、取引金融機関すべてに月次試算表を送っているとか。

森社長 はい。とにかくオープンなガラス張りの経営を目指しています。不正の余地がなくなるとともに金融機関からの評価も高まりますからね。資金調達の面でも効果があり、金融機関の方から「お金を借りてください」と頼みにくるようになりました。

真地実 豊川運輸社長

真地実 豊川運輸社長

──グループの今後の目標を。

森貴容子会長 未来都市埼玉県SDGsのパートナー企業としての認定を受けており、地球環境に対する取り組みを打ち出せるような会社にしていきたいですね。まずはグループ全体のCO2排出量の見える化に着手したいと思います。

真地実 豊川運輸社長 若手人材が不足しているのが課題です。社員が気持ちよく働いてもらえる会社になれるよう、社内の環境整備も含めた新たな方針を策定したいと思います。

森社長 やはり業界で一番を目指したいですね。具体的に指標としているのは限界利益率と経常利益率です。その際、「TKC経営指標」(BAST=『戦略経営者』2024年1月号 P70~73参照)は大いに参考になります。

企業情報

工場設備

株式会社ユニテック

業種
生コンクリート製造
創業
2001年11月
所在地
東京都足立区古千谷本町1-5-1
売上高
約15億円
従業員数
約40名
URL
http://yunitech.co.jp

顧問税理士 須貝好明
税理士法人スガイ会計

所在地
東京都足立区西新井本町5-8-12
西新井セントラルハイム404号
URL
https://www.sugaikaikei.com

『戦略経営者』2024年1月号より転載)