制度改正
申告書様式がAI・OCR対応様式に変更へ-申告書の検閲等に影響
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国税庁は、基幹システムの次世代版「KSK2」を導入する2026年(令和8年)に向けて、紙で提出された申告書などをAI‐OCRで読み取り、データ化して処理する仕組みを本格化させています。これに伴い、申告書や申請書の様式が、従来の紙ベースの処理を前提としたものから、AIがより正確に読み取れるレイアウトへと大きく見直されます。
国税庁はすでにドラフト版の様式を順次公開しており、識別番号や二次元コードの追加、記入欄の配置変更など、抜本的な変更ともいえる改定が進んでいます。(https://www.e-tax.nta.go.jp/shiyo/ksk2/ksk2_layout.htm)
1.改定の概要
今回の様式変更は「手書き記入した申告書でも高精度で読み取ること」を重視した設計になっています。記入欄については、従来のように数字を1マスずつ書き込む形式ではなく、決まったマスを設けず、自由に書き込める欄に変わっています。さらにAIが正しく判別できるよう各欄に識別番号を付与するなど、AI‐OCRでの認識精度を高める変更が随所に盛り込まれています。
また、一部の書類では用紙サイズの変更も予定されており、たとえば給与所得の源泉徴収票はA5からA4へと拡大されるとのことです。
これらの変更は、単なる様式の手直しではなく「紙中心からデータ中心へ」という国税庁の取り組みを象徴しています。
3.実務に与える影響
実務の現場では「どの程度の対応が必要になるのか」が関心事ですが、申告書自体はTKCシステムで作成されている以上、意識せずに切り替えることができます。そもそも電子申告であるため、紙で出力し、提出されることはほぼなくなっているため、レイアウト自体意識する必要もないかもしれません。
ただし、影響がまったくないわけではありません。関与先に提供する申告書控えなどの様式が一斉に変わることになるのはもちろんのこと、申告書の欄構成や項番、レイアウトが変わるため、事務所内で独自に行っている「申告書の検閲・レビュー」の流れについては見直しが必要になります。これまで使用してきたチェックリストや確認資料は旧様式を前提としているため、新様式に切り替わるタイミングに合わせて更新しておくことが求められます。特に複数名によるダブルチェックや、ページ順・署名欄の確認手順を運用している事務所では、誤りや見落としを防ぐためにも早めの対応が有効です。
3.対応に向けたスケジュール
国税庁は、こうした様式変更の実施時期を「今年9月頃から順次差し替える」と示しています。様式は現時点ではドラフト版が公開されているのみで、今後さらなる改訂が続く見込みです。
公開スケジュールや確定仕様は、e‐Tax公式サイト内の「ホーム」から「お知らせ」内にある「基幹システム刷新に伴うe‐Tax仕様書等の情報提供について」で確認できます(https://www.e-tax.nta.go.jp/topics/2024/topics_20241031_ksk2_shiyo.htm)。会計事務所としては、これらのページを定期的にチェックし、最新情報を把握しておくことがスムーズな移行につながります。
重要な変更点や確定情報については、国税庁からの情報公開タイミングなどの節目ごとにTKCから改めてご案内いたしますので、過度な負担なく必要な情報を押さえていただけます。
4.国税庁の目指す方向性
今回の様式変更は、国税庁が進める税務行政のデジタル化の一環です。スマートフォンを利用した申告やマイナポータル連携による自動入力機能の拡大など、「書かない確定申告」の普及に向けた取り組みが加速しており、これらは納税者の利便性向上と行政手続きの効率化を同時にねらうものです。「税務行政の将来像2023」では、納税者にとって使いやすい税務サービスの実現と、国税側の事務処理の正確性・迅速化が明確に掲げられており、今回の様式改定はその流れの中に位置付けられています(https://www.nta.go.jp/about/introduction/torikumi/digitaltransformation2023/index.htm)。
5.事前確認用の冊子をお届け
こうした状況を踏まえ、TKC会員事務所向けには、申告書様式の変更内容を分かりやすくまとめた『AI‐OCRR化 申告書等レイアウト変更のご案内』を3月上旬に1会員あたり3冊お届けします。所内でのルール整備やスタッフ研修、新様式への理解促進などに役立つ内容になっていますので、ぜひご活用ください。
TKC会員事務所以外の方向けに『AI-OCR化申告書等レイアウト変更のご案内』を
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令和8年5月31日までの期間限定でご提供します。
制度対応や事務所内運用の見直しを進めるうえで、本冊子をご活用ください。
(TKCシステム開発研究所 小島 圭)
(会報『TKC』令和8年3月号より転載)