独立開業

元銀行員の経験を活かし持てる力全てを関与先に提供します!

立野謙介(TKC九州会福岡支部)
立野謙介会員

立野謙介会員

 平成22年2月に福岡市で新規開業した立野謙介会員は、元銀行員という強みを活かした事務所経営を志向し、TKCオンリーのシステム活用で関与先と共に繁栄したいと語る。

7年半勤めた銀行を辞めて試験勉強

 ──銀行にお勤めだったと伺っています。

 立野 東京にある大学を卒業し、平成6年に福岡シティ銀行(現西日本シティ銀行)に入行しました。銀行に勤めたかったというよりも、地元で働きたかったというのが正直なところです。
 銀行には7年半勤め、窓口業務から融資、営業までなんでもしました。外回りはバイクを使うのですが、冬は福岡にも雪が降るので、滑って転んで怪我したこともありました。

 ──どうして税理士になろうと?

 立野 実家が商売をしているからかもしれませんが、どうもサラリーマンが合いませんでした。それと、ちょうど辞めたいなと思っていた頃、お客さんが顧問税理士と一緒に、融資を全額返済したいと相談に来られました。条件的にはそうしないほうがいい案件でしたが、「顧問税理士がそう言うから」と私の話を全く聞き入れてくれませんでした。それから税理士の仕事を意識するようになりました。
 すでに結婚していて子供も二人いましたが、思い切って銀行を辞めて、無職のまま貯金を切り崩して1年半勉強しました。その間に子供がもう一人生まれましたから、振り返るとゾッとしますね。その後、税理士事務所に勤めながら勉強を続け、平成21年に合格できました。さすがに40になるまでには資格を取れるだろうと考えていましたが、結局ギリギリになってしまいました。すぐに所長先生にお願いして、半年ぐらいで事務所を辞め、10件のお客さんを譲っていただきました。
 開業(平成22年2月)にあたっては、実家の顧問税理士がTKC会員でしたので、その方からお話を伺って、TKCに入会しました。

システム導入は「最初が肝心」を合言葉に

 ──譲り受けた関与先さんには巡回監査をされていましたか。

 立野 していないところも混在していました。しかしTKCに入った以上、基本的には巡回監査を毎月ちゃんと行って、全てTKCシステムに載せ替えたいと思っていました。現時点では、既存のお客さん10件のうち3件がTKCシステムに切り変わっています。

 ──システム移行上、大変なことはありましたか。

 立野 開業当初、TKCシステムに期中で載せ替えようとして、なかなか上手くいきませんでした。それを決算終了後の区切りが付いた時点で移行するようにしてからは、まとまった入力作業などの手間が省け、仕事がスムーズになりました。
 FX2についても、事務所でカスタマイズしてから導入しようと考えていましたが、時間ばかりかかってよい結果がなかなか得られませんでした。むしろ、お客さんに主体的にカスタマイズしてもらったほうがいいと気づいて、最近はそのようにしています。
 実際にFX2が導入されて、しっかり月次で巡回監査ができているお客さんのところは、とても楽ですね。確かに、立ち上げ支援や初期指導では手間暇を要しますが、データの精度も高く維持できます。ですから「何より最初が肝心」を合言葉に、軌道に乗るまで手を抜かないよう皆で注意しています。

 ──関与先さんの反応は?

 立野 新規のお客さんは、最初からTKCシステムですから、ほとんど問題ありません。むしろ説得が必要なのは、既存のお客さんです。FX2の考え方を説明しても「なんで自分のところで入力しないといけないの?」と嫌がられるケースがあります。しかし一方で、経営の判断材料になるような資料をエクセル等で作っているようなお客さんの場合、FX2継続MASの話をするとすごく乗ってきて、「そこまでできるの?」と驚かれます。こうしたお客さんを増やしていければいいですね。
 経営に関する数字はできるだけ早く、正確に出さないと意味ないし、書面添付などにも繋がってきません。これに加えて、「売上をもっと伸ばしたい」という経営者の自然な気持ちを踏まえたサービスを、これからも意識して提供したいと考えています。

っくりでもいいから事務所を大きくしたい

 ──開業から約1年半が経ちますが、手応えはいかがですか。

 立野 関与先が今25件(法人19件・個人6件)ですから、予想以上に増えているなと感じています。特に営業したわけではありませんが、「銀行出身の比較的若い税理士」というイメージが、周知されてきたからだと思います。

 ──事務所のホームページには「既存の税理士事務所にはないサービスをお客様方と考えていきます」とありますが。

 立野 それも銀行出身という経験を活かしたいということです。資金繰りや融資などについて、気軽に相談できるような事務所にできればと思います。税務・会計だけでなく、金融まで含めたサービスで、お客さんとの絆をより深めたいと考えています。

 ──当面の経営上の課題は何でしょう。

 立野 今のところあまり儲かっていないことでしょうか(笑)。でも、真面目にコツコツと仕事をしていけば、地元で認められるようになると思っています。
 それと、ゆっくりでもいいから事務所をできるだけ大きくしたいとも考えています。現在職員は2名ですが、もっと沢山いたほうが楽しいし、やりたいこともできる気がします。7月には、新しく巡回監査担当者が二人加わることになっています。
 これで職員が4人になるので事務所を移転し、営業にも力を入れて、まずは今の倍ぐらいにお客さんを増やしたいと考えています。そして一軒一軒、丁寧にTKCシステムに乗せていくことで、お客さんの発展に一役買えるような存在になりたいと思います。

集合写真

(構成/TKC出版 古市 学)


立野謙介会員
平成6年慶應大卒業後、福岡シティ銀行(現西日本シティ銀行)入行。会計事務所勤務を経て平成22年2月開業。TKC福岡県支部ニューメンバーズ・サービス委員会副委員長。41歳。

立野謙介税理士事務所
 住所:福岡県福岡市中央区天神1-13-26  福岡中央ビル5F
 電話:092-737-3780

(会報『TKC』平成23年8月号より転載)