2014.07.29
親子関係不存在確認請求事件
LEX/DB25446515/最高裁判所第一小法廷 平成26年7月17日 判決 (上告審)/平成24年(受)第1402号
戸籍上上告人の嫡出子とされている被上告人が上告人に対して提起した親子関係不存在の確認の訴えで、原審は、嫡出推定が排除される場合を妻が夫の子を懐胎する可能性がないことが外観上明白な場合に限定することは相当でなく、民法が婚姻関係にある母が出産した子について父子関係を争うことを厳格に制限しようとした趣旨は、家庭内の秘密や平穏を保護するとともに、平穏な家庭で養育を受けるべき子の利益が不当に害されることを防止することにあると解されるから、このような趣旨が損なわれないような特段の事情が認められ、かつ、生物学上の親子関係の不存在が客観的に明らかな場合においては、嫡出推定が排除されるべきであり、上告人と被上告人との間の生物学上の親子関係の不存在は科学的証拠により客観的かつ明白に証明されており、また、上告人と甲は既に離婚して別居し、被上告人が親権者である甲の下で監護されているなどの事情が認められるのであるから、嫡出推定が排除されると解され、本件訴えは適法としたため、上告人が上告した事案において、夫と子との間に生物学上の父子関係が認められないことが科学的証拠により明らかであり、かつ、子が、現時点において夫の下で監護されておらず、妻及び生物学上の父の下で順調に成長しているという事情があっても、子の身分関係の法的安定を保持する必要が当然になくなるものではないから、民法772条による嫡出の推定が及ばなくなるものとはいえず、親子関係不存在確認の訴えをもって当該父子関係の存否を争うことはできないものとして解され、法律上の父子関係が生物学上の父子関係と一致しない場合が生ずることになるが、民法772条及び民法774条から民法778条までの規定はこのような不一致が生ずることをも容認しているものとし、また、甲が被上告人を懐胎した時期に、既に夫婦が事実上の離婚をして夫婦の実態が失われ、又は遠隔地に居住して、夫婦間に性的関係を持つ機会がなかったことが明らかであるなどの事情があったとは認められないとして、本件訴えは不適法なものであるとし、原判決を破棄し、第一審判決を取消し、本件訴えを却下した事例(補足意見及び反対意見あり)。




















