2025.10.14
各地位確認等請求控訴事件(国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター事件)
LEX/DB25623311/東京高等裁判所 令和 7年 3月27日 判決(控訴審)/令和5年(ネ)第1537号
被控訴人(被告)が設置運営する本件病院において看護師又は保育士として勤務する控訴人ら及び原審相原告A6が、被控訴人に対し、特定の病棟に勤務する従業員らに対して支払われてきた特殊業務手当を、年20%ずつ段階的に減額し、令和3年度をもって完全に廃止する旨を定めた部分の就業規則(給与規程)の変更は無効であると主張して、〔1〕別各特殊業務手当の支払をそれぞれ受けるべき労働契約上の地位を有することの確認を求めるとともに、〔2〕特殊業務手当の段階的廃止がなければ支払われたはずの金員及び遅延損害金の支払を求めたところ、原審が、〔1〕の訴えを確認の利益を欠くとしていずれも却下し、〔2〕の請求をいずれも棄却したため、控訴人らが控訴した事案で、本件特殊業務手当の廃止変更によって、控訴人らは、給与の性質を有する特殊業務手当が廃止されるという不利益を被ることになり、これによる不利益の程度は小さいとはいえないところ、本件においては、このような不利益を労働者に受忍させることを許容できるだけの高度の必要性までは認められず、労働組合等との交渉も施行日までに時間的余裕がなかったために十分なものであったとは認め難いというべきであって、本件特殊業務手当の廃止変更は5年間かけて段階的に廃止するという経過措置が設けられていたこと、本件特殊業務手当の廃止変更と同時に、国家公務員給与法の改定率に準じた基本給及び月例年俸の引上げ(0.2%)、地域手当の引上げ(14%から16%に)、夜間看護等手当の増額等が実施されたことなどを踏まえても、それらは代償措置とは言えないことからすると、本件特殊業務手当の廃止変更が、労働契約法10条にいう合理的なものとは認められないものと言わざるを得ず、本件特殊業務手当の廃止変更に基づく賃金に係る労働条件の変更の効力は控訴人らには及ばないから、控訴人らには旧給与規程のとおり、特殊業務手当が支給されるものと認めるのが相当であるとして、原判決のうち〔2〕の請求を棄却した部分を取り消し、請求を一部認容した事例。





















