2022.02.15
業務上過失傷害、業務上過失往来危険被告事件
LEX/DB25591574/福岡高等裁判所宮崎支部 令和 4年 1月27日 判決 (控訴審)/令和2年(う)第11号
被告人は、漁船a丸(総トン数1.5トン)に船長として乗り組み、同船の操船業務に従事していたものであるが、深夜に漁港から出航し、峰ヶ埼灯台から真方位48度,約1370メートル付近海上を、同漁港の沖合に向けて、速力約3.8ノットで航行するに当たり、自船左前方方向の約197メートル先に漁船b丸(総トン数1.1トン)の灯火に気付き、同船が自船方向に接近中であるのを認めたのであるから、自船の灯火を点灯させて航行するはもとより、b丸の動静を十分に注視し、同船の左舷側を通過することができるように針路を右に転ずるなどして同船との衝突を未然に防止すべき業務上の注意義務があるのにこれを怠り、針路を左に転ずれば、同船との衝突を回避できるなどと思い込み、自船の灯火を点灯しないまま、b丸の動静を十分に注視せず、針路を左に転じて前記速力で航行した過失により、b丸が接近して衝突の危険を感じ、自船の舵を更に左に切り、スロットルレバーを操作して加速しようとしたが及ばず、峰ヶ埼灯台から真方位47度,約1340メートル付近海上において、自船右舷船尾部にb丸の船首部を衝突させ、同船船底に破口等の損傷を、自船後部甲板右舷側の外板に亀裂及び破口等の損傷をそれぞれ生じさせ、もって船舶の往来の危険を生じさせるとともに、自船の船員c(当時68歳)に加療約111日間を要する右肩関節周囲炎の傷害を負わせたとして、原判決が、罰金30万円を言い渡したため、被告人が控訴した事案で、被告人について、a丸の針路を左に転じて航行した点、無灯火で航行した点のいずれにおいても、過失を認めることはできず、e証言、実況見分調書等により過失を認めた原判決の判断は、論理則・経験則等に反する不合理なものであって、支持できないとして、原判決を破棄し、被告人に無罪を言い渡した事例。




















