2025.02.25
業務上過失致死被告事件
LEX/DB25621698/仙台高等裁判所 令和 6年12月16日 判決(控訴審)/令和5年(う)第68号
A船に船長として乗り組み、A船の操船業務に従事していた被告人が、猪苗代湖上を北東に向けて時速約15ないし20kmで航行するにあたり、針路前方左右の見張りを厳に行い、その安全を確認しながら航行すべき業務上の注意義務があるのにこれを怠り、針路前方左右の見張りを厳に行わず、その安全確認不十分のまま漫然前記速度で航行した過失により、折から、針路前方で、いずれもザップボードに乗るためにライフジャケットを着用して湖上に浮かんでいたP4(当時8歳)、P5(当時35歳)及びP6(当時8歳)に気付かないまま、P4ら3名に自船後部に設置された推進器の回転中のプロペラを接触させ、よって、P4に傷害を負わせて死亡させるとともに、P5及びP6にそれぞれ傷害を負わせたとして、業務上過失致死傷の罪で起訴され、原審が被告人を禁錮2年に処したところ、被告人が控訴した事案で、被告人が本件時、針路前方左右の見張りを厳に行い、安全を確認しながら航行したとしても、本件事故に至るまでの間に、被害者らを発見することができず、本件事故を回避することができなかった具体的な可能性を否定することはできないといわざるを得ず、被告人に過失を認めることはできないところ、原判決は、視認距離に関する証拠評価について誤りがあり、A船の航路について客観証拠と整合しない認定をした結果、被告人の過失について事実を誤認するに至ったものであり、この点が判決に影響を及ぼすことは明らかであるとして、原判決を破棄し、被告人に無罪を言い渡した事例。




















