2018.12.25
詐欺,覚せい剤取締法違反被告事件
LEX/DB25449862/最高裁判所第二小法廷 平成30年12月14日 判決 (上告審)/平成28年(あ)第1808号
第1審判決は、覚せい剤取締法違反の罪(使用)のほか,詐欺罪の犯罪事実を認定し、被告人を懲役2年6月に処したため、被告人が、第1審判決に対して量刑不当を理由に控訴し、原判決は、詐欺の事実につき、職権で判示し、詐欺の故意は認められないとして第1審判決を破棄し、無罪を言い渡したことにより、検察官が上告した事案で、被告人は、捜査段階から、荷物の中身について現金とは思わなかった、インゴット(金地金)、宝石類、他人名義の預金通帳,他人や架空名義で契約された携帯電話機等の可能性を考えたなどと供述するとともに、荷物の中身が詐欺の被害品である可能性を認識していたという趣旨の供述もしており、第1審及び原審で詐欺の公訴事実を認め、被告人の供述全体をみても、自白供述の信用性を疑わせる事情はない。それ以外に詐欺の可能性があるとの認識が排除されたことをうかがわせる事情も見当たらないとし、被告人は自己の行為が詐欺に当たるかもしれないと認識しながら荷物を受領したと認められ、詐欺の故意に欠けるところはなく、共犯者らとの共謀も認められる。それにもかかわらず、これらを認めた第1審判決に事実誤認があるとしてこれを破棄した原判決は、詐欺の故意を推認させる外形的事実及び被告人の供述の信用性に関する評価を誤り、重大な事実誤認をしたというべきであり、これが判決に影響を及ぼすことは明らかであって,原判決を破棄しなければ著しく正義に反すると認められ、原判決を破棄し、訴訟記録に基づいて検討すると、被告人を懲役2年6月に処した量刑判断を含め、第1審判決を維持し、被告人の控訴を棄却した事例。




















