2018.12.18
不正競争防止法違反被告事件
LEX/DB25449846/最高裁判所第二小法廷 平成30年12月 3日 決定 (上告審)/平成30年(あ)第582号
自動車の開発、製造、売買等を業とするA社(自動車の開発、製造、売買等を業とする会社)の商品企画部の従業員として勤務し、同社のサーバーコンピュータに保存された情報にアクセスするためのID及びパスワードを付与されて、同社が秘密として管理している同社の自動車の商品企画に関する情報等で公然と知られていないものを示されていた被告人が、同社が保有する自動車の商品企画等に関する営業秘密に当たるデータファイルを、不正の利益を得る目的で、あらかじめ同社のサーバーコンピュータにアクセスして、被告人が同社から貸与されていたパーソナルコンピュータに保存していた番号1から8までのデータファイル8件等が含まれたフォルダを、同パーソナルコンピュータから自己所有のハードディスクに転送させて、複製を作成(判示1)し、同パーソナルコンピュータを使用して同社サーバーコンピュータにアクセスして、番号9から12までのデータファイル4件等が含まれたフォルダを同サーバーコンピュータから自己所有のハードディスクに転送させて、複製を作成(判示2)し、その営業秘密の管理に係る任務に背き、それぞれ営業秘密を領得した不正競争防止法違反事件で、1審判決は、被告人に対し、判示1につき懲役1年(執行猶予3年)、判示2につき無罪を言い渡したため、双方が控訴し、控訴審判決は、1審判決を維持し、双方の控訴を棄却した。このため、被告人が上告した事案において、被告人は、当該複製が被告人自身又は転職先その他の勤務先以外の第三者のために退職後に利用することを目的としたものであったことは合理的に推認できるとし、被告人には不正競争防止法21条1項3号にいう「不正の利益を得る目的」があったとして、同旨の第1審判決を是認した原判断は正当であるとして、本件上告を棄却した事例。





















