2018.03.13
伊方原発3号機運転差止仮処分命令申立(第1事件、第2事件)却下決定に対する即時抗告事件
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LEX/DB25449168/広島高等裁判所 平成29年12月13日 決定 (抗告審(即時抗告))/平成29年(ラ)第63号
抗告人(債権者。伊方発電所3号機の周辺に居住する住民)らが、相手方(債務者。電力供給を行う一般電気事業者)が設置運転している発電用原子炉施設である伊方発電所3号炉及びその附属施設は、地震、火山の噴火、津波等に対する安全性が十分でないために、これらに起因する過酷事故を生じる可能性が高く、そのような事故が起これば外部に大量の放射性物質が放出されて抗告人らの生命、身体、精神及び生活の平穏等に重大かつ深刻な被害が発生するおそれがあるとして、相手方に対し、人格権に基づく妨害予防請求権に基づき、本件原子炉の運転の差止めを命じる仮処分を申し立て、原審は、本件原子炉施設から放射性物質が外部に放出される事故が発生し、抗告人らの生命、身体に危険が生じるおそれがあるとは認められないとして、抗告人らの本件仮処分命令の申立てをいずれも却下したため、抗告人らが即時抗告した事案において、火山事象の影響による危険性の評価については、本件原子炉施設が新規制基準に適合するとした原子力規制委員会の判断は不合理であり、相手方で、本件原子炉施設の運転等によって放射性物質が周辺環境に放出され、その放射線被曝により抗告人らがその生命、身体に直接的かつ重大な被害を受ける具体的危険が存在しないことについて、主張、疎明を尽くしたとは認められないとし、抗告人らの申立ては、火山事象の影響による危険性の評価について、被保全権利の疎明がなされたというべきであるとして、原決定を変更し、相手方は、平成30年9月30日まで、伊方発電所3号機の原子炉を運転してはならないとした事例。