事務所経営

「TKC方式の書面添付」を標準業務として定着させ、税理士の未来を切り拓こう!

TKC全国会書面添付推進委員会委員長 濱田秀文

書面添付割合(法人税)が二桁のシェア10%を突破

 財務省公表の令和4事務年度「国税庁実績評価書」によると、国内の税務代理による法人税申告件数のうち書面添付割合は10・0%を突破しました。一般的な市場認知シェアとされる「10・9%」に向け、二桁のシェアを突破したことは素晴らしい成果です。TKC全国会運動方針の一つ「租税正義の守護者となる──『TKC方式の書面添付』の推進」が、着実に前進している証左といえます。

3つの委員会企画研修会で実践事務所拡大に貢献

 昨年、書面添付推進委員会企画の3つの研修会を各地域会で開催し、成果が大きいと感じています。各研修会の主な感想や成果は次の通りです。

①はじめての書面添付研修

 ニューメンバーズ・サービス委員会と連携し、ニューメンバーズ会員を動員・フォローすることで、参加した書面添付未実践の会員が決意し、はじめての実践につながる事例が出始めています。なお、当研修を受講した書面添付未実践180事務所のうち、令和5年12月末時点で58事務所が法人税書面添付を実践しました。

②書面添付推進座談会

 少人数の開催であるため具体的な実践事例などを意見交換でき、参加会員が書面添付実践の取り組みに前向きとなりました。
 また、支部例会や他委員会との連携により対象事務所の動員に成功した事例、官界出身の会員から国税側の話が聞けて大変好評だった事例もありました。

③書面添付プレミアムセミナー

 講師からTKC理念の重要性をお話しいただき、書面添付の重要性を再確認できた事例や、国税局から当局側が求めている書面添付の記載内容、金融機関から書面添付に対する期待を発表いただいた地域会もあり、更なる実践を決意することにつながっています。
 研修会の成果として、特に令和5年12月末の書面添付実践事務所数は、新規実践294、純増149事務所となり、令和4年12月末の新規実践257、純増79事務所より着実に増加しており、手ごたえを感じています。 TKC全国会運動方針の最終年度となる本年も、3つの研修会を継続開催します。委員会では各地域会・支部の研修開催事例を共有することで、より有意義な研修開催を支援します。
 また、令和4年税理士法改正を受けて、令和6年4月1日以降提出する同法第33条の2第1項に規定する添付書面の名称と様式が改正されます。当委員会では新様式への対応に向けて、「添付書面文例データベース」への「5総合所見」「6その他」の文例掲載、『書面添付制度総合マニュアル』の改訂、推進ツール等の改訂を準備しています。
 令和6年の法人税書面添付目標は累計15万7千件です。今後も積極的に「TKC方式の書面添付」を実践し、社会の納得を得るとともに、輝かしい税理士の未来を切り拓きましょう!

「令和5年事務所別書面添付実践状況報告」は、後日別冊として発行する予定です。

TKC会員事務所の書面添付実践状況の推移

 TKC会員は、「TKC方式の書面添付」を推進しています。「TKC方式の書面添付」(法人税・所得税)とは、TKC財務会計システムを利用し、巡回監査を前提として、「税理士法第33条の2第1項に規定する添付書面」を作成し、TKC決算申告システムとTKC電子申告システムを利用していること──をいいます。

TKC会員事務所の書面添付実践状況の推移

(会報『TKC』令和6年3月号より転載)