特集
「第六世代税理士用電子証明書」を利用いただくためのご注意
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1.はじめに
第五世代税理士用電子証明書(紫色の税理士ICカード)(以下、第五世代)の有効期限が令和8年3月末に到来することから、令和7年8月から「第六世代税理士用電子証明書」(以下、第六世代)の発行申込が開始されます。第六世代の電子署名の仕組みは、第五世代と異なります。そのため、第六世代の発行申込や実際の利用時には次の注意点があります。
(1) 発行申込のご注意
- ①マイナンバーカードと有効な署名用電子証明書の準備が必要
- ②税理士認証カードを受領後、第六世代の発行申込が必要
(2) 利用上のご注意
- ①「第六世代税理士用電子証明書 管理ツール」登録後、第五世代で地方税電子署名する際、不要なメッセージが表示される
- ②第六世代の電子署名には、インターネットに接続しているパソコンが必要
- ③第六世代の電子署名には、第五世代に比べて、国税・地方税共に時間がかかる
本稿では、第六世代の概要と利用開始までの流れ、発行申込や利用上の注意点の詳細と対応方法についてご案内します。
2.第六世代の概要
(1) 第六世代は、リモート署名方式と税理士認証カードを組み合わせた新しい形式の電子証明書です。具体的には、電子証明書がリモート署名サーバー(クラウド上)に保管され、新たに発行される「税理士認証カード」で認証して電子署名します。そのため、第六世代で電子署名する際の操作は、第五世代と変わりませんが、インターネットに接続しているパソコンで電子署名する必要があります。
(2) 第六世代による電子署名に必要な税理士認証カードは、税理士一人1枚の発行とされています。そのため、税理士認証カードを破損・紛失した場合、再発行を受けるまでの間は、税理士認証カードに代えて、マイナンバーカード(利用者証明用電子証明書)で認証して電子署名することとされています。
3.利用開始までの流れ
(1) マイナンバーカード及び署名用電子証明書の用意
前述のとおり、税理士認証カードを破損・紛失した場合は、マイナンバーカードで認証して電子署名します。また、マイナンバーカードで認証して電子署名できるようにする(利用登録)には、署名用電子証明書が必要です。
加えて、万が一リモート署名サーバーに接続できない場合でも、署名用電子証明書を使用して電子署名できます。
ついては、現在マイナンバーカードをお持ちでない場合は、これを機に取得をご検討ください。また、既にマイナンバーカードをお持ちの場合でも、署名用電子証明書が格納されているか及び有効期限が到来していないかをご確認ください。
(2) 税理士認証カードの受領と第六世代の発行申込
- ①税理士認証カードの受領
- 税理士認証カードは、全ての税理士会会員に対して、令和7年8月以降、税理士会ごとに、税理士名簿に基づく事務所所在地に一般書留郵便で発送されます(前頁図表1)。
- ②第六世代の発行申込(前頁図表2)
- 第五世代と異なり、第六世代の電子証明書は、税理士認証カードに格納されていません。そのため、税理士認証カードを受領後、日本税理士会連合会からの案内に従って、必ず、第六世代の発行申込を行ってください。
(3) 国税e‐Tax/地方税eLTAXへの第六世代の登録(更新)
第六世代を取得後、OMSで、国税e‐Tax(国税受付システム)/地方税eLTAX(地方税ポータルシステム)へ、第六世代を登録(更新)します。


4.利用上のご注意
システム開発研究所において、次の問題を確認しています(令和7年6月30日現在)。
(1) 第五世代で地方税電子署名する際、不要なメッセージが表示される場合がある
① 地方税eLTAX仕様が原因で、第六世代の発行申込等に使用する「第六世代税理士用電子証明書 管理ツール」(以下、管理ツール)を登録したパソコンで、第五世代で地方税電子署名する際、不要なメッセージが表示されます(図表3)。
具体的には、管理ツールをパソコンに登録して第六世代の発行申込等を行い、審査完了までの間に第五世代を使用する場合に、上記のメッセージが表示されます(例えば、8月中旬に管理ツールを登録し、第六世代の発行申込した後、8月末の地方税電子申告の際に第五世代を使用して電子署名する場合に上記のメッセージが表示されます)。
② 上記メッセージが表示された場合は、[キャンセル]ボタンをクリックすることで、第五世代の電子署名が開始されます。暗証番号を求められた場合は、第五世代の暗証番号を入力してください。なお、当該現象は、第六世代で電子署名する場合は発生しません。
③ OMS、e‐TAX1000/2000、e‐DMSでは、管理ツールを登録したパソコンで第五世代を使用して地方税のデータに電子署名する場合、上記メッセージが表示されることを事前にお知らせします。

(2) 第五世代と比較し、第六世代の電子署名に時間がかかる(第五世代の約1.4倍)
システム開発研究所で調査した結果、第六世代の電子署名にかかる時間が、第五世代の「約1.4倍」になることがわかりました。これは国税・地方税の電子署名の両方に当てはまります。
なお、日本税理士会連合会によると、原因は、通信による影響(リモート署名方式にしたことによる通信の影響)、とのことです。
また、1月末など、国税・地方税の電子申告が集中する時期には、第六世代のリモート署名サーバーへのアクセス集中が予想されます。ついては、早期の電子署名・電子申告完了をご検討ください。
第六世代の発行申込や実際の利用時には、本稿でご案内した注意点をご確認の上、ご利用ください。
(TKCシステム開発研究所 木村 満)
(会報『TKC』令和7年8月号より転載)