2017.05.09
殺人,器物損壊被告事件
LEX/DB25448634/最高裁判所第二小法廷 平成29年 4月26日 決定 (上告審)/平成28年(あ)第307号
被告人は、知人A(当時40歳)から、不在中の自宅(マンション6階)の玄関扉を消火器で何度もたたかれ、夜中、十数回にわたり電話で怒鳴られたり、仲間と共に攻撃を加えると言われたりするなど、身に覚えのない因縁を付けられ、立腹していたところ、Aから、マンションの前に電話で呼び出され、自宅にあった包丁(刃体の長さ約13.8cm)を持参し、Aに包丁を示すなどの威嚇的行動を取ることなく、歩いてAに近づき、ハンマーで殴りかかって来たAの攻撃を、腕を出し腰を引くなどして防ぎながら、包丁を取り出し、Aの左側胸部を強く突き刺して殺害した事案の上告審において、被告人の行為は、刑法36条の趣旨に照らし許容されるものとは認められず、侵害の急迫性の要件を充たさないものというべきであるとし、本件につき正当防衛及び過剰防衛の成立を否定した第1審判決を是認した原判断は正当であるとして、本件上告を棄却した事例。