2016.08.16
強制わいせつ物陳列、わいせつ電磁的記録等送信頒布、わいせつ電磁的記録媒体頒布被告事件
(ろくでなし子被告に罰金)
★「新・判例解説Watch」H28.9上旬頃 解説記事の掲載を予定しています★
(ろくでなし子被告に罰金)
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LEX/DB25543071/東京地方裁判所 平成28年 5月 9日 判決 (第一審)/平成26年(刑わ)第3268号
漫画家兼芸術家である被告人が、アダルトショップにおいて、被告人ほか2名の女性器を象った石膏ようのもの3点を展示したほか、自己の女性器の三次元形状データファイルが保存されたURL情報等を送信し、同データファイルが記録されたCD-Rを発送したとして、わいせつ物陳列やわいせつ電磁的記録等送信頒布などの罪に問われた事案において、「本件各造形物が、女性器であるとの印象を殊更強く与えるものでなく、それぞれの性的刺激も限定的であることに加えて、本件各造形物に表象された一定の芸術性や思想性による性的刺激の緩和も認められることからすれば、本件各造形物は、主として表現の受領者の好色的興味に訴えるものとは認められないから、刑法175条にいうわいせつ物には該当しない」として、わいせつ物陳列罪については無罪とする一方、「本件各データは、いずれも、女性器の形状を立体的かつ忠実に再現したものであり、それらの形状やその表象方法、データ全体に占める性的部位の割合に照らせば、それぞれの性的刺激の程度が強い上、表現された思想とその表象との関連性を一見して読み取ることは困難であって、芸術性・思想性等による性的刺激の緩和の程度もさほど大きく評価できないことからすれば、本件各データは、主として受け手の好色的興味に訴えるものになっているといわざるを得ないから、刑法175条にいうわいせつな電磁的記録に該当する」として、わいせつ電磁的記録等送信頒布などの罪については有罪とし、罰金40万円を言い渡した事例。