2024.10.01
名誉毀損被告事件
LEX/DB25620363/大阪高等裁判所 令和 6年 6月20日 判決 (控訴審)/令和5年(う)第853号
被告人が、A(当時38歳)の名誉を毀損しようと考え、自己のスマートフォンを使用し、インターネットを通じて、b協同組合c会ホームページに記載された令和5年度新卒職員採用案内の問合せメールアドレス宛てに、被告人がd協同組合に勤務していた当時、あたかもAが、その容姿が他の職員より醜悪で、通常の営業活動により顧客との契約を成立させる能力がなく、被告人から容姿を中傷されているにもかかわらず、被告人に対する一方的な恋愛感情を有しているかのような事実を記載した電子メールを送信し、その頃、前記メールアドレスを使用する同会の職員らが閲覧可能な状態にし、もって公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損したとして、名誉毀損の罪で懲役2年6か月を求刑され、原審が、被告人の行為は「公然性」の要件を満たすなどとして、名誉毀損の事実を認定し、被告人を懲役1年6か月に処したところ、被告人が控訴した事案で、f会に対する照会や同会等の関係者の供述を得ることで比較的容易に判明する事実関係といえ、その内容により、公然性(伝ぱの可能性)及びこの点に関する被告人の故意の有無の判断が左右されるものと考えられるが、記録上は、本件メールの受信状況等に関する捜査報告書、f会のホームページ画面を写した写真撮影報告書及び問合せメールの報告システムに関する電話聴取書の各証拠の取調べにとどまっており(Aの証人尋問も実施されたが、被害状況に関する供述が主であり、本件メールの内容を知った経緯は簡単に触れられた程度に過ぎない)、原判決は、この点等を検討することなく、そのための証拠も十分ではない審理内容であったのに、本件メールの伝ぱの可能性を認めたのであり、その判断は論理則・経験則等に照らしても不合理であって、論旨は理由があるとして、原判決を破棄し、本件を地方裁判所に差し戻した事例。




















