2022.05.24
窃盗(原審認定罪名・占有離脱物横領)被告事件
★「新・判例解説Watch」刑法分野 令和4年7月下旬頃解説記事の掲載を予定しております★
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LEX/DB25592203/大阪高等裁判所 令和 3年12月10日 判決 (控訴審)
被告人は、令和2年12月2日午後1時33分頃、大阪市内のパチンコ店の男子トイレにおいて、被害者保有の現金27円及び小銭入れ等33点在中のクラッチバッグ1個(時価合計約5万5977円相当)を発見し、これを占有を離れた他人の物との認識の下に、自己の用に供する目的で同所から持ち去り、占有を離れた他人の者を横領したとして窃盗により起訴されたが、原審公判で、被告人・原審弁護人は、公訴事実記載の外形的事実、すなわち被告人が前記日時場所で置き忘れられていた本件クラッチバッグを持ち去ったことは認めつつ、被告人は本件クラッチバッグを置き忘れた被害者がいまだ現実に管理支配していた状況の認識を欠いていたもので、占有離脱物横領罪の範囲でしか故意は認められないとして、窃盗罪の故意を争い、原判決は、主観的には占有離脱物横領の故意で客観的には窃盗の罪を犯したものと認め、両罪が実質的に符合する限度で軽い罪である占有離脱物横領罪が成立する旨判断し、懲役8月に処したたため、被告人が控訴した事案で、原判決は、理由不備、訴訟手続の法令違反、法令適用の誤り及び量刑不当の誤りはないとし、本件控訴を棄却した事例。