2024.09.17
        
        保護責任者遺棄被告事件 
LEX/DB25620818/東京高等裁判所 令和 6年 8月20日 判決 (第一審)/令和4年(刑わ)第1727号
被告人は、b、分離前の相被告人c(本件後に婚姻し「d」姓となり、令和5年4月9日に死亡)及び同eとともに、令和3年6月10日から東京都豊島区内の本件ホテルの一室にg(当時38歳)と宿泊滞在し、同室において同人らとともに複数種類の薬剤を摂取し、その効果を味わうなどしていたものであるが、前記gが薬剤を過剰に摂取して同月11日午前8時過ぎ頃には身体をゆするなどしても全く反応しない昏睡状態に陥っているのを認めたのであるから、直ちに救急車の派遣を求めて医師による専門的診察・治療を受けさせ、同人の生命、身体の安全のために必要な保護をなすべき責任があったにもかかわらず、b、c及びeと共謀の上、その頃から同日午後4時14分頃までの間、同所において、救急車の派遣を求めることなく同人を放置し、もって同人の生存に必要な保護をしなかったとして、保護責任者遺棄の罪で、懲役2年を求刑された事案で、gが、6月11日午前8時過ぎ頃から同日午前9時24分頃までの間に要保護状態に陥っていたと認めるには合理的な疑いが残り、また、同日午前8時過ぎ頃より後の同日午前9時24分頃までの間については、被告人がgの状態を見て把握していたことにも疑問が残るとして、本件公訴事実については犯罪の証明がないとし、被告人に対し、無罪を言い渡した事例。
        
 
    



























