2016.07.19
遺族補償給付等不支給処分取消請求事件(歓送迎会後に残業へ 帰社途中に事故で労災認定)
LEX/DB25448049/最高裁判所第二小法廷 平成28年 7月 8日 判決 (上告審)/平成26年(行ヒ)第494号
A社に勤務していた労働者であるBが交通事故により死亡したことに関し、上告人(亡Bの妻)が、労働者災害補償保険法に基づく遺族補償給付及び葬祭料の支給を請求したところ、行橋労働基準監督署長から、Bの死亡は業務上の事由によるものに当たらないとして、これらを支給しない旨の決定を受けたため、その取消しを求め、原審は、本件歓送迎会が、中国人研修生との親睦を深めることを目的とし、A社の従業員有志によって開催された私的な会合であり、Bがこれに中途から参加したことや歓送迎会に付随する送迎のためにBが任意に行った運転行為が事業主であるA社の支配下にある状態でされたものとは認められないとして、本件事故によるBの死亡は、業務上の事由によるものとはいえないと判断したため、上告人が上告した事案において、本件事故によるBの死亡は、労働者災害補償保険法1条、労働者災害補償保険法12条の8第2項、労働基準法79条、労働基準法80条所定の業務上の事由による災害に当たるというべきであるとし、原審の判断には法令の違反があるとして原判決を破棄し、遺族補償給付及び葬祭料の不支給決定は違法であり、その取消しを求めた上告人の請求は認容されるべきものであるとし、これを棄却した第1審判決を取消し、遺族補償給付及び葬祭料を支給しない旨の決定を取り消した事例。