2016.05.10
損害賠償請求事件(勾留中「鼻から栄養剤」で負傷、男性逆転敗訴)
LEX/DB25447917/最高裁判所第一小法廷 平成28年 4月21日 判決 (上告審)/平成26年(受)第755号
被告(被控訴人・上告人。国)が、原告(控訴人・被上告人)に対し、原告の当時の身体状態に照らして不必要であった鼻腔経管栄養補給処置を実施したことが、拘置所に収容された被勾留者に対する診療行為における安全配慮義務に違反し、債務不履行を構成するなどと主張して、損害賠償を求め、第1審は、原告の請求を棄却したため、原告が控訴し、控訴審は、第1審判決を変更し、原告の請求を一部認容したため、被告が上告した事案において、国は、拘置所に収容された被勾留者に対して、その不履行が損害賠償責任を生じさせることとなる信義則上の安全配慮義務を負わないというべきであるとし、これと異なる原審の判断は、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとして、原判決中被告敗訴部分を破棄し、これを棄却した第1審判決は是認することができるから、上記部分に関する原告の控訴を棄却した事例。