2016.01.19
業務上過失往来危険、業務上過失致死傷被告事件(漁船転覆死亡事故 貨物船航海士 無罪)
LEX/DB25541340/和歌山地方裁判所 平成27年 3月18日 判決 (第一審)/平成26年(わ)第144号
和歌山県由良町沖で、貨物船「神力丸」と2隻引き漁船「広漁丸」が衝突し、乗組員(漁師)2人が死亡した事故で、貨物船の2等航海士の被告人が、業務上過失往来危険と業務上過失致死傷の両罪に問われた事案において、両船がそのまま進めば無難に航過できる態勢の中で一方の船が変針・変速等によって衝突の危険を惹起した場合にはその船が避航義務を負うと解するのが相当であり(新たな衝突の危険の法理)、これを衝突回避の措置をとる余裕のない場合に限定して適用すべき理由はないとし、本件に海上衝突予防法13条を適用すると貨物船が追越し船として避航義務を負うことになるものではあるが、左転後は漁船において避航措置を講ずる義務があり、本件において同条は適用されないというべきである(貨物船が海上衝突予防法13条の避航義務を負っていたと認めることはできない)として、被告人に対し無罪の言渡しをした事例。