2015.08.18
現住建造物等放火被告事件(寄居の住宅放火事件)
LEX/DB25540586/さいたま地方裁判所 平成27年 6月15日 判決 (第一審)/平成26年(わ)第1208号
被告人が、ストレスを発散するため、2名が現にいる居宅(木造トタン葺平屋建、床面積約115.03平方メートル)に隣接した作業場建物の軒下に積み上げられていた段ボールにライターで着火して火を放ち、同作業場建物を介して前記居宅を全焼させて焼損した事案において、火災が発見されにくい夜明け前に、人が居住する民家の敷地内に大量に積み上げられて、燃え広がりやすい段ボールに放火したという犯行態様の危険性は高く、これにより居宅が焼け落ち、そこに居住していた2名が逃げ切れず一酸化炭素中毒により死亡したものであり、その危険性を正に現実化させているとし、被告人の犯行が、不特定又は多数の人の生命、身体、財産に脅威を及ぼした程度は極めて高いといえ、ストレスを発散するために火を放つという動機に酌量の余地は全くなく、被告人が居宅を燃焼させる積極的な意図を有していなかったことを考慮しても、本件は、同様の動機による現住建造物等放火の事案の中で特に重い部類に位置付けられるとして、懲役13年を言い渡した事例(裁判員裁判)。