2015.07.28
所得税更正処分取消等,所得税通知処分取消請求事件
LEX/DB25447357/最高裁判所第二小法廷 平成27年 7月17日 判決 (上告審)/平成25年(行ヒ)第166号
米国デラウェア州の法律に基づいて設立されたリミテッド・パートナーシップ(LPS)が行う米国所在の中古集合住宅の賃貸事業に係る投資事業に出資した亡A、亡B及び被上告人X1ら(原告・被控訴人)が、当該賃貸事業により生じた所得が同人らの不動産所得(所得税法26条1項)に該当するとして、その所得の金額の計算上生じた損失の金額を同人らの他の所得の金額から控除して所得税の申告又は更正の請求をしたところ、所轄税務署長から、当該賃貸事業により生じた所得は同人らの不動産所得に該当せず、上記のような損益通算(所得税法69条1項)をすることはできないとして,それぞれ所得税の更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分又は更正をすべき理由がない旨の通知処分を受けたことから、被上告人らが上告人(被告・控訴人。国)を相手に上記各処分の取消しを求めたところ、控訴審は、本件各LPSが我が国の租税法上の法人には該当せず、我が国の租税法上の人格のない社団等にも該当しないとした上で、本件各LPSが行う本件各不動産賃貸事業により生じた所得は当該賃貸事業に係る投資事業に出資したAら及び被上告人X1の不動産所得に該当するものであるから、本件各建物の減価償却費等を必要経費として不動産所得の金額を計算し、その不動産所得の金額の計算上生じた損失の金額があるときは損益通算をした上で総所得金額及び納付すべき税額を算定すべきところ、損益通算をすることはできないとしてされた本件各処分は違法であるとして、これらを取り消すべきものとしたため、上告人が上告した事案において、本件出資者らは、本件各不動産賃貸事業による所得の金額の計算上生じた損失の金額を各自の所得の金額から控除することはできないとし、これと異なる原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令違反があり、原判決中、上告人敗訴部分を破棄し、被上告人らの請求のうち、本件各更正処分及び本件各通知処分の取消請求は理由がないから、第1審判決のうちこれらの請求を認容した部分をいずれも取消し、これらの請求をいずれも棄却すべきであるとし、また、被上告人らの請求のうち、本件各賦課決定処分の取消請求については、本件が例外的に過少申告加算税の課されない場合として国税通則法65条4項に定める「正当な理由があると認められる」場合に当たるか否かが問題となるところ、この関係の諸事情につき更に審理を尽くさせるため、上記破棄部分のうち上記請求に係る部分につき、本件を原審に差し戻した事例。