2014.08.05
不当利得返還請求事件
LEX/DB25446524/最高裁判所第一小法廷 平成26年7月24日 判決 (上告審)/平成24年(受)第2832号
被上告人が、貸金業者であるA株式会社及び同社を吸収合併した上告人との間で、指定された回数に応じて元本及び利息の合計支払額が毎月同額となるよう分割して返済する方式によって返済する旨の約定で金銭消費貸借契約を締結したところ、各弁済金のうち利息制限法1条1項(平成18年法律第115号による改正前のもの)所定の制限を超えて利息として支払われた部分を元本に充当すると過払金が発生しているなどと主張して、上告人に対し、不当利得返還請求権に基づき、過払金の返還を求めたところ、原審は、被上告人の請求を一部認容すべきものとしたため、上告人が上告した事案において、元利均等分割返済方式によって返済する旨の約定で金銭消費貸借契約が締結された場合において、借主から約定分割返済額を超過する額の支払がされたときには、当該超過額を将来発生する債務に充当する旨の当事者間の合意があるなど特段の事情のない限り、当該超過額は、その支払時点での残債務に充当され、将来発生する債務に充当されることはないと解するのが相当であるとし、また、借主から利息制限法1条1項の制限を超えて利息として支払われた部分は,当然にその支払時点での残債務に充当されるとするが、原審は、上記特段の事情の有無について審理判断しないまま、被上告人の支払のうち約定分割返済額を超過する部分や利息制限法1条1項の制限を超えて利息として支払われた部分について、将来発生する債務、すなわち本件各期日における元本だけでなく利息にも充当される旨判断したもので、この原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな違法があるとし、原判決中上告人敗訴部分は破棄を免れないとして、更に審理を尽くさせるため、本件を原審に差し戻しを命じた事例。