2014.04.08
詐欺被告事件
LEX/DB25446329/最高裁判所第二小法廷 平成26年3月28日 判決 (上告審)/平成25年(あ)第3号
暴力団員である被告人が、所属する暴力団組織の幹部構成員と共謀の上、宮崎市内にあるゴルフ施設の従業員に対し、暴力団員という両名の属性を偽り、両名において同施設の利用という財産上の利益の提供を受け、被告人両名が共謀の上、同市内にある別のゴルフ施設の従業員に対し、暴力団員という被告人の属性を偽り、同被告人において同施設の利用という財産上の利益の提供を受けた、いわゆる2項詐欺の各事件で、第一審判決は、暴力団員であることを秘してした施設利用申込み行為自体が、挙動による欺罔行為として、申込者が暴力団関係者でないとの積極的な意思表示を伴うものと評価でき、各ゴルフ場の利便提供の許否判断の基礎となる重要な事項を偽るものであって、詐欺罪にいう人を欺く行為に当たるとし、各公訴事実と同旨の犯罪事実を認定して、被告人を懲役1年6月、執行猶予3年に処し、被告人からの控訴に対し、原判決も、第一審判決の認定を是認し、控訴を棄却したため、被告人が上告した事案において、被告人及びDによる本件各ゴルフ場の各施設利用申込み行為が挙動による欺罔行為に当たるとして詐欺罪の成立を認めた第一審判決及びこれを是認した原判決には、判決に影響を及ぼすべき重大な事実の誤認があり、これを破棄しなければ著しく正義に反すると認められるとし、既に第一審及び原審において検察官による立証は尽くされているので、当審において自判するのが相当であるところ、本件各公訴事実については犯罪の証明が十分でないとして、被告人に対し無罪の言渡しをした事例(反対意見あり)。