2021.10.12
覚醒剤取締法違反、関税法違反被告事件
LEX/DB25590627/東京高等裁判所 令和 3年 4月26日 判決 (控訴審)/令和2年(う)第1267号
被告人(オランダ国籍)が、氏名不詳者らと共謀の上、営利の目的で、みだりに、スペインのアドルフォ・スアレス・マドリード・バラハス空港において、覚醒剤約997.6gを隠し入れたスーツケース1個を同空港作業員に機内預託手荷物としてドイツのフランクフルト国際空港行きの航空機に積み込ませて同航空機に搭乗し、同空港において、本件スーツケースを同空港作業員に東京国際空港行きの航空機に積み替えさせて同航空機に搭乗し、東京国際空港に到着した同航空機から本件スーツケースを同空港作業員に同航空機の外に搬出させて日本国内に持ち込み、覚醒剤を本邦に輸入するとともに、同空港内の東京税関羽田税関支署旅具検査場において、同支署税関職員の検査を受けた際、覚醒剤を本件スーツケース内に隠し持ったまま、その事実を申告せずに同検査を受け、同検査場を通過しようとし、もって関税法上の輸入してはならない貨物である覚醒剤を輸入しようとしたが、同税関職員に発見されたため、その目的を遂げなかったとして起訴され、原判決は、懲役7年及び罰金300万円に処したため、これに不服の被告人が控訴した事案で、検察官が、答弁書において種々指摘をする内容を踏まえて、改めて検討してみても、被告人に覚醒剤輸入(関税法違反を含む。)の故意があったと認めるには合理的な疑いが残るのに、これがあったと認めて罪となるべき事実を認定した原判決には、判決に影響を及ぼすことが明らかな事実誤認があるとして、原判決を破棄し、被告人に対して無罪を言い渡した事例。