2021.12.07
危険運転致死傷被告事件
LEX/DB25591081/長野地方裁判所 令和 3年 9月 9日 判決 (第一審)/令和1年(わ)第175号
被告人は、昼間、普通乗用自動車(セレナ)を運転し、最高速度が法定により60km毎時と定められている左方に湾曲する下り勾配の道路(本件カーブ)を、少なくとも時速104km以上の速度で自車を走行させて本件カーブに進入し、その進行を制御することが困難な高速度で自車を走行させたことにより、自車を本件カーブの湾曲に応じて進行させることができずに自車線から対向車線に逸走させて進行し、折から同車線を対向進行してきたP2(当時71歳)運転の普通貨物自動車前部に自車前部を衝突させ、自車に同乗していたP3(当時19歳)に加療約6か月間を要する右急性音響性外傷の傷害を、同じく自車に同乗していたP4(当時19歳)に加療約10日間を要する頚椎捻挫及び背部挫傷の傷害を、同じく自車に同乗していたP5(当時21歳)に加療約2週間を要する外傷性気胸、左肋骨不全骨折等の傷害を、同じく自車に同乗していたP6(当時20歳)に加療約4週間を要する右腸骨打撲傷、胸部打撲の傷害を、P2に右血気胸、両下肢開放性骨折の傷害をそれぞれ負わせ、P2を傷害に伴う出血性ショックにより死亡させたとして、危険運転致死傷の罪で懲役7年を求刑された事案で、被告人には、本件カーブの状況や自己の運転操作等の事実を認識していなかったと疑うべき事情はなく、被告人は、セレナが進行を制御することが困難な高速度であったことを基礎づける事実を認識し故意があったと認め、危険運転致死傷罪が成立するとして、懲役6年に処した事例。