2021.10.05
損害賠償請求控訴事件
LEX/DB25590657/福岡高等裁判所 令和 3年 9月 3日 判決 (控訴審)/令和3年(ネ)第283号
熊本県少年保護育成条例違反の被疑事実により逮捕され、その後勾留された一審原告が、その逮捕・勾留中に一審原告の取調べを行った熊本県警察の警察官が、当該取調べに際し、〔1〕黙秘権を告知せず、かつ黙秘することが一審原告の不利益となることを示唆する発言をするなどして、一審原告の黙秘権を侵害し、〔2〕弁護人との接見内容に関する質問をしたことにより、一審原告の接見交通権を侵害し、この違法な取調べにより一審原告は精神的苦痛を被るなどの損害を受けており、一審被告は、国家賠償法1条1項に基づき、上記警察官の違法な取調べによって一審原告が被った損害について賠償義務を負うとして、一審被告に対し、同項に基づき、損害として慰謝料200万円及び弁護士費用20万円の合計220万円及びこれに対する遅延損害金の支払を求めたところ、原判決は、一審原告の請求のうち、一部認容、一部棄却したため、一審原告及び一審被告が、それぞれ原判決中敗訴部分を不服として控訴した事案で、一審原告の請求につき、16万5000円及びこれに対する平成28年5月24日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるとして一部認容し、その余の請求を棄却した原判決は相当であるとし、本件各控訴を棄却した事例。